小西克幸が演じるならどのキャラ?「ツヨシはぜひ阪口大助くんに」
丸山 実はさっき撮影のときに少しお話しさせてもらったんですが、僕は小西さんというと低い声のイケボイスというイメージが強かったので、もし声をあててもらう機会があるとしたらマルコフかなって思っていたんです。でもさっき伺ったら、「鍵宮のイメージが一番近い」っておっしゃっていて。
小西 オーディションがあったら、声がかかるのは鍵宮みたいな役が多いですね。
丸山 それを聞いて改めて考えたら、なるほど、確かに!って思いましたね。
小西 マルコフは三宅健太くんが合ってるんじゃないでしょうか(笑)。あと僕、阪口大助くんにぜひツヨシをやってほしいですね。
──(笑)。ブチギレたときの演技がお似合いになりそうです。
小西 それもありますし、あの子も目が笑ってないときいっぱいあるんで(笑)。あの丸眼鏡をかけさせて、このコンビニの服を着せたらまんまになると思いますよ。
丸山 めっちゃ面白いですね(笑)。映像化してほしいです。
小西 鍵宮はよくわからないですよね、謎すぎて。先生、鍵宮ってなんなんですか?(笑)
──「ツヨシ六本木初クラブへの道」を読んで、鍵宮のイメージが変わった人も多いのではないかと思います。鍵宮がツヨシを垢抜けさせるためにあちこち連れ回す……という。
丸山 この「六本木」でいかにツヨシをチャラくするかっていうのは、実は僕が後付けで考えた話だったんですよ(笑)。最初は「鍵宮と六本木のクラブに行った」っていう情報だけがZooさんから出て、そこを拾って広げていった結果、鍵宮というキャラクターが立っていったっていう経緯があります。ただ、最初は好き勝手にやっていたんですけど、話を広げていくうちにZooさんに「これは本編に食い込んでくる」「やばいです」と釘を刺されまして(笑)。
小西 ははは(笑)。
丸山 なので途中からはZooさんともああでもないこうでもないって話しながら、うまく本編でも拾ってもらいつつ作ったので、すごくライブ感がありますね。
小西 鍵宮は意外と顔が広くて、みんな知り合いですよね。ツヨシの前では兄貴分みたいに振る舞うし、大河内のおじいちゃんみたいな人にもうまく取り入って、かわいがられている。相手を籠絡しようといろいろ計算して動いているんでしょうけど、彼が本当にああいう性格なのか、作られた性格なのかがまったく読めないんですよ、鍵宮っていう人は。……やっぱり長谷川さんが一番いいですね。
──また長谷川さんに戻ってきました(笑)。彼女は比較的、裏表がなさそうな感じがしますよね。
小西 家では1人で、あぐらをかいて缶ビールとか飲んでいてほしいですね。普通のお姉さんでいてほしいというか(笑)。
丸山 仕事モードとプライベートの切り替えがしっかりしていそう。
小西 絶対にストレスすごいですって。帰ってきたら枕をダーンってやって、冷蔵庫から出したビールをプシュッと開けて、クゥーって飲んでほしい(笑)。
──次のスペコンではぜひ長谷川さんの日常を(笑)。
丸山 広げがいありそうです(笑)。
格闘マンガで伝えないといけないのは“痛さ”だと気づいた
──ちょっと話が戻ってしまいますが、これまでを振り返って、丸山さんが思い入れのあるシーンを挙げるとしたらどこでしょうか?
丸山 ずっと一番好きだなって思っているシーンがあって、それは愛之助が、修行のため山籠りに行くっていうくだり。作り手目線なんですけど、いかにも山籠りがすごそうなイメージを最初に読者に想像してもらってから一気に落とすっていう、あの一連の演出はうまく描けたなって思っていて、個人的には一番好きなシーンですね(笑)。
小西 滝に打たれるみたいな描写があった後に、執事みたいな人がバスローブを持って迎えにくるんですよね(笑)。山小屋じゃなくて超豪邸で。
丸山 あそこまでをいかにシリアスに描けるかが面白くする鍵だと思ったので。
小西 陳さんの「これは山籠りじゃないっっ!!!」っていうツッコミ、いいセリフですよね(笑)。
丸山 ありがとうございます(笑)。
──「TSUYOSHI」ってやっぱりギャグマンガでもあるというか。
丸山 ギャグマンガですね(笑)。
──ずっとマジで格闘やってるっていうよりは、ギャグの要素もあるから楽しく読めるのかなと感じるところもあって。
丸山 実際「TSUYOSHI」を描き始めたときは、僕自身格闘技を何も知らなかったんですよ。取材でキックボクシングジムに通いながら作っていった経緯があるので。
小西 それでキックボクシングにハマったんですか?
