台湾偶像劇を彩ってきた俳優たちが大人の魅力を放つ40代に──中国ドラマでも活躍するジェリー・イェン、ヴィック・チョウ、ロイ・チウ、バロン・チェンをトーク

取材・文 / 金子恭未子

ジェリー・イェンもヴィック・チョウも洗練された大人の男性になっている

──前回までに皆さんに60代以上、50代、40代の俳優さんを挙げていただきました。第4弾では台湾ドラマはもちろん、中国ドラマなどでも存在感を放つ台湾の俳優さんたちについて伺いたいと思います。俳優さんが素敵に歳を重ねていく姿を追うというのもドラマの楽しみの1つだと思うのですが、「流星花園～花より男子～」がきっかけで大スターになったF4も今は全員40代です。F4は皆さん、取材していますか？

F4（エフスー）

台湾ドラマ「流星花園～花より男子～」でF4を演じたジェリー・イェン（言承旭）、ヴァネス・ウー（呉建豪）、ケン・チュウ（朱孝天）、ヴィック・チョウ（周渝民）によって2001年に結成されたグループ。

熊坂多恵　そうですね。中国のスターにインタビューしたりする機会はあまりないですけど、台湾スターは、たくさん取材もしてきたので図々しくも知り合いみたいな感覚はありますよね。

青木久美子　台湾の俳優さんは受け答えがすごくフランクな印象があります。今はどうかわからないんですけど、昔は事前に質問案を見せることもなかったから自由にお話ができたんです。ケンちゃんに取材したときは、猫の話で盛り上がって、自分で撮った猫の写真を見せてくれました（笑）。ヴァネスは私が具合が悪いと知ったら、「嫌じゃなかったら、僕が君のためにお祈りしていいですか？」って、お祈りもしてくれて。

熊坂　そうそう。ヴァネスは仲のいいライターさんにいつもよくしてくれる。F4の取材のときは、例えば青木さんはヴァネス担当みたいに、ちょっと担当制みたいになってましたよね。

小酒真由子　私は強いて言えばケンちゃん担当だったと思います。

熊坂　何度も取材をしてもらっているライターさんにお願いすることが多かったんだと思います。私も全員1回ずつやっているけど、一番多かったのはヴィック。彼の出演映画に関して取材したときに、周りが映画ライターさんばっかりで知っている人があまりいなかったみたいで、私を見て、あ、知ってる人がいる、みたいな顔をしてました（笑）。そういう人懐っこいところが台湾の俳優さんにはありますよね。ジェリーは、撮影のときに、私が光を当てるボードを一生懸命調整していたら、すごいニコニコしてくれたりとか。

青木　優しいよね。知っている顔を見かけると「あ！ こんにちは」みたいに反応してくれたり。

──ヴィック・チョウとジェリー・イェンは中国ドラマを彩る気になる40代の俳優として小酒さんに挙げていただきました。

ヴィック・チョウ（周渝民）

1981年6月9日生まれ、現在42歳。愛称は仔仔（ザイザイ）。出演作にドラマ「流星花園～花より男子～」「山田太郎ものがたり～貧窮貴公子～」「戦神～MARS～」「ブラック＆ホワイト」「如歌～百年の誓い～」「大宋宮詞 ～愛と策謀の宮廷絵巻～」「追撃者～逆局～」や映画「闘茶～tea fight～」「僕は君のために蝶になる」などがある。

小酒　台湾ドラマ「追撃者～逆局～」のヴィックは無精ひげを生やして、渋くなっていました。サスペンスものなんですけどよかったです。彼は、昔から演技のセンスは異彩を放っていた。

青木　私も最初に演技力があるなと思ったのはヴィックだったかな。

熊坂　出演している作品の数が一番多いですよね。仔仔（※編集部注：仔仔はヴィック・チョウの愛称）は、インタビューでもすごく具体的な回答が返ってくる印象。監督さんと画角の話をしたとか、若い頃から現場で技術的な話もしていたみたいで、面白い人だなと思ってました。

