久々にセーラームーンを演じて

──来年４月に発売される「PROPLICA ムーンスティック」には三石さんの録り下ろし音声が収録されますが、久々にセーラームーンを演じてみていかがでしたか？

三石　その前に「S.H.Figuarts」のPVのナレーションを録ったんですけど、なんでしょう、新人に戻ったような緊張感で。かつてこの役をやった、という実績があるので、そこに辿り着けるか不安だらけでした。

おさBU　昔の感覚を取り戻すのが。

三石　ええ。一応過去のDVDはチェックして臨んだんですけど。当時のスタッフもいないので、自分がどこまで歩み寄れるか、孤独な作業だった気がします。でもムーンスティックの収録のときは、よりしっかり臨ませていただきました。

おさBU　合格点は出せましたか？

三石　はい。収録後は「どうよ！」という気持ちになりました。

おさBU　もう当時と聞き分けできないですよね。ファンの方も皆同じだと思うんですけど、時間が経つにつれて脳内でイメージを美化していってるから、三石さんの声を聴いて、昔と同じだったら怒るぐらいなんですよ、多分。でも変わらないように聴こえるというのは進化もしてるということで、すごいハードルが高いことをやっていらっしゃる。本当のプロってこういうことなんだなと思いました。そんな声が入っているこのムーンスティックは、本当に贅沢ですね。造形も含めて、やれることは全部やり尽くされてると思います。

三石　作品の中からそのまま出てきたみたいな造りですよね。こんなに先っぽが尖ってるムーンスティック、子供向けでは無理だもんね（笑）。

原作マンガのうさぎ像にも、三石琴乃の影響が

──当時うさぎちゃんの役作りをするに当たっては、原作マンガを参考にすることもありました？

三石　そうですね。スタジオに毎月なかよしが届いてたので、「わーい！」って楽しく読んでました。

おさBU　ちょうど原作も完全版の刊行がスタートしたので、ぜひ三石さんにも読んでいただければと……（1・2巻を差し出す）。

三石　わあ、ありがとうございます！ キレイな表紙……うさぎ、なんだか地に足が少し着いた感じがする。

おさBU　20年前はもっと浮ついてましたか？ 相変わらずだと思いますけど（笑）。

三石　ふふふ（笑）。10代の少女はみんなフワフワしてるものよ。

おさBU　連載当時、武内先生はうさぎを描くときに三石さんの影響を受けてましたよ。2人でネームを見てるときに、うさぎちゃんが「いや～んっ」って言ってるシーンで「この前三石さんとお話したときに『いや～んっ』ってやってて、かわいかったんですよ！」って教えてくれたりして。

三石　ええ、本当？ それは初耳。

おさBU　受けた影響が割とすぐネームに出るタイプだったので、三石さんの仕草や雰囲気が、絵に生きていた部分はあると思います。今回の完全版でいうと、これから出る3、4、5巻あたりに三石さんの影響が出てきていると思うのでぜひ目を通していただければ。

三石　ふふふ、もちろん！ 読んでも自分ではわからないと思うけど（笑）。とてもうれしいです、ありがとうございます。

──完全版もまだまだ出ますし、これからもセーラームーン20周年の企画を楽しみにしているファンの方々に、最後にメッセージをいただけますか。

三石　昔アニメを見たりなかよしを読んでた少女たちが、今は立派な大人の女性になってると思うんですけど、いつまでも心の中に「乙女のポリシー」を忘れずに。眠っていたら、起こしてくださいね。このいろいろなセーラームーン20周年企画、世代や職業や立場など関係なく、こうなったら全世界で一緒に盛り上がりましょう（笑）！

おさBU　20周年のさまざまな企画はまだ始まったばかりで、まだこれからもいろいろと登場すると思います。ぜひ楽しみに待っていてください！