丸山 結果的にそうです(笑)。運動不足解消にもなってストレス発散にもなって、生産性まで上がるじゃん、これ!ってなって。
小西 手のケガだけは先生、気をつけてくださいね!
丸山 そうなんですよね……。身体中、打撲だらけです(笑)。今でこそバトルシーンも描けるようになったんですが、連載当初は格闘シーンがつらくてつらくて。どうやって描いていいかわからず、ずっと模索していました。
小西 へえ……。読者としては、スピード感とか緊張感とか迫力とかもものすごくあったので、むしろ得意なのかと思っていました。
丸山 ファンタジー系のバトルマンガのイメージが自分の中で強かったんですけど、格闘マンガのバトルって描き方がまた違うんですよ。ファンタジーのバトルは迫力がより伝わるように描くってことが大事なんですけど、格闘マンガで伝えないといけないのは“痛さ”だって気づいたんです。
小西 あーなるほど……。
丸山 それをどうやって絵で伝えるかっていうと、攻撃が当たった瞬間。顔がめちゃくちゃ歪んでいる状況、その切なる瞬間を描くと「うわー、痛そう!」って伝わる絵になるんですよ。そういうのも最初はなんも知らなくて、いろんな先生の格闘マンガを読んで勉強したり、Zooさんにも教えてもらったりしながらここまで描いてきました。
小西 そうなんですか。すごいな……。
──慣れてきたという実感はありますか?
丸山 ようやく、ですね(笑)。描きやすくなった実感はありますね。
新章はより刺激値の高い話に?
──6月13日からは新章が始まるということで、最後に新章に期待することをお聞きしたいです。
小西 ファンとしては、新章があること自体がうれしいですね。難しいんですけど、ものすごく面白いと思って読んでいたマンガでも、3巻、5巻とかで終わってしまうものもたくさんあるんですよ。なんでこんなに面白いのに終わるんだろう、みたいな。そこにはもちろん、いろいろな事情があるとは思うんですけど。だからまずは、「TSUYOSHI」というマンガの先を読めることがうれしいです。「世直し編」の最後の引きもすごい強かったし、あの集まっていた女性たちが何をするのか。その中でツヨシがどうなっていくのか、あのキャラたちはどうしているのか。穂乃果ちゃんは強いのか?(笑) 読みたいエピソードがたくさんあるので、今からワクワクしています。
丸山 すでに新章のシナリオは10話くらいできていて、作画もネームもどんどん作っている状況です。僕自身「面白いな」と思いながら描いているので、読者の皆さんの期待にも添えるんじゃないかなと、自信を持って言えます。これまでの「TSUYOSHI」の面白さはそのまま、引き続き楽しんでいただけるような内容でありつつ、Zooさんは「新章はバイオレンス性を高くさせたい」「刺激値の高い話にしていくという方針だ」と言っていましたので、そこも注目ポイントですね。
──ツヨシは出てくるんですか?
丸山 ツヨシ、出てきます!(笑) どういう形でツヨシがまた登場するのかも楽しみにしていただきたいなと思っています。
小西 大学で新しい女子と出会っても、刺客なんじゃないかとつい疑ってしまいますけど(笑)。「TSUYOSHI」、ずっと読ませていただきたいので、これからもずっと応援しています!
「TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには」新章開幕を記念して、サイコミでは最大180話分が無料で読める無料話拡大キャンペーンを開催中! 期間は2024年7月10日(水)まで。この機会にぜひ一気読みを楽しんでみては。
プロフィール
丸山恭右(マルヤマキョウスケ)
静岡県生まれ。2015年、読切「アシュリー=ゲートの行方」が少年ジャンプ+に掲載されデビュー(Rickey名義。原作は白井カイウ)。その後もいくつかの作品を発表しながら、2018年にCygamesへと入社、漫画事業部の作画スタッフとなる。2018年にサイコミで連載をスタートさせた「TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには」が、累計300万部を超えるヒット作に。同作は2024年5月に「世直し編」が完結を迎え、同年6月に新章をスタートさせた。
KYOSUKE MARUYAMA 【漫画家】 | YouTube
小西克幸(コニシカツユキ)
4月21日生まれ、和歌山県出身。勝田声優学院に11期生として入学後、野村道子に誘われ賢プロダクションに所属。主な出演作として「鬼滅の刃」(宇髄天元役)、「ジョジョの奇妙な物語Part5黄金の風」(ディアボロ役)、「夜桜さんちの大作戦」(夜桜凶一郎役)など。アニメへの出演のほか、海外映画、海外ドラマの吹き替え、ナレーションなど活躍の場を広げている。2015年に第9回声優アワード助演男優賞を受賞。特技は殺陣。2024年5月24日に、“最初で最後のフォトブック”と「小西克幸フォトブック 524」を上梓した。
※記事初出時、丸山恭右さんのプロフィールに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。