このマンガはオタクの人たちに対する応援歌（伊東）

──「ヲタクに恋は難しい」……タイトル自体がすごく魅力的です。皆さんはオタクに恋は難しいと思いますか？

ふじた　人によって難易度が違うと思います（笑）。

伊東　マジな答えキター！

ふじた　成海と宏嵩が1話目から付き合ったからか、「この2人の恋愛は全然難しくないじゃん」という感想を持つ方もいると思うんですが……ふふふ（笑）。

──その笑いから、不穏な未来図を感じ取りました（笑）。

伊東　僕も、オタクでもオタクじゃなくても難しいときは難しいと思います。でも序盤の成海みたいに、オタクを隠していい顔しなくちゃと思っているうちは難しいんじゃないかな。それで一時は恋愛がうまくいっても、長い目で見たらどこかでありのままの自分を出さなきゃいけない瞬間が来ると思う。オタクな部分もひっくるめて愛してくれる人が絶対いる……だからこのマンガはオタクの人たちに対する応援歌だと思っています。

ふじた　ありがたいですね、もう私が言いたいことは全部言ってくださいました。

伊達　質問なんですけど、なんでタイトルは「オタク」じゃなくて難しいほうの「を」で「ヲタク」なんですか？

ふじた　え、「難しいほうの『を』」？ うちの地方では「を」のこと「くっつきのを」って言うんだけど……。

伊達　初めて聞きました（笑）。

ふじた　そうですか（笑）。「ヲ」にしたのに深い意味はなくて。「オタク」でも通じるんですけど、「ヲタク」って書くこともあるじゃないですか。2つを並べたときに「ヲタク」のほうがオタクっぽいかなって（笑）。

「ヲタ恋」と略してもらいたくて「ヲタクに恋は難しい」（ふじた）

伊東　なんとなく、より重度なイメージですね。

ふじた　そうですね。個人的に感じるニュアンスですが、「ヲタク」はひとつの分野に特化した知識とか熱量を持っている人のイメージです。

伊東　「ヲタク」のほうがインパクトあると思います。それに「ヲ」から始まる言葉ってあんまりないから、PCの検索バーに「ヲ」を入れると最初に「ヲタクに恋は難しい」が出てくるんですよ！

伊達　本当だ！ マーケティング的にも正解ですね！

ふじた　マーケティング的！ 頭よさそう！ ……ですがそこまで深く考えていなかったです。タイトルはもともと、「ヲタ恋」と略してもらいたくて付けたんで。

伊達　なぜですか？

ふじた　キャッチーだから。

一同　あはは（笑）。

ふじた　それに、略して呼んでもらえる作品は愛されてる感があるかなと思って。pixivに公開したばかりの頃は無題でしたが、友達に相談しつつ「ヲタクに恋は難しい」に決めました。

──pixivといえば、作品をアップするときマンガの枠外がピンクに塗られていますね。理由をお伺いできますか？

ふじた　すごくやらしい話なんですけど……。

伊東　やらしい話？

伊達　どっちのやらしい？

ふじた　エロくないほうのやらしいです（笑）。pixivでは1枚ごとにアップ……いやうpしているんですけど……。

伊達　言い直した（笑）。

ふじた　（笑）。1枚公開して、カラー要素がないとサムネイルで目を引きにくいんですよ。でも私は白黒が一番美しいマンガの形態だと思っていて。必要以上にカラーはマンガに入れたくないけど、目立たせたい。せめてもの……ということで、枠外を蛍光ピンクにしました。パッと見て、すぐに「ヲタ恋」ってわかるように。

伊東　全然やらしい話じゃないですよ！

ふじた　色彩の暴力でサムネホイホイを狙うって話ですよ？（笑） ホイホイでもないけど。

伊達　前から思っていましたが、先生はすごくマンガに対してストイックなんですよ。読んでもらうための工夫、全然やらしくないです！

ふじた　あとで飴ちゃんあげるね。

伊達　わーい！