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「金曜ロードSHOW!」×「午後のロードショー」局またぎプロデューサー対談

金ローで「ミスト」は実現可能?午後ローもファミリー層を狙いたい?テレビで映画を放送する意味とは

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サメ、ワニ、クマ

──お二方は動画配信サービスで映画を観ることはありますか?

岡本 あります。

北條 私は劇場に行ったり試写で観ることがほとんどで、配信ではほとんど観ないです。

岡本 僕は趣味で観るというよりは、配信サービスには自分が観ていない作品が並んでいるのでマーケットリサーチとして使っていて。観て面白い作品があったら配給会社を調べて、「午後のロードショー」用に買うのはありかなと考えたりしています。番組向きだと思う映画を片っ端から劇場へ観に行ったりもしてるんですが、それだけでは追いきれないこともあるので。

北條 偉い(笑)。

──観たい映画の多くがいつでも動画配信サービスで観られる状況ですが、テレビで映画を放送する意味についてはどうお考えですか?

北條 配信サービスは観たい映画を能動的にチョイスするメディア。テレビは逆に「知らないジャンルだったけどこんなに面白い映画があるのか」といった出会いのきっかけを作る場だと思っています。

岡本 僕もそう思います。配信って玉石混交で作品がラインナップされているので、選ぶのがけっこう大変だと思うんです。今年はコロナの影響で外出が減って、地上波では観たい番組がやっていないから配信サービスに登録したという友人たちがいて。最初は「こんなにたくさん映画やドラマがある!」と楽しかったらしいんですが、面白いのか面白くないのかを自分の頭で考えて、トライアンドエラーを繰り返して観る作品を選ぶことにだんだん疲れてきたみたいなんです。地上波で放送する映画は、こちらの基準でふるいにかけたものなのでハズレは少ない。面白さが保証されていて観る時間を無駄にしないという意味で、テレビで映画を放送することは価値があるなと改めて感じました。

北條 あと「金曜ロードSHOW!」では番組を観ながらリアルタイムで感想をツイートする方も多く、これも配信では味わえない楽しみ方です。日本全国知らない人たちと同じ時間に同じ作品を観る特別感は地上波ならではかなと。

岡本 そうですね。

──配信からは話が逸れるのですが、岡本さんは先ほど「午後のロードショー」向きだと思う作品を片っ端から劇場で観ることがあるとおっしゃっていました。例えば「サメ映画は全部観る」みたいなことでしょうか?

岡本 サメ、ワニ、あとクマですね。

──そこに時間を取られて「午後のロードショー」の放送作とは毛色の違う、しっとりしたラブストーリーを観る暇がないといったことはないですか?

岡本 ラブストーリーも好きなので趣味程度にときどき観たりはします。毎日アクション映画ばかりだと飽きますし、たまには癒やされるような映画も観たくなるので。

「金曜ロードSHOW!」では来年、新たな吹替版を制作予定

──ツイートのお話も出たので、SNSの使い方についても伺えればと思います。両番組ともにTwitterのアカウントを持ち、頻繁に放送の告知をしている印象があります。

北條 「金曜ロードSHOW!」ではオンエア中にリアルタイムでその映画のネタをツイートしていて。Twitterのトレンドになることで、途中からでも番組を観てもらえるという効能があります。なので力を入れていますね。

岡本 僕たちの場合はメインの視聴者が高齢の方なので、SNSとの親和性は低いです。とは言え今北條さんがおっしゃったように、家でTwitterを見ていた方に「自分の好きな映画やってるじゃん」という気付きを与えられるかもしれませんし、この時代にSNSをやらないのは宣伝としてもったいないと思うのでやるようにしています。今年のゴールデンウイークに阿部サダヲさん主演の「殿、利息でござる!」を放送したんですが、村と民の将来を思い立ち上がった有志たちが疲弊した村を救うという、絆・人情を感じる温かい物語なんです。世の中はコロナの影響により緊急事態宣言下の苦しい状況だったので、いいメッセージになるかなと思ってラインナップしたんですが、オンエア中にSNSを見ていたらそれを感じ取ってくださった視聴者の方が「劇中の言葉“決して卑屈になるな”というセリフが心に響いた」「気持ちがギスギスしたこの時期にこれを観て心が安らいだ」「今、世の仕組みを作る人たちに観てほしい映画だ」といった感想をつぶやかれていて。少しは励ましになったのかもしれないという意味で、ラインナップしてよかったと思います。そのときの個人全体の視聴率が「午後のロードショー」歴代最高の視聴率でもあったので、結果としても最高でした。

北條 おおー。すごくいい話ですね。

──北條さんもその時々で人々が求めているものを放送していきたい気持ちですか?