ジェリー・イェン（言承旭）

1977年1月1日生まれ、現在46歳。出演作にドラマ「流星花園～花より男子～」「恋のめまい愛の傷 ～烈愛傷痕～」「ザ・ホスピタル」「ホット・ショット」「Starlit～君がくれた優しい光」「君には絶対恋してない！～Down with Love」「運命のキスをお願い！」「夏花」などがある。

小酒　ジェリーは「夏花」という中国ドラマで、若い女の子と恋をする男性を演じているんですけど、当て書きかな？と思うぐらいぴったりですごくよかったです。お花を育てていて、世間と距離を置いて暮らしている不器用でうらぶれた感じの役なんですけど、そんな彼を白血病の再発に日々おびえる歳下の女の子が好きになって追いかける。無口なのに実はすごく優しくて、ジェリーのイメージそのまま。やっぱりラブストーリーがうまいんですよね。20歳ぐらいの女の子と40代の恋愛って一歩間違うと厳しいじゃないですか。でも、色っぽくてロマンティックなジェリーがそこにいました。

青木　ジェリーって人に対してすごく優しいからそういうところが役ににじみ出るのかもしれないですね。

小酒　「夏花」は吹き替えじゃなくて本人の声なんです。ちょっと照れくさそうなしゃべり方もまたすごくジェリーなんですよ！（笑）

熊坂　ジェリーも仔仔も洗練された大人の男性になっていて、うまく歳を取っていますよね。でもF4が40代と言われてもやっぱりピンとこない（笑）。まだ30代ぐらいのイメージなんですよ。

小酒　でも、中国の若い視聴者から観ると彼らももうイケオジ枠なんですよね。「大叔（dàshū）」と呼ばれていますもん。

ヴィック・チョウ出演作情報

「追撃者～逆局～」

＜シンプルBOX 5,000円シリーズ＞DVD-BOX1～2販売中 各税込5500円
発売元：コミックリズ / エスピーオー
販売元：エスピーオー
Amazon Prime Videoチャンネル「エンタメ・アジア」ほかにて配信中

ジェリー・イェン出演作情報

「夏花」

DVD‐SET1＆レンタルDVD Vol. 1～6 リリース中 税込1万6500円
DVD‐SET2＆レンタルDVD Vol. 7～12 2023年9月6日（水）リリース 税込1万6500円
U-NEXTにて独占先行配信中
発売・販売元：NBCユニバーサル・エンターテイメント

色っぽくて目が離せないロイ・チウ

──続いて青木さんに挙げていただいたのはロイ・チウ（邱澤）です。

ロイ・チウ（邱澤）

1981年10月14日生まれ、現在41歳。出演作にドラマ「原味の夏天～僕たちの終わらない夏」「進め！キラメキ女子」「スクリュー・ガール 一発逆転婚!!」「いつでも君を待っている」「唐人街探偵-DETECTIVE CHINATOWN-」や映画「先に愛した人」「唐人街探偵 東京MISSION」などがある。

青木　若い頃からずっと見てきたから俳優としての成長や変化を追えて楽しいなと思っているんです。ロイくんはデビューしたときは、美しくてかわいい青年。兵役後に台湾のアイドルドラマでブレイクして、こんなふうにキャリアを積むんだとびっくりしていたら、今度は中国ドラマ「唐人街探偵-DETECTIVE CHINATOWN-」で渋くて謎めいた探偵を演じていて、色っぽくて目が離せない。アイドル色は抜け切ったんだなと思いました。

熊坂　青木さんも、小酒さんもだと思うんですが、彼は若い頃にめちゃくちゃ来日して、取材も受けてくれたから、思い出も多いですよね。

青木　自分を持っていて、周りの意見に振り回されない印象でしたね。

熊坂　そうそう。当時はタッキー（滝沢秀明）みたいな、アイドルっぽい髪型をしていたんだけど、内面は体育会系の男の子という感じでしたよね。

青木　そう。だからそんな彼が「進め！キラメキ女子」のようなアイドルドラマに出始めたから驚いて。でも今は、自分の本来の路線に戻ってきたのかなと思います。ロイくんは、これからどんな俳優になっていくんだろうと楽しみな役者さんですね。

