コミックナタリー Power Push - 鳴見なる「渡くんの××が崩壊寸前」

ラブコメの主人公に猛烈アピールするヒロインたち!その行為は◯?×? 恋愛カウンセラー・アルテイシアが紐解く

恋愛カウンセラー アルテイシアが解説!本当に異性に有効な求愛行動を取っているのは誰?

館花紗月編

「渡くんの××が崩壊寸前」1巻より。

6年ぶりの再会の日、いきなり渡くんにディープキスして畑に押し倒す

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いきなりエキセントリックですが……再会して突然キスをするこの行動はNGです。現実の女性は、ちゃんと意中の男性との関係性ができてからにしましょうね。一番気になったのは「気道をふさぐほどの」ディープキスですね。人間の舌は通常、喉に届くほど長くない。ここで、私は「紗月人外説」を唱えたいです。「鶴の恩返し」みたいに、なんらかの物の怪が渡くんに命を救われて恋をして……と考えると、彼女のさまざまな奇抜な行動にも説明がつきます。舌の長さ、そして日本であることを考えると、ヤモリ説が有力です。

「渡くんの××が崩壊寸前」1巻より。

初登場で渡くんを尾行し、名前を29回連呼

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気持ちが悪がられる可能性が高いのでNGです。作中では4ページにわたり「直くん」と連呼していました……。29回という回数は、2度数えましたので間違いありません。

「渡くんの××が崩壊寸前」2巻より。

風邪をひいた渡くんの布団に忍び込み、自分の服の下から座薬を取り出す

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ツッコミどころしかないですけど(笑)、もちろんNGです。緊張から来るドキドキを、恋愛のドキドキだと勘違いする「吊り橋効果」って学説があります。渡くんも冷や汗をかいてドキドキしていますが、あまりに危険すぎるロープ1本の橋というかヒモを渡っている感じですね。

「渡くんの××が崩壊寸前」1巻より。

「直くんならえっちなコトでもいーけど?」と自分でスカートをめくる

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現実でしたら露出狂なのでNGです。ですが、思春期の男の子って、女の子の太ももがチラッて見えただけで「僥倖!」って感じじゃないですか。紗月は大盤振る舞いすぎますが、ふいにチラッと足を見せるくらいだと効くと思います。

「渡くんの××が崩壊寸前」2巻より。

水がかかって濡れたから、渡くんのパンツを履いて登校

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「水でびしょ濡れに」っていうのはマンガでよくあるパターンですが、解決策は彼シャツとかが多いですよね。彼パンツというのは、紗月ならではのエキセントリックな魅力だと思います。気になるのは、パンツをきちんと洗って返却したのかどうか。もし返却していないとしたら下着ドロボーですし、洗わずに返却したら本物のド変態。マンガには描かれていないので、読者の想像に委ねられています。

石原紫編

「渡くんの××が崩壊寸前」2巻より。

渡くんが風邪をひいたときにお見舞いに来て、薬膳粥を作る

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これは「王紋テク」(「王家の紋章」テクニック)と呼ばれる、古典的ですが有効なモテテクニックです。ちなみにこの名称は「王家の紋章」のキャロルが、諸国の王や王子の看病をすると、求婚されまくってしまうところから来ています。紗月に比べて、石原さんは非常にまともな行動をとりますね。ただこの薬膳粥、「ありえないくらい血生臭い」とあります。ここをヒントにした私の妄想なんですが、石原さんは陰陽師の家系だと思うんですよ。紗月が恋したヤモリの物の怪だとして、これから物の怪退治のバトル展開が来るかもしれません(笑)。

「渡くんの××が崩壊寸前」2巻より。

渡くんと紗月のことが気になり、2人を水着売り場まで尾行

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3次元だと好きな人の尾行は禁じ手です。ただ男女ともに恋愛経験がなかったり、すごく思いつめたりしているとやりがちな行動なので気をつけましょう。石原さんは両方かな。

「渡くんの××が崩壊寸前」2巻より。

渡くんのことを純粋で誠実、清らかだと理想化して盲信

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現実でも、清純派のモテる美少女に多いんですよ。彼氏と一緒に家にいたとして、ちょっとでも手を出してこようものなら「見損なったわ!」って。男からしたら「そんな殺生な」という話だと思うんですが、男性でも「女の子はムダ毛が生えないし、おならもげっぷもしない」みたいに神聖化してる人いますよね。勝手に理想化して勝手に失望するというのは恋愛初心者に多く見られる行動だと思います。現実の男友達や女友達を作ったり、周りの経験ある人に相談したりして現実を知っていってほしいですね。

渡鈴白編

「渡くんの××が崩壊寸前」1巻より。

100点のテストを隠して、「鈴はお兄ちゃんがいなきゃ全部ダメだもん!」

「渡くんの××が崩壊寸前」1巻より。

渡くんがほかの女のことを考えることを許さない

「渡くんの××が崩壊寸前」2巻より。

渡くんが風邪をひいた日、駄々をこねてギャン泣き

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鈴は過剰な束縛と嫉妬がデフォルトです。渡くんとは共依存関係に陥っていますが、生い立ちと年齢を考えると納得できる。ちゃんと成長して、周りの世界を知れば鈴ちゃんは大丈夫だと思います。いまのところ、「もし鈴が成長してオレを必要としなくなったら?」と不安がる渡くんのほうが問題ですよね。ただ渡くんもまだ16歳ですし、紗月が登場したことで石原さんとの関係もどんどん動いていきますし、これからに期待です。

鳴見なる「渡くんの××が崩壊寸前(2)」発売中 / 講談社
渡くんの××が崩壊寸前(2)
650円
Kindle版 / 540円

妹を言い訳にして女性とつき合うことを避けてきたシスコンの高校生・渡直人。このままではダメだと自覚し、同級生の石原さんとつき合おうとする。ある日、直人は風邪をひいてしまい自宅で寝込んでいると、幼なじみの紗月がお見舞いにやってくる。また時を同じくして石原さんもお見舞いにやってきた。紗月を布団の中に隠して、石原さんを家にあげてしまったことで、直人は絶体絶命のピンチを迎える!!

鳴見なる(ナルミナル)

東京都出身。「JA ~女子によるアグリカルチャー~」など。現在は月刊ヤングマガジン(講談社)で「渡くんの××が崩壊寸前」、まんがライフSTORIA(竹書房)で「ラーメン大好き小泉さん」を連載中。「ラーメン大好き小泉さん」は早見あかり主演でテレビドラマ化も果たした。

アルテイシア
アルテイシア

作家。夫であるオタク格闘家との出会いから結婚までを綴った「59番目のプロポーズ」でデビュー。同作はテレビドラマ化・マンガ化もされた。著書に「オクテ男子のための恋愛ゼミナール」「ゼロから始めるオクテ男子愛され講座」「恋愛とセックスで幸せになる官能女子養成講座」「オクテ女子のための恋愛基礎講座」など。「5人の恋プリンス~ヒミツの契約結婚~」など、ゲームの原作脚本も多数手がける。超実践的なアドバイスが人気を集め、多くの悩める男女の恋愛・人生相談に乗ってきた。