北條 もちろんです。なので「金曜ロードSHOW!」でも視聴者からのリクエスト企画を行って、今年は「天使にラブ・ソングを…」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ、「E.T.」「プラダを着た悪魔」などを放送してきました。一時期は昔の作品にそれほどスポットを当てていなかったのですが、2018年の12月に「ホーム・アローン」をオンエアしたら、今まで何回もやっているにもかかわらず視聴率がよかったんです。時期もあるとは思いますが古い作品にもニーズがあるんだなと感じましたし、今年のリクエスト企画の結果もそれを示している。温故知新と言いますか、大人の方には懐かしい気持ちで観てもらえますし、子供たちには新作と同じような感覚で観てもらえていると思います。

「ホーム・アローン」(写真提供:20TH CENTURY FOX / Allstar Picture Library / ゼータ イメージ)

「ホーム・アローン」(写真提供:20TH CENTURY FOX / Allstar Picture Library / ゼータ イメージ)

──「ホーム・アローン」つながりで言うと、「金曜ロードSHOW!」では寺田心さんを迎えた「ホーム・アローン3」新吹替版を制作し、2019年12月に放送していました。今後も吹替版は作っていくんですか?

北條 やります。詳細はまだ言えないんですが、来年早めのタイミングで予定していることがあります。

──どの作品を選んでいるのか、楽しみです。ちなみにお二方は吹替版の魅力についてどうお考えですか? 洋画は字幕で観たいと思っている方も多いと思いますが。

北條 まずは画に集中できることですね。字と画を行ったり来たりしてると、物語に集中できなくなることがあるので。

岡本 字幕だと文字を集中して追っていないと、何が起きているのかわからなくなることがありますよね。テレビは何かほかのことをしながら観ることができるのが特性だと思っていて、スマホをいじりながら、家事をしながら、ご飯を食べながら観ている方が多いです。吹替版だと何かほかのことに集中しながらでも観ることができる。

北條 あとは誰が演じるかによって世界観が変わるのも魅力だと思います。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズにも山寺宏一さん版だけでなく三ツ矢雄二さん、織田裕二さん、宮川一朗太さんバージョンがあって、それぞれ印象が違って面白いです。

岡本 最近は各局あまり吹替版を作らない傾向にありますが、やっぱりそれは大事にしていくべき文化だと感じます。その文化によって、ブルース・ウィリスだったらこの人、アーノルド・シュワルツェネッガーだったらこの人、という楽しみ方が生まれたと思うので。

「午後のロードショー」は来年4月で25周年

──最後に、今後予定している新しい取り組みがあれば教えてください。

北條 現在進行系で取り組んでいることですが、「金曜ロードシアター」を今年の夏に始動しました。「金曜ロードSHOW!」の公式サイトからアクセスできて、放送を観ながらほかの視聴者と感情を共有できる取り組みです。今は笑えるシーンで笑いのボタン、泣けるシーンで泣きのボタンを押してもらうといった形なのですが、どんどんチューンアップしていきたいと考えています。今はアナウンサーに参加してもらったりしていますが、今後は出演している俳優さんに参加してもらったり、視聴者の方々がコメントを入れられるようにしたいなと。いかにしてリアルタイムで観てもらうかが最重要なので、それに向けていろいろなことをやっていきます。

岡本 「午後のロードショー」は来年の1月下旬に放送5000回記念のタイミングがあって、4月には25周年を迎えます。「午後のロードショー」はお昼のローカル枠で、潤沢に予算があるわけではないので、ラインナップの組み方で勝負する部分もあります。両記念にふさわしい作品を放送していきたいと考えていますので、ラインナップを楽しみにしていてほしいですね。

「金曜ロードSHOW!」放送ラインナップ

日本テレビ系 毎週金曜 21:00~
2020年11月20日(金)「ルパン三世/カリオストロの城
2020年11月27日(金)「ルパン三世 THE FIRST
2020年12月4日(金)「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話
2020年12月18日(金)「怪盗グルーのミニオン危機一発
2020年12月25日(金)「風の谷のナウシカ
※2021年1月には「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」を3週連続で放送

「午後のロードショー」放送ラインナップ

テレビ東京 毎週月曜~金曜 13:35~
2020年11月20日(金)「ダイ・ハード2
2020年11月24日(火)「ナイルの宝石
2020年11月25日(水)「スピード2
2020年11月26日(木)「フラッド
2020年11月27日(金)「ダイ・ハード3
2020年11月30日(月)「エボリューション
※12月のラインナップは番組公式サイトで確認を

北條伸樹

「金曜ロードSHOW!」プロデューサー。好きな映画監督はスティーヴン・スピルバーグと「リメンバー・ミー」のリー・アンクリッチ。好きな俳優はジュード・ロウ。子供の頃に映画館で観た思い出深い作品は「スター・ウォーズ」シリーズ、「E.T.」、ロジャー・ムーア版の「007」シリーズ。

岡本英一郎

「午後のロードショー」プロデューサー。好きな映画は「タイタンズを忘れない」「ブレイブハート」「ザ・エージェント」。好きな俳優はケヴィン・コスナー、ジョージ・クルーニー、ダニエル・クレイグ。リドリー・スコットが手がけた史劇や、マイケル・マンによる“男たちのドラマ”も愛好している。

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読者の反応

ビニールタッキー @vinyl_tackey

午後ローはメイン視聴層の60代以上の男性向けに映画をセレクトしているということなので午後ローのラインナップに喜んでる自分はほぼ60代男性だという学びがあった。https://t.co/lvQZjF7uN8

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