サンホラを知らない人には、まず最新アルバムを（桂）

──ローランと呼ばれる熱心なファンが多いSound Horizon（以下サンホラ）ですが、馴染みのない読者もいると思います。サンホラの魅力を知るにはどこから入ればいいでしょうか？

桂遊生丸　アルバムを聴けばわかります。聴けばいいんです。

鳥飼やすゆき　（深く頷いて）そしてアルバムを聴いたら、ライブに行ったりDVDを見たりしてほしいです。

桂　サンホラを知らない人には、まず最新アルバムを聴いてほしいですね。今だったら「Nein」。やっぱりそのときそのときで、Revoさんが全力を出した一番新しいものだから、それを聴いてほしいんじゃないかなと思うんです。過去の曲を聴かないと意味がわからない曲がある、という言い方もされますけど、Revoさんはどこからでも入れるように作ってらっしゃると思います。

鳥飼　私は自分が「Roman」から入ったのもあるので、「Roman」をオススメしたいです。桂先生が手がけた「Roman」という素晴らしいコミカライズ版もあるので、初めてサンホラに触れる方にもわかりやすいです。あと「Märchen」もグリム童話がモチーフになっているので、とても親しみやすいと思います。

──ではマンガ作品のお話も伺っていければと思います。鳥飼先生は、桂先生が2007年から連載していた「Roman」の大ファンだとか。

鳥飼　大好きです！ 今日お会いできるということで「Roman」の単行本を持ってきて、サインをいただけたら……と図々しく思っていたんですが、読み込みすぎてボロボロになってしまい、これをご本人の前に出すのも申し訳ないと。

桂　ありがとうございます！

鳥飼　「Roman」の中でも「呪われし宝石」は、「こういう解釈もあるのか！」とすごく感動しました。あと桂先生の描くキャラの瞳が好きです。特に「美しきもの」のモニカの瞳はとても生命力に溢れていて……。「呪われし宝石」に登場する歌手の異質さも、瞳を見るだけでわかります。

桂　そんなに褒めていただけるとは思わなかったです（笑）。

「Märchen」が絵になるってこういうこと（桂）

──読み込んでらっしゃるのがすごく伝わってきました。「Roman」の曲順とマンガの掲載順が違うのはなぜですか？

桂　いろいろ理由はあるんですが、私が描いたマンガが正解だと思われないように、というのが大きいですね。今はサンホラのコミカライズがたくさんありますけど、当時連載としては「Roman」しかなかったので、これが公式だと思われないように。あと曲順と掲載順を変えることで、わかりやすくなるよう心がけました。最後まで読んでもらうと、この掲載順にした意味がわかるように作ったつもりです。

鳥飼　なんていうんでしょうね、桂先生の解釈は「痒いところに手が届く」というか……。いや、それだとちょっと足りないな……痒みを治せる薬というか……。読んでいてメロディが流れてきますよね。

桂　鳥飼先生の「新約Märchen」は、コマ割りの工夫がすごいですよね。十字架の形のコマを効果的に使ったりして、「Märchen」が絵になるってこういうことなんだと思いました。

鳥飼　ありがとうございます。マンガとしては読みやすさを大事にしつつ、絵としても楽しめるマンガを作っていきたいと考えています。あとはサンホラの衣装がとても好きなので、そこは力を入れて描きたいです。

桂　今は「Märchen」の前日譚「イドイド」（マキシシングル「イドへ至る森へ至るイド」）の部分を描かれていますけど、これから「Märchen」本編へと？

鳥飼　その予定です。

桂　実は「Märchen」は自分であれこれ解釈をしていないので、鳥飼先生の「新約Märchen」がすごく楽しみです。