クライマックス目前!ヨハネ役・小林愛香とライラプス役・日笠陽子が振り返る「幻日のヨハネ」

TVアニメ「幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-」がクライマックスを迎えている。2023年6月25日に、ABEMAにて地上波1週間先行・最速配信という形でスタートした同作は、9月10日に第12話が配信されたばかり。第13話を残すのみとなった。

「幻日のヨハネ」は“トカイでビッグになる”と故郷・ヌマヅを飛び出した少女ヨハネが、夢破れて帰郷したことから始まる物語。ヌマヅに流れる穏やかな空気感を苦手に感じていたヨハネは、どこか気まずい気持ちを抱えたまま相棒のライラプス、幼なじみのハナマルらと再会する。しかしヌマヅでは密かに、ある“異変”が起こっていて……。「ラブライブ!サンシャイン!!」の公式スピンオフでありながら、世界観やキャラクター設定がまるっきり異なる、異色の作品だ。

コミックナタリーでは第13話の放送・配信を前に、主人公・ヨハネ役の小林愛香と、その相棒・ライラプス役の日笠陽子にインタビューを実施。ここまでの物語を振り返っての話を聞いた。ヨハネとライラプスの関係がフォーカスされた、第9話から第12話にかけての話もネタバレありで語ってもらったので、視聴前の方はぜひそこまで視聴してから、2人のトークを楽しんでほしい。

さらに3ページ目には、ハナマル役の高槻かなこら、小林・日笠以外のメインキャスト8人からのコメントも。第12話までの感想と、第13話を心待ちにしているファンに向けてのメッセージを綴ってもらった。

取材・文 / 岸野恵加撮影 / ヨシダヤスシ

小林愛香×日笠陽子インタビュー

愛香ちゃんはある意味、ヨハネのまんまかも

──「幻日のヨハネ」の放送も、残りわずかとなりました。今日は第12話までのネタバレありで、作品についてじっくりと振り返っていただければと思います。

小林愛香 はい! 日笠さんとは先日行った沼津のロケぶりですね。こうしてじっくりお話しする機会をいただけてうれしいです。

日笠陽子 こちらこそ。沼津は初めて行ったんだけど、めちゃくちゃ楽しかったなあ……。よろしくお願いします!

──「幻日のヨハネ」は「ラブライブ!サンシャイン!!」の公式スピンオフ作品ですが、ファンタジー的な世界観という斬新な設定で話題を呼びました。まず2020年にイラスト企画としてスタートし、そこからコミカライズ、エイプリルフールの企画……と経て、2022年6月にシリーズアニメ制作決定が発表に。小林さんは以前からアニメになるのを密かに期待していたそうですが、実際に決定したときはどのようなお気持ちでしたか?

小林 すごくうれしかったんですが、アニメ制作決定を皆さんに伝えるまでは、不安な気持ちもあったんです。というのも、コロナ禍でAqoursはドームツアーが中止になってしまったり、思うように活動できない期間があったので。ライブイベントの中でアニメ制作決定を皆さんに発表できた瞬間に一番実感が湧きましたし、やっと安心して喜べたことをすごく覚えています。

第1話より、ヨハネ。

第1話より、ヨハネ。

──日笠さんが狼獣のライラプス役を務めていることは、第1話がABEMAで最速先行配信されたタイミングで明らかになりました。出演はいつ頃決まったんですか?

日笠 アニメ制作決定が発表される前には決まっていましたね。テープオーディションと、スタジオでのオーディションの2段階があったことを覚えています。

小林 まずライラプスがしゃべるのかどうかっていうところから、ファンの皆さんは気になっていたと思うんですよね。コミックでもしゃべってないですし。

日笠 そうだよね。オーディションのとき、マネージャーさんから「これは『ラブライブ!』なんです。犬みたいなキャラだけど」って説明されて。「ラブライブ!」? 犬?って掴めないままスタジオに行って(笑)。スピンオフ作品って普通は、「一方その頃、こちらのキャラクターは……」というような外伝的なものが多いじゃないですか。「幻日のヨハネ」はそうではなくて、キャラクターたちが異世界転生したようなお話なのね、と。第1話のアフレコでようやく理解しました(笑)。

第1話より、ライラプス。

第1話より、ライラプス。

──(笑)。日笠さんは「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」に、三船栞子の姉・薫子役で出演されていますよね。「ラブライブ!シリーズ」にはどのような印象をお持ちですか?

日笠 ファンの方の数が本当に多くて、皆さん熱狂的なイメージです。私はμ'sの南條愛乃と仲がよくて、よくごはんに行くんですね。それで「後輩ちゃんがね」って話をされたとき、Aqoursを「アクオスちゃん?」って読んじゃって……そこからしばらく、「アクオスちゃん」「いやアクアや」ってボケツッコミをする、というやりとりを、私が気に入ってしまいまして(笑)。南條がAqoursの話をするたびに、鉄板ネタとしてやっていました。まさかこんなふうにAqoursちゃんと関わらせていただく日が来るとは思わなくて……本当に、すみませんでしたっ!(小林に対して頭を下げる)

小林 いやいやいや!(笑) すごくほっこりするエピソードを聞けてうれしいです。

小林愛香

小林愛香

──小林さんと日笠さんが共演するのは、この「幻日のヨハネ」が初めてなんですよね。

小林 はい。アフレコで初めてお会いしました。すごく緊張してたんですけど、会った途端に、すごくいい方だということが伝わってきて。温かくて素敵な方だなあと、挨拶をした瞬間に思いました。

日笠 ありがとうございます。緊張、伝わってきてたよ。そしてね、一瞬でパッとわかったんだけど、愛香ちゃん、ちょっとだけ人見知りだよね?

