驟雨
シュウウ
上映時間:91分 / 製作:1956年(日本) / 配給:東宝
解説 岸田国士の一幕ものの戯曲数編を、水木洋子がまとめて脚色し、成瀬巳喜男が演出した小市民映画の名作。倦怠期にさしかかった夫婦が、様々な波紋に揺られながらも現在の生活の中に幸福を見出していく姿を、きめ細かな描写で綴っている。映画は新婚旅行から戻ったばかりの親戚の娘の来訪で始まり、夫への不満をぶつける娘に、二人がそれぞれの立場から反論することで、夫婦間の微妙なズレが示される。続いて二人の家の隣に若い新婚夫婦が越してきて、物語は両家をお互い映し合う形で展開していく。空間の造型にもこうした劇的構成が反映され、敷居をはさんで向かう妻と夫、生け垣を隔てて隣り合う2軒の家などの計算された配置が見事である。また、玉井正夫による神業のようなカメラが捉えた、夕立の場面での闇の中にかすかに浮かぶ原節子のクローズアップは、ラストで紙風船を打ち合う夫婦の上に広がる晴れわたった空とあざやかな対照をなし、比類ない美しさをたたえている。
スタッフ |
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キャスト |
妻・文子:原節子
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