コミックナタリー Power Push - 「となりの怪物くん」ろびこ&「たいようのいえ」タアモ
もっとも旬な少女マンガ家ふたりが ガチ本音で共鳴するスペシャル対談!
いい子も時にはこんな表情をするんだぜ
ろびこ 季刊エス(飛鳥新社)のvol.30にタアモさんが描く目の一覧表みたいなのがあって、私あれ食い入るように見ちゃいました。
タアモ デビューした頃はもっと線が密集していて黒かったんですけど、だんだん粗くしたり、ホワイト入れてなかった時期もあるし、一応自分なりに試行錯誤してるんです。
──そんな瞳を持ったキャラのなかで、ろびこさんが好きなのは?
ろびこ これ、来る前にけっこう考えたんですけど、もちろん主人公2人も好きだし、ちーちゃんも織田くんも好きなんですけど、やっぱりラジカルさん!
タアモ わー、ラジカルさんですか。ありがとうございます。
ろびこ タアモさんが描く女の子って年齢に関係がなく、大人の女の人も、お母さんでも、もちろん女の子も、みんな「少女」って言葉がぴったりくると思うんです。かわいいしピュアだし、けど女の子特有の醜い感情とか危うさとか、そういうのが全部詰まってる感じがするところが。だからラジカルさんも、ちょっとだけ変なかわいい女の人って感じだったけど、真魚から知らなかった事実を打ち明けられたときに一瞬、厳しい顔をしたじゃないですか。あれが私的にはすごくぐっときて。
──醜い面も見せてくれた、みたいな?
ろびこ あれを醜い感情とはまったく思わないんですけど、あの横顔、表情……心惹かれました。
タアモ 表情、めっちゃ悩んだんですよ。どうしたらいいかって。普通にしようか、シュンとしようか、厳しい顔か、すごい悩んで、厳しい顔にしたんです。
ろびこ すごいぐっときたし、こういう表情する! って思ったし、こういう感情ある! って。
タアモ 真魚はあのとき実際ひどいことをしたわけなので、ラジカルさんも「この野郎」って思ったっていいんじゃない? と考えてあの表情にしました。
ろびこ でも、これは私の願望も入っちゃうんですけど、ラジカルさんは瞬間的に意地悪な感情に包まれたとしても、やっぱりいい子っていうかちょっとアホなところがあったり、かわいかったりする普通の女の子だと思うんです。そういう子でも、時にはこんな表情をするんだぜ、っていうのが描かれてるのが、タアモさんのマンガだー! って思いました。
タアモ 素晴らしい感想をありがとうございます。それに比べて私がさっきろびこさんに言った感想の浅はかなこと……もう一度ぜんぶ言い直したいです!
ちなみにネームはどうやって描いてますか?
──大丈夫ですから、言えてましたから(笑)。あの、もしお互いに質問してみたいことなどありましたら、ぜひこの機会に。
タアモ ろびこさんは、ネームに時間かかるタイプ?
ろびこ すごいかかります。早くなるどころか、最近どんどんかかるようになってきちゃって。ひとつ矛盾してるところが見つかると「あれ?」ってなって止まっちゃったりとか、プロットができていてもイメージができなくなっちゃったりとか。昔は勢いに任せてむりやり駆け抜けたりもしたんですけど、最近は1歩進んでは座り、1歩進んでは座り、って感じですよ。牛歩です、牛歩(笑)。
タアモ ありますあります。プロットの出来が悪いと、そうなるんですよ。「何描くんだったっけ、これ?」みたいな。
ろびこ そうやって途中で筆が進まなくなったら、どうしてます?
タアモ 遊びます。遊ぶって言っても、家の中でネットするくらいですよ。ろびこさんは?
ろびこ 気分転換しますよ。マンガ読んだり、私もネットしたりかな。
──どんなの見るんですか?
ろびこ まとめサイトです(笑)。そんで見始めるといつの間にか半日経ってるの! リンク、リンクできりがないじゃん。
タアモ わかる! そんで怖いサイトにたどり着くんですよね。「ぜったい検索しちゃいけないワード」とか。怖い!
──話をプロットに戻しまして(笑)、もうおふたり、いい機会だから見せっこしたらいかがですか、プロット。
ろびこ ええー、 見せるんですか? いいですけど! うわー(担当氏が互いのプロットを互いに渡す)。
タアモ すごい、ぜんぜん違う!(笑) ろびこさんのは完全にシナリオ形式なんですね。ぜんぶセリフで書いてある。
ろびこ タアモさんのは話の流れとか登場人物の思いが文章になってるんですね。
タアモ セリフとか細かいところはネームでやろう、ってことにして、プロットでは何が起きるのかって話の流れを書き留めている感じです。ネームで絵が入ると、やっとキャラがしゃべり出してくれるというか。
ろびこ 私はキャラにしゃべらせないと、きちんと話がふくらむかどうかイメージできないんです。会話から始めないと。
タアモ 理想はろびこさんみたいなシナリオ形式ですよ。シナリオになってると、ネームに起こしやすそうですよね……。
ろびこ いやー、それが全然で……(笑)。ちなみにネームはどうやって描いてますか? 私は、まずA4の紙に8見開き分くらい入る小さいネームを描いて、それからA4に1ページずつのネームにしてます。
タアモ 私はB4の紙を半分に折って見開きにしてます。それに1回目は流れだけバーッと描いちゃって、2回目はディテールを足したりコマの大きさを調整したりして、もう少し丁寧に描き直します。
──絵はどのくらい入ってる感じですか?
タアモ 絵はラフです。でも、私の心の中では表情まで入っています。
ろびこ 私は、割と表情まで描き込むほうらしいです。そうしないとつかめなくて……。
あらすじ
となりの席の吉田くんは入学初日の流血事件以来、一度も学校に来ない…。自分の成績にしか興味のなかった水谷雫はたまたまプリントを届けたため、その吉田春に勝手に友達認定されてしまう。しかも、春の純粋さを知って優しく接すると今度は告白までされちゃって…!?
冷血女子×超問題児=笑いと胸キュンたっぷりの新感覚青春ラブストーリー♡
あらすじ
子供の頃、むかいの基(ひろ)の家に入りびたっていた真魚(まお)。その家に行くと必ず元気になれたから。数年後…父の再婚で家に居場所のなくなった真魚は、両親を亡くして以来独りで家を守る基の家に住まわせてもらうことになったけど…!?
年の差幼なじみ2人の明るく切ない同居ラブストーリー♡
ろびこ
2005年にTHEデザート5月号にて掲載の「デメキンイック。」でデビュー。代表作はデザート(ともに講談社)で連載中の「となりの怪物くん」。鹿児島県出身。10月8日生まれ。A型。
タアモ
2001年にデラックス別冊少女コミック10月号(小学館)にて掲載の「てのひらをかさねて」でデビュー。代表作はデザート(講談社)で連載中の「たいようのいえ」。大阪府出身。1月26日生まれ。B型。