エンタメ性の高い作品があるのも中国ドラマの魅力(島田)
──サスペンスでは、小酒さんに「Burning Ice<バーニング・アイス>-無証之罪-」をオススメの1本に挙げていただきました。
「Burning Ice<バーニング・アイス>-無証之罪-」
コンプリートDVD BOX販売中 / デジタル配信中
発売・販売元:ポニーキャニオン / 企画協力:NHKエンタープライズ
ストーリー
大都市・哈松で、運送会社社長・孫紅運の死体が発見される。遺体は雪だるまにくくりつけられており、「私を捕まえてください」という貼り紙があった。その手口から、警察は未解決の“雪だるま連続殺人事件”と断定。あるミスから交番勤務となっていた刑事の厳良(
小酒 ミステリーもののドラマで最初に日本でウケたのがこのドラマという印象なんですよね。だから中国のミステリードラマに触れてみたいなと思っている人が最初に観るならこの作品かなと。けっこうシビアな猟奇殺人をテーマにしているので、硬派なものが観たい人、韓国ドラマの「ボイス」シリーズとかが好きな人にはオススメですね。「バッド・キッズ 隠秘之罪」と同じく、紫金陳の小説が原作で、人間ドラマもしっかり描かれている。見応えがありますね。
──中国ドラマファンだけじゃなく、ミステリー好きの海外ドラマファンもハマっていた印象です。
小酒 北欧ミステリーもそうですけど、事件の謎解きだけでなく様々な登場人物たちの心理が赤裸々に暴かれていくのも面白い、今世界的に流行っているタイプのドラマですよね。キャストも演技派がそろっています。
──島田さんにはオススメの1本として
「暴風眼-特命捜査官-」
DVD-BOX1~4販売中:各税込9900円
発売元:マクザム+中央映画貿易
販売元:マクザム
ストーリー
国安局捜査課・安静(ヤン・ミー)率いる捜査官たちは標的である“ブラスター”のコードネームで知られる産業スパイの追跡を始める。しかし、相手は尾行に気付いたのか、彼らを翻弄。やがて、ブラスターの乗る車は、デパートの地下駐車場へ。捜査官たちは、安静の指示のもと、ブラスターの身柄を押さえようとするが……。
島田 小酒さんがコアな作品を入れてきたので、私は、国安局VS産業スパイというようなエンタメに振り切ったものを選んでみました。硬派で本格的なサスペンスがある一方で、香港映画の流れを汲んだようなエンタメ性の高い作品があるのも中国ドラマの魅力だと思うんです。シリアスでありながらもちょっと緩い部分もあって、そこがまた愛しい(笑)。
この作品は出演陣が豪華で、「永遠の桃花~三生三世~」ファンにはたまらないキャスティング。華やかで楽しめると思います。ヤン・ミードラマの“いつメン”が出ていて、神様が人間界で修行してる?と思ってしまうような(笑)。中米テレビ祭でゴールデンエンジェル賞を獲ったりもしていて、海外でも評価された作品なんですよね。
小酒 ヤン・ミーってこういう現代ドラマを作っておいたりするところがさすがなんですよね。視聴者って正直物語のクオリティばっかりを求めているわけじゃないと思うんです。あのキャストとあのキャストが出ているから観てみよう!とか、ドラマにはいろんな楽しみ方がある。エンタメに振り切った作品も大事。
島田 そうそう。ヤン・ミーとチャン・ビンビン共演ですよ! 観ましょう!と(笑)。
本当にこういう家族がいるんじゃないかって肩入れしてしまう(小酒)
──ヒューマンドラマではお二人ともオススメ作品として
「家族の名において」
DVD-BOX1~3販売中:各税込1万3860円
発売元:ソニー・ミュージックソリューションズ / コンテンツセブン
販売元:TCエンタテインメント
ストーリー
