女子高生とキャンプ、ダブルの癒し
──見ているとキャンプしたくなるのは原作にもアニメにも共通する作品の魅力だと思いますが、そのほかに「ゆるキャン△」が人気作になった理由をどう思われますか?
東山 まず原作者のあfろ先生が実際にキャンプ場に行かれて、ご自身の体験に基づいて原作マンガをしっかり描かれているのが面白いですよね。そのうえでアニメ制作のスタッフの皆さんもロケハンを重ねていて、キャンプの描写がとにかく丁寧なんですよ。
花守 10回以上もロケハンしているらしいです。あと「ゆるキャン△」は女の子たちの絶妙な距離感だったり、リアリティのある会話のやりとりも見どころだと思います。
──第7話で、なでしこが本当は高校生なのに「中学生?」と聞かれて「そうです!」と元気に答えますよね。あの勢いだけの嘘とか、無邪気なところがなでしこらしいと感じました。
花守 そうそう、その辺の会話の自然さが絶妙ですよね。
東山 私は、なでしこのお婆ちゃん口調シリーズが好き。そのときも「若く見られてうれしかったんじゃよ」とか言ってて(笑)。ほかにも“秘密結社ブランケット”みたいな、身内でちょっと流行ったネタが、時間を経てまた面白さがぶり返して、もう1回言っちゃうのも、普通の女子高生っぽいですよね。
花守 そういう女子高生たちの何気ないやり取りから生まれる癒しと、自然に囲まれた場所を丁寧に描いていることで得られる癒し。そのダブルの癒し効果があるのが「ゆるキャン△」の魅力なのかもしれませんね。
──それでもここまでの話題作になるとは。AmazonではBlu-rayが在庫切れになるだけでなく、作品とコラボしたYAKINIKUセット(参照:「ゆるキャン△」リンの焚き火グリル発売、着火すると富士山が浮かび上がる)や、リンが乗るものと同じカラーのバイクが完売したということがSNSでも話題になっていました。そのほかなでしこが住んでいる山梨県身延町では、町内で「ゆるキャン△」の放送をお知らせする回覧板が回ったそうです。
花守 山梨県の観光協会さんもアニメの公式サイトかのようなサイト(参照:アニメ「ゆるキャン△」で登場した 山梨県内のモデル地をご紹介!/富士の国やまなし観光ネット 山梨県公式観光情報)まで作ってくださって、ありがたいですよね。「ゆるキャン△」は内容的に、幅広い年齢の方に楽しんでいただけると思うので、いろんな人が観てくれたらうれしいです。私の従兄弟たちも「ゆるキャン△」を観て「キャンプに行ってみたい」とか「真似したい」とか言ってましたね。
東山 私も家族で観ているんですが、みんなすごくハマっています。できれば家族みんなでキャンプに行きたいんですけど、なかなかすぐには行けなくって。だから母に「(5話で登場した)スープパスタ作って」とお願いしました(笑)。
花守 私も今、ゆるキャン△の影響でスープパスタを頻繁に作っています(笑)。作中と同じくパスタを折って。聖地巡礼じゃないですけど、なでしこたちと同じ物を食べるのが楽しいです!
東山 わかる!! 私も時間があるとネットでスキレットを売ってるサイトとか探しちゃうもん(笑)。1人でソーセージとか焼けるサイズ感のものが欲しい。
花守 わかります。私もダッチオーブンが欲しくて、探している最中です。
──道具も揃いつつあるし、メインキャスト5人でキャンプするしかありませんね。
東山 5人揃って行きたいよね。「ゆるキャン△」2期がもしあるなら、実際にキャンプを体験してからアフレコに臨んでみたいです。特にリンはソロキャンプのプロなのに、私はテントを立てたこともないし、火起こしもしたことないんです。でも今は多少、キャンプ知識が付きました。
花守 松ぼっくりが火起こしに役立つとか。
東山 そういう豆知識を披露し合って、まるでキャンプ通の人みたいにして楽しんでみたいです。
花守 そうですね! でも、テントは2人用なんですけどね……。
──テントをあと2つ買えば、5人でも大丈夫ですよ。
花守 なるほど、がんばります(笑)。私は企画でソロキャンプはしましたけど、日帰りだったのでいつか泊まりでキャンプしたいですね。
収録時より今のほうが「くぁwせdrftgyふじこlp」を練習している(東山)
──「ゆるキャン△」は登場人物がそれほど多くないので、アフレコ現場も少人数だったと思います。どのような雰囲気でしたか?
