コミックナタリー Power Push - わぁい!
オトコの娘マガジン・わぁい!発の単行本誕生 性癖を本にし続ける編集長を再インタビュー
昨年4月、一迅社から「新世紀オトコの娘マガジン」と銘打った新雑誌・わぁい!が誕生。前代未聞の女装男子専門誌として話題を呼び、創刊号は雑誌としては異例の重版となるヒットを飛ばした。
そして10月20日、わぁい!より待望の単行本が誕生。わぁい!コミックスレーベルより刊行される第1弾は、神吉「さざなみチェリー」と、すえみつぢっか「リバーシブル!」1巻だ。コミックナタリーは、わぁい!コミックスのリリースを機に、わぁい!編集長・土方敏良氏を再訪問。創刊から1年半を改めて振り返ってもらった。
取材・文/坂本恵 撮影/唐木元
読者ハガキがものすごく多いんです
──わぁい!誕生から1年半、最初は手探りだったと思うのですが、6号目まで刊行されてきてわかってきたことなどあれば教えてください。
読者の読みたいものがだんだんとわかってきた気がしますね。最初はただ、女装男子モノというジャンルだけで漠然としていて、読者もどういう種類の作品があるのかわからなかったと思うんです。というのも1号目はやはり最初なので、「実は(女の子じゃなくて)オトコの娘でした」というだけの話がどうしても多くなってしまっていた。それがストーリーが進むにつれて、だんだんと話もいろいろな方向に進んできていて。
──確かに「リバーシブル!」のように女装学園モノがあったり、「ひみつの悪魔ちゃん」みたいな悪魔が出てくるコメディがあったり、ひと言で「女装男子モノ」と言ってもいろいろなジャンルがありますね。
そうですね。読者の方々の中でも、「なるほど、そういう話もありなんだな」という感じで読みたいものが固まってきているような気がします。さらに言えば、そこから読者の趣向も細分化してきていて、「こういうものが読みたい」という具体的な要求もだんだん多くなってきていると思います。
──わぁい!って、読者ページがものすごく充実してますよね。投稿イラストも量が多くて。
読者ページは人気ありますね。送られてくるハガキ自体も相当多いです。
──やはり、皆さんオトコの娘に対して語りたい欲があるんでしょうか。
どうしてなんでしょうね。もちろん「こんなオトコの娘が好き」っていうハガキが多いんですけど、「自分はこういうのが好きだからもっとこうしてほしい」っていうご意見もあれば、もっとトータル的なこともあったりして。それは「何か言いたい」っていうことなんでしょうし、ありがたいことに応援していただいてるっていうこともありますし。読んでいてこちらが感激するくらいアツい投稿が多いんですよ。便箋でパンパンになった封筒が届いたこともあります。CD-Rでイラストが送られてきたり。あと、ご自身の女装写真とかを送っていただいたりもしますね。
──ええ!? それはすごい。
結構いろいろ来るんです(笑)。ありがたいことですよね。
下は9歳、上は60歳。女性読者も増えてきています
──土方さん、前のインタビューのときに「小中学生でも買える雑誌にしたい」とおっしゃっていましたが、低年齢層だったら何歳くらいの子が読んでいるんですか?
ハガキが来た中でいちばん下は9歳でしたね。
──9歳!?
もちろん平均はもう少し高くて、20歳前後ですけどね。でも一番下は9歳で、上は60歳代でしたね。もちろん極端な例ではありますけど。
──「全年齢向け」という土方さんの目標は達成されたわけですね。わぁい!の読者は、やはりほとんど男性ですか?
男性が多いんだろうなという想定はしていたんですけど、意外に女性の方も多いですね。おおよそ3割くらいの方は女性です。
──3割もいらっしゃるんですか! 表紙のカスカベアキラさんのイラストもかわいいですし、買いやすいんでしょうか。
もちろんそれもあるでしょうし、マンガ自体もあからさまにエロを押し出しているわけではないので、女性の方もそんなに抵抗がないみたいですね。女装というジャンルは元々ショタとかそういう女性向けのジャンルでもありますので。読者ハガキから想像するしかないんですが、私たちが想像する以上に女性の読者は多いですよ。
──すごく意外です。
私もちょっとびっくりしてます。1号目は男性が圧倒的に多かったですけど、号を重ねる度に女性が増えてきた感じですね。まあ、1号目は付録が「ブルマ風のなにか」というキワモノだったので……(笑)。
──そうですよね(笑)。付録、読者さんの反応はいかがでしたか?
当時、そういった飛び道具的な付録は珍しかったので、やはり「まさか」という反応でしたね。「自分で使ってみた」という方もいれば、「処分に困る」という方もいらっしゃって、いろいろ反応はありましたけど、評判はよかったです。隠し場所に困った方もいらっしゃったみたいですが(笑)。
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