血はつながっていないが兄妹のように育った3人、リン・シャオ(ソン・ウェイロン)、ハー・ズーチウ(チャン・シンチョン)、リー・ジェンジェン(タン・ソンユン)は、それぞれ幼少期のトラウマを抱えながら、リー・ジェンジェンの父とリン・シャオの父のもとで元気に育っていた。しかし2人の兄が高校を卒業したあと、あることがきっかけで離ればなれに。9年後、2人の兄と再会したリー・ジェンジェンは、兄妹として失われた時間を取り戻そうとするが、兄たちに思いを寄せられ、次第に自分の恋心に気付くようになる。
小酒 他人が家族になるという部分に違和感を感じないのは中国ドラマならではかもしれませんよね。アパートの上下に住んでいるという関係だと、日本の場合ご近所さん止まりで家族という表現には違和感を感じるかもしれない。でも、中国だと兄、妹と呼び合う仲になるという物語はよくありますよね。
──なるほど。
小酒 3兄妹の人生が子供時代から長いスパンで描かれているのがこのドラマのいいところ。本当にこういう家族がいるんじゃないかって肩入れしてしまう。街で見かけたら「お父さん! がんばって!」って声かけちゃいたくなるような。
島田 お父さん2人が本当にいいんですよね。すごく心つかまれる。
小酒 序盤はホームドラマで、途中からラブストーリーになっていく。タン・ソンユンを前にして、やっぱりお兄ちゃんたちは恋せずにいられない(笑)。大人になったヒロインが、再会したお兄ちゃんたちとちょっと距離を感じるところもいいなって。子供の頃みたいに無邪気ではいられない男女の姿がリアルでした。恋愛パートはソン・ウェイロン演じるリン・シャオに肩入れして観ていたんですが、つらい思いをした子供時代から、愛を求めてきた彼の姿を追ってきているのでものすごく感情移入してしまいましたね。幼少期の回想シーンをちょっと挟むだけなのと、「家族の名において」のように子供の頃からしっかり描いているのとでは、観ている側の感情の乗り方が全然違う。
島田 私も序盤の子供時代からずっと泣いていましたね。ごはん食べさせてあげてー!って(笑)。それぞれが、何かしらの思いを抱えていて、リン・シャオとハー・ズーチウのお母さんも悩みがあって、みんなが悪者じゃない。そんなところも切なくて、ぐっとくる。恋愛パートもとっても素敵なのですが、親や大人の目線で家族ってなんだろう?って改めて考えさせられるようなドラマでもありました。幅広い年齢層にオススメできる作品ですよね。タン・ソンユン、ソン・ウェイロン、チャン・シンチョンがお目当てでもいいし、ヒューマンドラマが好きな人にも観てほしいです。
──日本未放送・未配信、ソフト未発売の作品で楽しみにしているものはありますか?
島田 バイ・ジンティン主演のタイムループドラマ「開端(原題)」がすごく評判がよくて、日本に来てくれないかなと思っていますね。バスの爆発に遭遇した主人公がそれを食い止めるために奮闘するという作品です。あとはやっぱり
小酒 「余生」は地に足の着いたラブストーリーですよね。恋愛パートが派手に盛り上がったりするタイプのふわふわした話じゃなくて。親子もののホームドラマでもあるし、観終わったあといいドラマだったなと思いました。
──現代劇でのシャオ・ジャンを楽しみにしている人も多いと思います。
小酒 時代劇でのイメージとは全然違っていましたね。彼が演じる顧魏は決してスパダリではない。エリートの医師なんですけど、打たれ弱いところがあって、そんな彼をヤン・ズー演じる林之校が叱り飛ばすんです(笑)。中国ドラマのヒロインだなと。顧魏がトラウマを克服していく姿にリアリティがありました。
島田 ヤン・ズーは実力も人気もあって、かわいいし、こういう女優さんが今中国で好かれるのかなと思いますね。
小酒 「余生」も明るい個性のあるヤン・ズーだからシリアスなパートになっても、絶妙につらくなりすぎない。キャストが豪華ですし日本でもみんな観てくれそうな作品だなと期待しています。
さとうしん @satoshin257
https://t.co/ytvWaXYkv8
現代ドラマっつっても『山海情』とか『人民的名義』とか『大山的女児』、日本語版が放映される『都挺好』あたりは死んでも入ってこないというのはわかりますw