小林 はい、人見知りです。

日笠 だよね。私もけっこう人見知りだから、人見知りセンサーがピン!と反応したの。愛香ちゃんはある意味ヨハネのまんまかも、って思った記憶がありますね。

──ちなみに日笠さんは出演にあたって、「ラブライブ!サンシャイン!!」を予習されましたか?

日笠 別物として捉えないと私は頭がパンクしちゃいそうだなと思ったので、あえて観ずに臨んだんです。ライラプスが出ていることも聞いてたんですけどね(編集部注:「ラブライブ!サンシャイン!!」2期第5話では、津島善子が犬を拾い、ライラプスと名づける)。もうすぐ放送も終わるので、今こそ観てみたいなと思っています。Aqoursの楽曲は知っていましたが、「幻日のヨハネ」の楽曲はけっこうイメージが違って。そこも新鮮でした。

ずっと“主人公の相棒の動物”に憧れていた

──ヨハネとライラプスは姉妹のような関係と称されていますよね。演じるにあたっても距離感の近さは意識されたかと思うのですが、おふたりが今お話ししているのを聞いていると、すごく和気あいあいとしていて、すっかり打ち解けていますね。

日笠 一緒に沼津に行ったのはやっぱり大きかったよね。

小林 はい、ロケでいろんなところに行って、すごく楽しかったです! 最後には、私から日笠さんへツッコミもできるようになりました(笑)。アフレコのときも、日笠さんがずっと話しかけてくださったので、すぐに距離が縮まって本当にありがたかったです。

日笠 いえいえ。基本的にヨハネとライラプスは2人収録だったんだよね。ライラプスはヨハネとしか会話しないから、私はほかのキャストとはほとんど会ってないんですよ。ヨハネは総当たり戦で大変だったと思うけど(笑)。

小林 そうですね(笑)。小林だけスタジオに残って、そこに入れ替わり立ち替わり皆さんが来て。でもなんだかんだ、Aqoursのメンバーにもあまり会えてなかったので、みんなに会えるアフレコはすごくうれしかったですね。

──ちなみに日笠さんは、これまで動物の役を演じたご経験はおそらくないですよね?

日笠 これが初めてです! 私、ほかの女性に比べて低い声質なので、人間以外の役やマスコットキャラクターを振られることがなくて。なのでずっと憧れがありましたね。主人公の相棒の動物役とか。想像したよりもすごく大きい相棒でしたけど(笑)。でもめちゃくちゃうれしかったですね。

日笠陽子

日笠陽子

──日笠さんの演技は中性的な印象を受けましたが、どのように役作りをしましたか?

日笠 そこはすごく悩んだんです。ビジュアルを見て最初私は、男性っぽい声を連想したんですよね。わかりやすく「~わよ」とか、女性言葉を使うわけでもないし。違和感なく聴けるようにするのが役者の役目なので、中性的に、抑揚をあまりつけずフラットに演じることを意識しました。演じてるときは気づかなかったけど、観返して「日笠、珍しい芝居してるな」って(笑)。あとは、オーディションのときのセリフは、ちょっとヨハネをからかうというか、意地悪に聞こえかねないセリフが多かったんです。なのでただの意地悪にならないように気を配りました。ちゃんと愛があって、ヨハネより精神的に大人というか、アワアワしているヨハネをしっかりと包み込めるようなお姉さん的存在というんですかね。そんなイメージでやりました。

小林 包まれてました。はい。

──ヨハネもライラプスにキツい言葉をぶつけることがありますが、これは「甘えても嫌われることはない」という確信がないとなかなか言えないよな、と思いながら観ていました。

小林 最初のほうのヨハネは、当たり散らしてしまっているというか、自分の思い通りにならないもどかしさをライラプスにぶつけているところもあったと思うんです。でも回を重ねるうちに、トカイに行って離れていた期間を埋めるように、ライラプスとの絆が結ばれてきて、ライラプスのことを思いやる言葉を掛けられるようになって。そこにはヨハネの成長をすごく感じましたね。私が好きなのは、第8話でヨハネが杖をなくしてしまったときに、「一緒にいたんだから気づいてくれてもよかったじゃん!」ってライラプスに当たるシーンで……。

第8話より。

第8話より。

日笠 あそこのヨハネ、すっごく理不尽だったよね?(笑)

小林 映像で観たら「そんなふうに言わないでよ!」って思いました(笑)。でも後からちゃんと反省して「さっきはごめん」って謝ることができていたので、ヨハネ、成長したなあと。それはライラプスやヌマヅの人々が、愛をいっぱいくれたからだと思います。

日笠 私も好きなシーンというとそこなんだよね。理不尽なヨハネがかわいいし(笑)、ライラプスがまさに“姉”してる、というか。あそこでヨハネに言い返さず、食ってかからないところに大人の余裕が出ていて。客観的に見ていてもふたりの関係性が出ているシーンだなと思いました。

小林 わかります。あと私は、ヨハネがライラプスに尻尾で起こされるシーンが好きです!

日笠 あそこ、かわいいよねー!

小林 犬ではないんだけど、犬っぽさが垣間見えるシーンがかわいくて好きですね。尻尾で起こされるって、信頼関係がなかったらできないと思うんですよ。眠かったら「やめてー!」ってなりそうだし(笑)。

日笠 確かに(笑)。