「江湖英雄伝」の鑑賞後はバロン・チェンでいっぱいになる

──小酒さんに挙げていただいたバロン・チェンも台湾出身の俳優さんです。

バロン・チェン（陳楚河）

1978年5月9日生まれ、現在45歳。出演作にドラマ「ハートに命中100%」「アニキに恋して」「蒼穹の剣」「夢幻の桃花～三生三世枕上書～」「江湖英雄伝～HEROES～」などがある。

──実はこの企画は「江湖英雄伝～HEROES～」のバロン・チェンがすごくいいというところがスタートでした。

小酒　そうでしたね。気付いたらバロンも40代なんだ!?というところからでしたよね。「江湖英雄伝」ではツォン・シュンシー（曾舜晞）とか、リウ・ユーニン（刘宇宁）とか若い子と一緒に出ているから、ドラマの中ではイケオジ的なポジションなんですよ。

熊坂　確かに「蒼穹の剣」でも、ウー・レイ（呉磊）演じる主人公の師匠役ですもんね。

小酒　そうそう。「江湖英雄伝」は主演の若い子たちもがんばっているんですけど、バロンがすごくかっこいい役で、鑑賞後は心の中がバロンでいっぱいになる（笑）。彼、思っていた以上に中国時代劇がハマるんですよね。

青木　確かに。全然、古装もの観たときに違和感がなかった。

熊坂　そしてめちゃくちゃ顔がいい。すごくハンサムですよね。

小酒　「江湖英雄伝」で彼が演じているのは主人公2人の兄貴分なんですけど、病弱なのに最強というおいしい設定で。さらにラブラインもあって、モン・ズーイー（孟子義）が恋人役なんですよ。

熊坂　モン・ズーイーが恋人役!? 顔面偏差値が異様に高い（笑）。

小酒　ロミオとジュリエット的な関係で、対立している組織同士の御曹司とお嬢様なんです。別荘みたいなところでひそかにあいびきしていて。最強のカリスマリーダーが彼女の前ではメロメロの溺愛ダーリンになる。

青木　今のを聞いて観たくなりました（笑）。

熊坂　バロン・チェンとモン・ズーイーは画がすごい華やかそう。

小酒　「江湖英雄伝」はイケオジなバロンを観る作品としてお薦めです！

バロン・チェン出演作情報

「江湖英雄伝～HEROES～」

DVD‐SET1～3＆レンタルDVD Vol. 1～22 リリース中 各税込1万7600円
U-NEXTにて独占先行配信中
発売・販売元：NBCユニバーサル・エンターテイメント

ユー・ハオミンもワン・マオレイも曲者をやらせたらすごい

──そのほか今後、イケオジとして楽しみにしている俳優さん“NEXTイケオジ”として、ガオ・ウェイグァン（高偉光）、チョウ・シャオチュアン（周小川）、ジョウ・イーウェイ（周一囲）、ソン・ヤン（宋洋）を挙げていただきました。

青木　ガオ・ウェイグァンはイケオジ枠が自分の中でストンと来るものがありますね。

小酒　そうそう。素敵なイケオジになっていきそう。

熊坂　身長が191cm！ 大谷翔平ぐらいある。

青木　だから「夢幻の桃花～三生三世枕上書～」の東華帝君（とうかていくん）がハマるんですよね。

小酒　東華帝君は白髪だし、何十万年も生きている役だから、私の中ですでにイケオジ枠なんですよ（笑）。

「夢幻の桃花～三生三世枕上書～」

＜シンプルBOX 5,000円シリーズ＞DVD-BOX1～3販売中 各税込5500円
発売元・販売元：エスピーオー
提供：エスピーオー / BS12トゥエルビ
Amazon Prime Videoチャンネル「エンタメ・アジア」ほかにて配信中

──ソン・ヤンも先日7月13日に40歳になりました。

小酒　渋い感じになってきましたよね。

青木　最近チェックし始めたんですけどいい俳優さんですよね。無精ひげが似合うタイプ。けっこうアクション派なんですよね？

小酒　そうですね。「雨に眠る罪 ─非常目撃─」「幻夢追凶（げんむついきょう）～ドリーム・インセプション～」など主演作が日本でも紹介され始めたので知名度が上がっていくかなと期待しています。