東山 みんなで1つの話で盛り上がれる規模感で、ファミリー感が強く、和やかでしたね。
花守 静かにしていてもすごく居心地のいい現場でした。誰かが話しているのに耳を傾けつつ、のんびりゆるく過ごすのも良しというような。もちろん本番はちゃんと仕事をしましたけど(笑)。差し入れのお菓子も、収録話数に出てくるお菓子にちなんでいて。
東山 桔梗信玄餅、みんなでこねたね。
花守 こねました(笑)。アフレコ外でも自然と「ゆるキャン△」の話で盛り上がっていました。鍋の話だったり、いつかキャンプで行きたい場所だったり、みんなでよく話していたのを覚えています。
「ゆるキャン△」2話の「くぁwせdrftgyふじこlp」で思わぬ反響をいただいてびっくりしています!皆さん観てくださってありがとうございます!!
— 東山奈央 オフィシャル (@naobou_official) 2018年1月17日
その2話にも出てきました信玄餅はアフレコでもいただきました♪動画は、原さんからの李依ちゃん(o^^o)最後すごい終わり方していますが…(笑)東山奈央 pic.twitter.com/W8uUw2JNn7
──それぞれの演技について伺わせてください。花守さんはなでしこを演じるときにどんな点を意識しましたか?
花守 当初は天真爛漫で、一直線に突っ走るキャラクターという印象でしたが、アフレコを通じて意外と普通の女の子の側面も強いと感じるようになりました。例えばリンちゃんと話してるときと野クル(野外活動サークル)のメンバーと話してるとき、お姉ちゃんと話してるときで会話の雰囲気や対応が変わるし、ちゃんと相手のことを見て行動する子なんです。あと明るくみんなを引っ張るというよりは、自然とグループの輪の中にいてイジられる。そういうギャップを感じつつ、収録していきました。
──一方の東山さん演じるリンはソロキャンプ好きで、わりと独り言が多い印象です。
東山 その通りですね。リンがソロキャンするときは、多いときは台本で3ページぐらいずっとリンのセリフが続くんですよ(笑)。しかもクール寄りなキャラクターではあるので、独り言が続く中でも起伏を付けたり遊びを持たせないと、単調になりやすいのでそこは気を付けました。ただ、リンは表情は変わらないけど静かにテンションが上がっているタイプなんですよ。
花守 そう、意外に感情豊か。
東山 だから彼女の感情に乗っかって結構のびのびと演じさせていただきました。たまに「ちょっとやりすぎです」と言われましたけど(笑)。
──リンといえば、第2話では斉藤とのメッセージアプリでのやり取りが印象的です。斉藤がふざけて「貴様のいるキャンプ場に熊とトラとチワワ100匹を放った」と送ってきて、それに乗っかる形で「うわなにをするくぁwせdrftgyふじこlp」と返すわけですが、本来は発音できないネットスラングを、アニメでは東山さんが見事に読み上げていました。
東山 SNSで皆さんが話題にしてくださったり、ニュースにまでなったり……驚きました。
花守 「どんなふうに読むんだろう」とすごく楽しみにして現場に行ったんですけど、特にリテイクなどもなく「オッケーです」と言われていて少し拍子抜けしました(笑)。
東山 そうそう。私としてはあまり深く考えていなくて。もし発音が間違っていたらテストで言われるだろうし……そもそも正解もないかもしれないんですけど(笑)。そうしたら特に指示もなかったので、本番も同じようにやっただけです。それがこんな感じで話題になっちゃって……。今後、絶対にイベントとかでやってみてくださいと振られるんじゃないかと思っているので、アフレコ時より今のほうが練習してるかも(笑)。
花守 いざというときのために(笑)。
東山 「ゆるキャン△」メンバーも登場するゲーム「きららファンタジア」の収録があったんですが、そこでさっそく「ふじこ」の練習が役に立ちました。「もう1回いいですか?」とか自主リテイクまでして(笑)。
花守 リンがダメージを受けたときに言うんでしたっけ?
東山 そう!
