「ARGYLLE/アーガイル」とアタック西本のコラボビジュアル。(c) Universal Pictures

ビニールタッキーの「月刊おもしろ映画宣伝」 2024年2月号 [バックナンバー]

取材に協力的なアリ・アスター、ついに来日マ・ドンソク

今月のMVPは、あの芸人を使った動画

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映画会社は、日々工夫をこらし、作品の魅力をPRしようと努力している。時には評論家や俳優が真面目に作品の魅力を語り、時には他ジャンルとコラボし客層の拡大を図り、時にはダジャレやこじつけでSNSでのバズりを狙い……。そんな施策を日々ウォッチしている“映画宣伝ウォッチャー”ビニールタッキーが、前月気になった映画の記事についてコメントする連載「月刊おもしろ映画宣伝」が今月スタートする。なお1月号は、彼の個人ブログに掲載されているので気になる人はそちらもチェックしてみよう。

2024年2月、ビニールタッキーが気になったのは「オッペンハイマー」「ボーはおそれている」「犯罪都市 NO WAY OUT」「ARGYLLE/アーガイル」などに関する宣伝。記事末ではMVP(モスト・ヴァリュアブル・プロモーション)も発表している。

/ ビニールタッキー

アリ・アスター、精力的に取材に参加

「月刊おもしろ映画宣伝」の2月号をお届けします。「おもしろ映画宣伝」とは、海外の映画を日本で宣伝する際に発生する面白いPRイベントや不思議なコラボなどの案件をまとめて総称するために私が勝手に名付けた名前です。このコラムはその月にあったおもしろ映画宣伝をピックアップする連載コラムです。今月もたっぷりありましたのでご紹介していきましょう!

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今私が個人的に注目している「タレントナレーション予告編」(タレントさんが映画の予告編やテレビCMにナレーションを当てた映像)の最新版が来ました。今回は「オッペンハイマー」日本版予告編のナレーションをクリストファー・ノーラン監督作に何度も出演している渡辺謙さんが担当。的確な人選です。

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ファティ・アキン監督がドイツの実在のラッパー・Xatar(カター)の半生を描く映画「RHEINGOLD ラインゴールド」の予告編ナレーションを木村昴さんが担当。もちろん木村昴さんはラッパーとして活動されていますしXatarと同じく音楽家一家に生まれてドイツで幼少期を過ごした、と驚くほどに共通点があるので彼がやらずして誰がやる!という感じの人選でした。こういう人選の妙を味わうのもおもしろ映画宣伝の楽しさの1つですね。

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予告編のナレーターを務めたのは豊川悦司。彼は「映画の雰囲気や世界観を膨らませるためにナレーションがあると思いますので、この予告編によってより多くの方が作品に興味を持ってくれたら嬉しいです」とコメントしている。

今月はタレントナレーション予告編が豊作ですねえ。「インフィニティ・プール」はナレーションいわく「あなたの性癖に刺さる」スリラー映画でありR18+映画ということなのでダンディでセクシーなトヨエツさんの起用も納得です。

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NHKの 「どーもくん」やNetflixの「リラックマとカオルさん」を手がけたストップモーションアニメスタジオのドワーフと「ボーはおそれている」がまさかのコラボ! 劇中で「オオカミの家」の監督コンビが手がけたコマ撮りアニメパートがあるということで「ポケモンコンシェルジュ」の小川育監督によるオリジナルアニメが作られました。まさかあの優しくて癒やされる「ポケモンコンシェルジュ」と悪夢的映画「ボーはおそれている」がつながるとは。まあアリ・アスター監督にとってこの映画はセルフセラピー的な意味もあるということなので合ってると言えば合ってる……?

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今回アリ・アスター監督が精力的に取材に参加してくれたようで幅広い業界の方との対談やインタビューがあって楽しめました。かなりクセの強い映画ですがこんなに多角的に語られることはかなり珍しいと感じました。

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アリ・アスター作品となればコラボフードもクセが強い! しかも過去作も含めたコラボメニューとなっていて全種食べればまさにアリ・アスターフルコースという感じになると思いました。怖い……じゃなくてうれしいですね!

みんな大好きマ・ドンソクがついに来日!