熊坂　私はチャン・シャオチュアンが気になっていますね。もしかしたら「斗羅大陸～7つの光と武魂の謎～」を観ている人じゃないとわからないかも。シャオ・ジャン演じる主人公が魂師学苑に入学するんですけど、そこで出会った同級生の父親の側近なんです。ちょこちょこ出てくる剣斗羅という役なんですけど、異様にかっこよくて（笑）。

小酒　 わかった！ 「風起隴西（ふうきろうせい）－SPY of Three Kingdoms－」にも出てる！　魏延役の人ですね。

熊坂　そうそう。「斗羅大陸」では、長髪で最強の力を持つ戦士なんです。でも小さい頃から溺愛してきたその女子学生に甘くて振り回されている（笑）。かっこよくて強いんだけど、ちょっと愛嬌があるキャラクターで、あまり出てこないんですけど「斗羅大陸」観ている人なら、「あー！ あのかっこいいおじさんね！」ってなると思うんです。普段の写真見たら、えらいかっこいい。

小酒　舞台役者さんなんですね。

熊坂　もしかしたら「風起隴西」だとピンとこないかも。「斗羅大陸、剣斗羅」で検索してもらえれば（笑）。

青木　私はジョウ・イーウェイ（周一囲）がすごく好きですね。ホアン・シュエン（黄軒）目当てで「海上牧雲記 ～3つの予言と王朝の謎」を見始めたんですけど、どんどんジョウ・イーウェイに持って行かれてしまって（笑）。「上陽賦～運命の王妃～」ではかっこいい英雄の役。主演も脇もいけるのかも。

「海上牧雲記～3つの予言と王朝の謎」

DVD BOX1～4 販売中 各税込1万6500円
発売元：博報堂DYミュージック&ピクチャーズ／クロックワークス／ポリゴンマジック／BS12 トゥエルビ
販売元：TCエンタテインメント

熊坂　チャン・ツィイーが見初めたというものすごい演技派。

青木　「蒼穹の昴」もよかったんですけど、そのときは好きという感じにはならなかったんです。でも、「海上牧雲記」ではファンタジーの世界に本当に生きているようなキャラクターを演じていて。「盤鞭！」って叫ぶシーンが、とてつもなくかっこいい（笑）。

熊坂　すごいワイルドな役ですよね。

青木　そうそう、ずっとなんか汚れてる（笑）。

熊坂　それで、フェロモン振りまきまくってる（笑）。

小酒　確かに。独特のフェロモンというか、刺激的な色気が出ているような。

青木　存在が濃い感じ（笑）。だから癖になる人は癖になってしまう。あとはやっぱり、ユー・ハオミン（兪灝明）は気になるイケオジですね。

小酒　ユー・ハオミンはまだ35歳です（笑）。

青木　イケオジに入れたいのに、まだ年齢が足りなかった（笑）。曲者をやらせたらすごくうまいんですよ。「月に咲く花の如く」では悲しい悪役でよかった。

小酒　「大明皇妃 -Empress of the Ming-」も悪役ですよね。遭遇率が高くてびっくり。こちらから探さなくても、ユー・ハオミンは向こうからやって来てくれる（笑）。「風起隴西」にも出ているんですよ。

青木　癖のある役をすごく楽しく観させてくれる俳優さんですよね。ワン・マオレイ（王茂蕾）も同じく曲者やらせたらすごい。

小酒　ユー・ハオミンもワン・マオレイも若い頃はかわいい系ですよね。「流星花園」中国版と呼ばれた「一起来看流星雨（原題）」でユー・ハオミンは花沢類ポジション。チャン・フォンイー主演の「始皇帝烈伝 ファーストエンペラー」でワン・マオレイは始皇帝の無邪気な息子・胡亥を演じてました。

