新型コロナウイルスの感染拡大で休業を余儀なくされたことにより、全国の映画館は苦境に立たされた。その状況にもどかしさを感じている映画ファンは多いはず。映画ナタリーでは、著名人にミニシアターに関する思いをつづってもらう連載コラムを展開。ぜひお気に入りの映画館を思い浮かべながら読んでほしい。
第6回には、ミニシアターでかかる通好みな作品から大作まで、幅広く出演する
文
ミニシアターに行ったことがない人へ
“時代と添い寝する”
映画界に入り今現在まで僕の行動の“軸”になっている言葉です。
複数人の映画監督から聞いた言葉。
たかだか47歳の自分。
ヒヨっ子でしょう。
ある角度から見たら中堅どころでしょうか。
人生の起伏。
バランス。
非・バランス。
ミニシアターというテーマでこの文章を書いています。
しかし僕はそこまで映画館を大小でカテゴライズしていないので
こう“ミニシアター”に特化しては意見も文章も書けないです。
もう引退はしましたが僕はDJという職業のキャリアも長かったのです。
いわゆるアーリー・90's。大きなハコ(大人数)の現場なら多少は選曲も変わる。
小さなハコなら小さなハコなりの選曲。
これです。
僕は一般のかたと話すことも少なくないのですが
小さな“クラブ”
映画館でいうと“ミニシアター”
「え。いったことないです。ちょっと怖そう」
こういう意見が本当に多いです。
恐怖!のようなこわさではないと思います。
なんでしょ。
噛み砕くと「玄人が行くようなモノでしょう?」
でしょうか。
僕はこう答えます。
大中小、どれも変わらないですよって。
もちろん“ミニシアター”ならではの素晴らしさはあるんだと
思います。
運営するほうも、見にいくほうもそこまでカテゴライズすること
ありますかね。もちろんキュレーションもです。
映画館は“映画”を愉しむ場所です。
インターネットもなく当然紙媒体にパワーがあった時代。
週刊誌としてほぼすべてのエンターテイメントのスケジュールが
載っていた雑誌。
“この映画観たいな”とどうジャッジしていたか。
見開き2Pにちっこく並べられたその作品のシーン写真。
メイン・ヴィジュアルではないいわゆる“現場写真”。
大きさでいうとちょうどインスタグラムで見かけるくらいの
大きさ。
そう。ちっこい写真。
…ので僕は現場に入る時にはいろいろなことで精一杯。
あっぷあっぷですがスチール撮影にも重きをおいています。
役者を始めた頃からもこれからもそれは変わらないと思います。
映画という“娯楽”。
そして“総合芸術”を映画館の大中小でカテゴライズするのも
前時代な考え方だと思います。
創り手たちがそこも再考と熟考を日々繰り返すことが
お金を払って見にきてくださるお客さまへの最も大切なサービス。
僕はそう思います。
※映画ナタリーでは、業界支援の取り組みをまとめた記事「今、映画のためにできること」を掲載中
村上淳
1973年7月23日生まれ、大阪府出身。モデル活動を経て、1993年に「ぷるぷる 天使的休日」で映画デビュー。「ナビィの恋」「不貞の季節」「新・仁義なき戦い。」の3作品で第22回ヨコハマ映画祭助演男優賞に輝いた。以降、数多くの映画やドラマに参加。2020年には「静かな雨」「初恋」といった出演作が公開されたほか、角川春樹監督作「みをつくし料理帖」が10月16日、山本政志監督作「脳天パラダイス」が年内に公開予定。五十嵐匠の監督作「島守の塔」では萩原聖人とダブル主演を務める。
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