花守 新しい「くぁwせdrftgyふじこlp」を聴くには、ずっとリンちゃんが攻撃されるしかない(笑)。
いかに美味しそうに食べられるかこだわった食事シーン
──「ゆるキャン△」でもう1つ驚かされたのが、食事シーンでの迫真の演技です。
東山 絵がすごく美味しそうだから、私たちもいかに美味しそうに食べられるかがんばって演じました。
花守 奈央さんのこだわりがすごいので、いつも話を聞いて納得しながら演じていました。
東山 食べ物を食べるとき、それが口内の下に溜まるものなのか、ほっぺに溜まるものなのかなど演じ分けるためにいろいろ考えなければいけないとかね。
──例えば1話に出てきたカレーめんだったら、どんなことに気をつけて演じたのでしょうか?
東山 カレーめんはすすって、口の中で咀嚼すると少し汁が溜まりますよね。でももし、パンを食べながらのセリフだったら、口の中の状況ももっと変わりますし、音も変わります。それにしてもカレーめんを食べるシーンは、なでしこの描写がすごく細かくて何回も録っていたよね。
花守 アフレコ時に、「ここで1回スープを飲みます」「ここで麺を折りたたみます」といった感じで、一挙一動細かく指示をいただいて録りました。
東山 そのシーンもそうですけど、同じ物を食べるときでもなでしことリンでは音が少し違うので、それぞれの個性を楽しんでほしいです。
次のページ »
コンビニのカレーめんを品切れさせた(?)「ゆるキャン△」
- テレビアニメ「ゆるキャン△」
-
- 放送情報
-
- AT-X:毎週木曜23:00~(リピート放送:毎週土曜15:00~ / 毎週日曜21:30~ / 毎週水曜7:00~)
- TOKYO MX:毎週木曜23:30~
- サンテレビ:毎週木曜24:30~
- KBS京都:毎週木曜25:00
- BS11:毎週木曜25:30~
- スタッフ
-
- 原作:あfろ(まんがタイムきららフォワード/芳文社刊)
- 監督:京極義昭
- シリーズ構成:田中仁
- キャラクターデザイン:佐々木睦美
- 色彩設計:水野多恵子
- 美術監督:海野よしみ
- 撮影監督:田中博章
- 音響監督:高寺たけし
- 音楽:立山秋航
- アニメーション制作:C-Station
- キャスト
-
- 各務原なでしこ:花守ゆみり
- 志摩リン:東山奈央
- 大垣千明:原紗友里
- 犬山あおい:豊崎愛生
- 斉藤恵那:高橋李依
- 各務原さくら:井上麻里奈
- ナレーション:大塚明夫
- ほか
©あfろ・芳文社/野外活動サークル
auの動画配信サービス ビデオパスにて
「ゆるキャン△」が見逃し配信中!
初回登録30日間無料で映画・ドラマ・アニメも見放題
- auビデオパスとは
- 「ビデオパス」は映画(洋画・邦画)やドラマ、アニメなどさまざまなジャンルの映像作品を視聴できる、auスマートフォン向けの動画配信サービス。最新のレンタル作品や月額562円(税抜)の見放題プランに加え、会員登録不要の無料作品もご用意。見放題プランは、毎月もらえる「ビデオコイン」を使って追加料金なしで毎月1本の最新作品を視聴でき、初回登録時には30日間無料でお試し視聴できる。
- アニメ「ゆるキャン△」vol.1
- 2018年3月28日発売 / フリュー
-
[Blu-ray Disc]
15120円 / AMUANM-2700 -
[DVD]
12960円 / AMUANM-2701
- 花守ゆみり(ハナモリユミリ)
- 9月29日生まれ、神奈川県出身。2013年にアニメ「あいうら」の天谷颯太役で声優デビュー、2016年には「ガラスの花と壊す世界」のリモ役として、劇場アニメ初出演にして初主演を果たしている。そのほかの出演作にアニメ「オーバーロードⅡ」イビルアイ役、「リルリルフェアリル」りっぷ役、ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」の佐藤心役など。
- 東山奈央(トウヤマナオ)
- 3月11日生まれ、東京都出身。2010年にアニメ「神のみぞ知るセカイ」中川かのん役でテレビアニメデビュー後、「きんいろモザイク」九条カレン役、「ニセコイ」桐崎千棘役、「マクロスΔ」レイナ・プラウナー役、「魔法少女育成計画」スノーホワイト役をはじめとした作品に出演。2017年には歌手としてソロデビューも果たした。