青木　類だったんだ！

──小酒さんは個人的に気になっているイケオジはいますか？

小酒　最近中国で一番ホットなイケオジだなと思うのがチャン・イー（張譯）なんです。「刑事チン 孤独の捜査」で、主人公を演じています。今年、中国でヒットした警察ドラマ「狂飆（原題）」や「他是誰（原題）」で熱血刑事を演じているんですけど、どのキャラもちゃんと演じ分けている。見た目はいわゆるイケメンという感じではないんですけど、観ているうちにすごくかっこよく見えてくるし警察の制服がめちゃくちゃ似合う。「他是誰」は刑事のおじさんチームが和気あいあいとしていて、おじさん萌えできるドラマ。チャン・イーが演じた主人公はキャラクター人気ランキングでも1位になるほど支持されて。

──中国で注目されている俳優の1人ですかね？

小酒　今、刑事を演じさせるならチャン・イーという感じだと思います。だから彼の作品は日本に入ってきてほしい！ 「刑事チン」で演じた役はストイックで渋い感じでしたけど、「他是誰」はちょっとコミカルなところもあって、幅広く演じられる役者さんという印象なんです。彼の作品が入ってきたらぜひ語り合いたい！ でもこういうサスペンスドラマって日本に入ってくるかどうか。

青木　若手が出ているとかじゃないと難しいのかもしれないですね。

「刑事チン 孤独の捜査」

DVD-BOX1・2 販売中 税込各1万6940円
販売元：ブロードウェイ

──熊坂さんはいかがですか？

熊坂　私はまたおじいちゃんですけど、ウー・ガン（呉剛）が好きですね。渋いの極みみたいな。「慶余年」でも圧がすごい。あとはニー・ダーホン（倪大紅）も好きです。彼はいくらギラギラしていても、枯れた感じがあって、それがちょっと不思議で色っぽさにもつながっている。あちこち出ている俳優さんで、「三国志 Three Kingdoms」では司馬懿を演じているんですけど、ビジュアルのインパクトがすごい。「鬼谷子（きこくし） －聖なる謀(はかりごと)－」でも強烈なキャラクターでした。現代ドラマではいいお父さん役だったり。ちょっとお茶目な役をやっても映えるんですよね。

小酒　「それでも、家族～All is Well～」でもいいお父さんのイメージですね。

熊坂　あとまだ39歳で、NEXTイケオジ枠なんですけどチュウ・ヤーウェン（朱亜文）が好きです。「大明皇妃」のときに、フェロモンを振りまきまくってた（笑）。

小酒　中国では歩くフェロモンって呼ばれています（笑）。

「大明皇妃 -Empress of the Ming-」

＜コンプリート・シンプル DVD‐BOX＞ 1～5販売中 各税込5500円
発売元：NBCユニバーサル・エンターテイメント
※商品の情報は2023年9月時点の情報

「冰雨火」はイケオジドラマとしてお薦め

──「イケオジ観るならこのドラマ」を挙げるなら？

熊坂　「剣王朝～乱世に舞う雪～」はイケオジを愛でるドラマとしてお薦めですね。ただ中国の武侠ドラマはだいたいイケオジドラマなんですよ（笑）。

──確かに、イケオジが出ていない武侠ドラマを探すほうが難しいですよね。

「剣王朝～乱世に舞う雪～」

＜シンプルBOX 5,000円シリーズ＞DVD-BOX1～2販売中 各税込5500円
発売元・販売元：エスピーオー
提供：エスピーオー / BS12トゥエルビ
Amazon Prime Videoチャンネル「エンタメ・アジア」ほかにて配信中

熊坂　ラブ史劇も中心は顔面偏差値最強のイケメンと美女ですけど、お父さんとか皇帝とかおじさんが押さえてくれる。ドラマにイケオジとか、おなじみの侍女俳優さんがいると安心感がありますよね。中国ドラマは仮に主役のカップルにはハマれなくても、脇役を見ているだけで楽しめる場合があります。例えば「江湖英雄伝」のバロン・チェンとモン・ズーイーのような見どころがある。やっぱり役者の層が厚いからですかね？

小酒　断然日本よりも役者さんの人数が多いですよね。

熊坂　だから、脇役にもストーリーがしっかりあることが多いですよね。

小酒　「風起隴西」はイケオジ好きにお薦めのドラマですね。今回お話したチェン・クンやイン・ジューション以外にもニエ・ユエン（聶遠）やローレンス・ワン（王驍）とかも出ている。陰影の濃い映像で映画っぽい、それぞれの役者の演技が堪能できる本格ミステリーです。

