コミックナタリー Power Push - 四位晴果「よしとおさま!」
メガネ君の家にイケメンお庭番が押し掛け女房! BL脳の女性マンガ家が少年誌の壁に挑む新境地
「行き過ぎた友情」を面白がってほしい
──例えばお助けキャラといっても、異性とかお年寄りとかマスコットキャラとかいろいろなバリエーションが考えられると思います。でも、こういう同年代の男性でコントラストがついたキャラ2人っていうのは、やっぱりBLっぽい。それは悪い意味じゃなくて。
あー、お年寄りとか考えてなかったな。そういうのに一切脇目もふらずこの2人だった。「よしとおさま!」で描いているのは、あくまでも「行き過ぎた友情」。行き過ぎてるから、それは現実にはありえないんだけど、でもマンガだったらありえる。「(現実には)ありえないことが(マンガだったら)常識だ」っていうのが私のマンガには裏テーマみたいにあって。あくまでも「よしとおさま!」は友情モノですから、そこを面白がってください。
──ご自身はBLを読まれたりも?
読みますね。すごく詳しく作家さんを知ってるわけじゃないですけど。あえて挙げるなら雁須磨子さんが好きです。この方の作品は、世界観にのめりこんでしまう。方言とか、舞台になっている場所とか。
──雁さんはBL以外の場でも活躍されていますね。
どんな媒体で描かれていても世界観が確立されているというのはすごいなぁって。自分の中にちゃんとしたものを持ってらっしゃるからブレないんだな、と。
──ところで「よしとおさま!」には女性キャラが少ないですが……。
それはもう謝るしかないというか(笑)。自分が何も考えずにやってたら、ヒロインが出てきていないっていう、少年マンガとしてはけっこう危機的な事態に……。まあ、でもヒロインはそろそろ出さないと……。
──ヒロイン、出てくるんですか?
一応予定はあります。少年誌的には出さないとっていうのがあるし。
──男性キャラだけで突き進んで行ったら、それはそれですごいですけど。
や、や、少年誌ですから。わかるんですよね、ゲッサンの中でも浮いてるっていうのが……。まあ、何かしら姫は出すので期待しててください。
──ヒロインではないですが、善透のことを好きになってしまう鷹郎という刺客は出てきますね。
鷹郎は意外に好評を得ていて。ある男のアシスタントさんも「鷹郎面白いですね」って言ってくれていて。もしかしてこれくらいなら男性も受け入れてくれるのかな、大丈夫なのかな、でも突っ走らないようにしよう、と(笑)。
──そこで鷹郎を女にしようとは考えなかったんですか?
鷹郎を登場させた後に、読者側から「暗殺者が善透に惚れるっていう設定のキャラクターを作ったらいいと思います」っていう意見がきて、そこで初めて気付きました。「そうか! 鷹郎を女にすればよかったのか!」って(笑)。
あらすじ
天涯孤独な高校生・藤善透。父さんはいない。母さんは死んでしまった。でも強く元気に前向きに、めちゃめちゃハングリーに生きている!! なのに突然、何者かに命を狙われるハメに……!? そこに現れたのが、善透を守るべく遣わされた平成のお庭番、渋谷サビ丸!! 「善透さまは一人にあらず!」おしかけ迷惑お庭番コメディ!!
四位晴果(しいはるか)
12月7日生まれ。福岡県出身。2003年、「河児」で少年サンデー特別増刊Rでデビュー。ルーキーキングに輝く。その後、週刊少年サンデー2007年19号より「メテオド」を連載。同作は全4巻で発売中。2009年、ゲッサン創刊号より「よしとおさま!」連載開始。