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これには驚きましたね。大島優子さんと言えばディズニー映画「メリダとおそろしの森」のメリダ役の日本語吹替でおなじみですが実写映画の声優を務めるのは今回が初とのこと。でも冷静に考えるとダコタ・ジョンソンと大島さんはほぼ同い年で子供の頃からタレント活動をしていたという共通点があるのでナイスチョイスだと思いました。この声優発表前にXの公式アカウントが大島さんの赤ちゃん時代の写真を上げて「幼少期の写真をヒントに未来予知して当てよう!」みたいなキャンペーンをやっていたのも面白かったです。(しかも当ててる人がけっこういたのも驚きました)

映画「マダム・ウェブ」公式による、日本語吹替版声優の予想キャンペーンポスト。

イベントレポート

日本語吹替版プレミア上映ナイトで萩原聖人さん演じる役の名前が明かされるというギミックもなかなか面白いと思いました。マーベルヒーローの中でも特に「スパイダーマン」が愛されている日本ならではの披露の仕方だと思いました。あと注目すべきはマダム・ウェブの“未来予知”にちなんで「箱の中身はなんだろな?」ゲームが行われたことですね。こういうの、大好きです。

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ダイアン津田さんがなんの説明もないまま「マダム・ウェブ」のストーリーを未来予知して予告編をアフレコするというものすごい企画です。未来予知というワンテーマで企画が色々捻り出された苦労と努力を感じます。内容としては終始ドタバタでバラエティ番組のワンコーナーぐらいのボリュームがある動画ですが(16分ぐらいあります)各種予告編が流れるのでちゃんと宣伝になってる! と感心しました。

イベントレポート

みんな大好きマ・ドンソクがついに来日! 「犯罪都市 NO WAY OUT」は日本のキャストも出演しているということで青木崇高さんと國村隼さんも参加。殺伐とした映画かつ強面の俳優さんたちが集結したプレミアイベントにもかかわらず明るい歓声と和気あいあいとした雰囲気が感じられて最高です。初来日のマ・ドンソクがイベントの撮影を許可してくれたり、抽選でハイタッチ会をやってくれたりとサービス精神旺盛でうれしいです。特にこの日はバレンタインデーということもあり、國村隼さんからチョコを渡されるというサービスもあったとのことでうらやましい限りでした。毎年映画宣伝とバレンタインの組み合わせを楽しみにしているのですが今年は特に最高でしたね。

特集記事

ナタリーさんの特集からはホラー映画「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」をVTuber・兎田ぺこらさんが語る記事をピックアップ。ゲーム版をプレイしたことがある方の視点、そしてゲーム実況者としての視点で語られていてとても興味深かったです。

そして最後は私が勝手に決める今月のMVP(モスト・ヴァリュアブル・プロモーション)。今回はこちらです!

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今回公開された映像には、アーガイルと同じく角刈りスタイルのアタック西本が金髪美女と踊るさまを収録。アタック西本は「僕も吉本契約じゃなくてエージェント契約になりきって、一つミスしたら自分の責任だっていう心構えで挑みました」と冗談を交じえてコメントする。また、金髪美女を抱き上げてダンスするシーンを「僕のお腹が出過ぎちゃって相手役の女性の方が窮屈そうにされていたので、引っ込めながらやっていました」と振り返った。

1980年代のスタイルにこだわりを持つヴォーンたっての希望で、自前で角刈りスタイルに挑戦したカヴィル。アタック西本はそんな彼の角刈りを「100点満点中800点! 強い気持ちが伝わってくるというか、中途半端じゃない。角刈りってそこ大事なんで」と称賛する。角刈りスタイルについては「女性からの支持はほぼゼロ」と嘆きつつ「男性はすごい褒めてくれますね。40代から上の方が本当にいいね~って。『こいつは信用できる』って思われています。なぜか」とも。なじみの理髪店で、大将の息子にカットされた際を回想し「前の角を全部刈り取られちゃってて、前から見たら角刈りだけど、横から見ると坊主になっていて、“トリックアート角刈り”みたいになっちゃったんですよ(笑)」とエピソードを明かしている。

素晴らしいエピソードです。「ARGYLLE/アーガイル」に登場するヘンリー・カヴィルの髪型が角刈りということでアタック西本さんを指名するセンスに脱帽です。このコラボビジュアル一発で心を鷲づかみされました。しかも映像もしっかり作られていて角刈りと同じく「強い気持ち」が感じられました。マシュー・ヴォーン監督作品の本質は清々しいまでのエンタテインメントなのでこういう宣伝はむしろ正解だと思いました。

以上、月刊おもしろ映画宣伝2024年02月号でした。次回もお楽しみに!

映画「ARGYLLE/アーガイル」ジェラードン・アタック西本 特別映像

ビニールタッキー

ビニールタッキー

ビニールタッキー

映画宣伝ウォッチャー。ブログ「第9惑星ビニル」の管理人。海外の映画が日本で公開される際に発生する“おもしろ宣伝”を観察・収集する。トークイベント「この映画宣伝がすごい!」を毎年開催。

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(c) Universal Pictures

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ぬまがさワタリ@科博「鳥」展 11/2〜 @numagasa

ビニールタッキーさんのおもしろ映画宣伝記事がナタリーで公式連載!すごい!てかどこかがちゃんとまとめて保存しておくべきだと思っていた、文化史の記録として(急な真顔)
https://t.co/vjGchscLO0

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