「風起隴西（ふうきろうせい）－SPY of Three Kingdoms－」

Blu-ray BOX1～2販売中 各税込1万6500円
DVD-BOX1～2販売中 各税込1万3200円
発売・販売元：エスピーオー
提供：エスピーオー / テレビ東京メディアネット

青木　私がイケオジに目覚めるきっかけになった「琅琊榜（ろうやぼう）～麒麟の才子、風雲起こす～」もお薦めですね。あと、宮廷ドラマだと「宮廷の諍い女」もイケオジドラマとしていいです。

小酒　確かに、「宮廷の諍い女」はチェン・ジェンビン（陳建斌）とかイケオジのイメージありますよね。

青木　あとはまだ観られていないんですが、リウ・イージュン（劉奕君）とワン・ジンソン（王勁松）が出ている「冰雨火（ひょううか）～BEING A HERO～」には期待しています。

小酒　「冰雨火」もイケオジドラマとしてお薦めです！

熊坂　そうそう。麻薬捜査の話で、警察もヤクザもいろんなおじさんが出てくるんです。よくこんな雰囲気のある俳優さんたち集めてきたなって。イケオジの宝庫です。

青木　やっぱり刑事ものをチェックするのがいいですかね？

小酒　そうですよね。でも中国で大ヒットした作品があってもイケオジパラダイスゆえに、これ買い付けて大丈夫？って日本だと検討されちゃうものもあるのかなと。

熊坂　昔に比べると入ってきてはいるんですけど、イケオジ主演のドラマは入ってこないですよね。さすがに買い付けの決め手にはしないかもしれないですけど、ドラマ初主演の男の子たちよりも、日本で顔と名前が売れているのはリウ・イージュンとか、イケオジたちなのかもとは思います。

──日本に一番作品が入ってきている俳優さんを調べたら、イケオジのどなたかもしれないですよね。

熊坂　絶対、ゾン・フォンイェン（宗峰岩）ですよ。

小酒　いや、ジァン・カイ（蒋愷）の可能性もありますよ！

熊坂　あー、ジァン・カイがいた！（笑） 最近出てきた若い子よりも、知名度はイケオジですよね。「瓔珞＜エイラク＞～紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃～」の影響なのか、ワン・マオレイとかみんな知ってる。

──「半妖傾城（原題）」というドラマで、ワン・マオレイとアン・アン（安以軒）のキスシーンがあって新鮮でした。もっといろんな作品が入ってくるといいなと。

小酒　ベテランのキスシーンって貴重ですよね。キスシーン好きとしては食い付きました！

熊坂　リウ・イージュンのキスシーン見たいですか？

小酒　見たい！（笑）

熊坂　私はリー・グァンフー（李光復）のキスシーンを見たいって思ったことないな（笑）。

一同　あはははは（笑）。

青木久美子（アオキクミコ）

華流ウォッチャー。アジアンエンタメライター。「韓流ぴあ」「見るべき中国時代劇ドラマ」（ぴあ）、「韓国テレビドラマコレクション」「中国時代劇で学ぶ中国の歴史」（キネマ旬報社）ほか、情報誌を中心に韓国・中国・台湾などアジアンエンタメの魅力を紹介。

小酒真由子（コサカマユコ）

映画界・出版界での会社勤めを経てフリーライターに。アジアから欧米までドラマについて執筆中。「韓国TVドラマガイド」（双葉社）にて「熱烈推薦!! 中華ドラマはこうハマる！」を、Cinem@rtにて「アジドラ処方箋」を連載している。

熊坂多恵（クマサカタエ）

「中国時代劇で学ぶ中国の歴史」「最新！中国時代劇ドラマガイド」（キネマ旬報社）ほか編集。映画雑誌の編集を経て、中国、台湾、韓国などアジアのエンタメを紹介するムック本の編集や執筆に参加。「最新！注目スター＆中国時代劇ドラマガイド2023」が6月27日より販売中。