コミックナタリー Power Push - 四位晴果「よしとおさま!」

メガネ君の家にイケメンお庭番が押し掛け女房! BL脳の女性マンガ家が少年誌の壁に挑む新境地

サビ丸は近くにいてほしいキャラクター

まず、「よしとおさま!」は設定よりも何よりも、その会話をするキャラクターから考えたんです。善透っていうキャラは母親だけしかない片親の家庭に育っていて、お父さんはいるけど顔すら知らない。実は私も13歳の頃から父親がいないんですね。

──そうなんですか!

善透は自分の分身だと話す四位。

癌で死んでしまって。だから思春期に大人の男と接触した思い出がないんです。それを生かせたらいいな、というか、今私に出せるものがそれしかなくて。自分のことを主人公に投影するのってどうだろうとも思いましたが、何より自分で描いていて無理のないキャラクターを描いていこう、と。

──善透は四位さんの分身ということですね。ということは、先に善透から生まれたんですか?

いや、先に生まれたのはサビ丸なんですよ。前の作品で苦しむだけ苦しんだので、そういうときに自分を助けてくれるようなキャラクターがいてくれたらなって。ドラえもん的な。

──助けてほしい人が善透で、助けてくれる人がサビ丸?

そう。でも善透は今まで精一杯がんばってきてるから、「助けなんていらない、これからもひとりでがんばって生きていくし」って思ってるんです。それも私の一方での感情だったんです。でも人はひとりでは生きていけない。だからサビ丸が善透を助ける。で、どんな人に助けてほしいかなって考えると、私ギャル男が好きで。DAIGOとか(笑)。

──確かにサビ丸は見た目ギャル男っぽい。

だからといって彼氏みたいにそばにいてほしいとかではないんですけど。愛玩動物みたいな感じでそばにいたらいいんじゃないかと。マンガだったらそれが可能だと思って。頑なな主人公とちょっとおバカなお助けキャラがコンビだったら面白いんじゃないかな、と。

──じゃあサビ丸は四位さん自身が近くにいてほしいと思っている存在というか。

動物というか(笑)。

四位晴果『よしとおさま!』 / 2009年12月12日発売 / 460円(税込) / 小学館 / ゲッサン少年サンデーコミックス / ISBN: 978-4-09-122107-0

よしとおさま!

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あらすじ

天涯孤独な高校生・藤善透。父さんはいない。母さんは死んでしまった。でも強く元気に前向きに、めちゃめちゃハングリーに生きている!! なのに突然、何者かに命を狙われるハメに……!? そこに現れたのが、善透を守るべく遣わされた平成のお庭番、渋谷サビ丸!! 「善透さまは一人にあらず!」おしかけ迷惑お庭番コメディ!!

四位晴果(しいはるか)

12月7日生まれ。福岡県出身。2003年、「河児」で少年サンデー特別増刊Rでデビュー。ルーキーキングに輝く。その後、週刊少年サンデー2007年19号より「メテオド」を連載。同作は全4巻で発売中。2009年、ゲッサン創刊号より「よしとおさま!」連載開始。