コミックナタリー Power Push - 「となりの怪物くん」ろびこ&「たいようのいえ」タアモ

もっとも旬な少女マンガ家ふたりが ガチ本音で共鳴するスペシャル対談!

雫ちゃんがかわいいシーンは最高にかわいいよ

──だんだんいい具合の褒め殺し合いになってきましたので、そろそろお互いの作品について触れてください。

タアモ ははは。「となりの怪物くん」はねー、とにかく丁寧に描かれているんで、そこが好きですね。絵も丁寧だけど絵だけじゃなくて、キャラ作りから、セリフの言葉づかいとか。

ろびこ うわー、これは照れますね。

──具体的にどういうところを丁寧だと感じましたか。

タアモ 例えば、普通マンガって1コマに1人キャラがいて、フキダシにその人がしゃべってるセリフが入ってたりするじゃないですか、当たり前だけど。でも「となりの怪物くん」を読んでると、ひとつのコマにいっぱいキャラがいて、それぞれがワーッとしゃべってたりする。それが凄いなあと思って。

「となりの怪物くん」より。(c)ろびこ/講談社

ろびこ 詰め込みぐせがあるんです。

タアモ や、これは空間を表現してるんだなって思ったんですよ。高校の教室とかまさにそうだけど、誰かが何か言って、次の人がセリフ言って、っていうんじゃなくて、ほんとはみんな一斉にワーッとしゃべってるじゃないですか。ガヤガヤっていうか。その感じを丁寧に表現しようとしてるところとか、好きですね。その場所にいる気分になれます。

ろびこ うわあ、すごい嬉しいです……。

タアモ あと、どのキャラもみんなかわいいし、友達の恋を応援してるみたいな感じになる。

──好きなキャラは?

タアモ ダントツで雫ちゃん。

ろびこ マジですか。意外!

タアモ え、なんで意外なのかまったくわからない。めっちゃかわいいじゃないですか。

ろびこ 真っ先に雫って言われたのは初めてかもしれない。

「となりの怪物くん」より。(c)ろびこ/講談社

タアモ 私、怪物くんで好きなシーン、ぜんぶ雫ちゃんのシーンじゃね? ってくらいですよ。雫ちゃんが好きだから、雫ちゃんがかわいいシーンは最高にかわいいです。あと雫ちゃんがらみ以外の好きなシーンを挙げると、ハルくんと京子叔母さんのシーン。

ろびこ 嬉しい。照れますね。

タアモ ああいうステキな大人の影響も受けて、ハルくんが雫ちゃんを好きになったってことが、かわいい。私かわいいしか言ってませんね。

「泣きそうになるスイッチ」が入りっぱなしに

──ちなみに作中では雫はモサいモサいと言われてますが、ろびこさんの中では雫って、どうなんですか?

ろびこ いやー、モサいんじゃないんでしょうか(笑)。ただ女の子って化粧したらたいていキレイになりますから、大人になったらどうなるかなーとは思います。でも、どんな顔だろうが、高校生って時点でもうかわいいとしか思えないですけどね(笑)。

タアモ 女子高生ってだけでね。あのキラキラ感ったらないですよね。

ろびこ めっちゃかわいいですよ。髪質とかなんなんすかあれ。女子高生。

──おっさんじゃないんだから(笑)。じゃあ選手交代で、今度はろびこさんにタアモさんのことを聞いてみましょう。

ろびこ 「たいようのいえ」に限らず、タアモさんの描く女の子は圧倒的にかわいすぎて反則なんですけど、それは措いておくとしても、タアモさんの作品はどれも、読み始めて1、2ページでもう、ある世界に連れてかれちゃうんですよ。切ないみたいな苦しいみたいな、泣きたくなるような感じ。ほんわか楽しいシーンを読んでても悲しいシーンを読んでいても、なんかずっとその泣きそうになるスイッチが入りっぱなしになっているんです。

「たいようのいえ」より。(c)タアモ/講談社

タアモ 嬉しい。恥ずかしくて死にたいです。今。

ろびこ それはもう、マンガから出てるオーラとしか言えないんですが、全編にわたってそういう空気が流れている。そういうのを世界観があるって言うのかなと思うんですけど。

──それをもたらしているのがどういった要素なのかは、読んでいてわかりますか。

ろびこ あんまり変形ゴマを使わないコマ割りもそうだし、モノローグの位置、顔のアングル、淡々と進んでいく感じ、セリフのやりとり……いろいろな要素が積み重なってそうなっているんでしょうけど、敢えて言えば、いちばんは女の子の目かな。目でもう、そういう世界に連れていかれる。その気持ちのまま心がさらわれっぱなしになってしまう。タアモさんの目って独特ですからね。

タアモ ありがとうございます。でも、ぐるぐるしてるだけですよ(笑)。

ろびこ すごい繊細で、描き込んでるのかなと思いきや、よく見たら確かにぐるぐるしてるだけで(笑)、なのになんでこんなに心を持ってかれるの? って。魔法かけられたような気持ちになります。あの目を編み出したのはいつ頃なんですか?

「たいようのいえ」より。(c)タアモ/講談社

タアモ 少女マンガを描こうと思ったとき。私「モノローグが描きたい」と思って少女マンガに来たんですけど、その時に自分の絵をもっと少女マンガらしくキラキラさせるにはどうしたらいいだろうって考えたんです。

ろびこ やっぱ、キラキラ感ですよね(笑)。

タアモ うん。それでカケアミでキラキラさせようと思ったんだけど、私ヨレヨレのカケアミしか作れなくて、それでもキラキラさせるにはどうしたらいいだろう、って試してるうちに編み出したんです。

ろびこ / 「となりの怪物くん(8)」 /  2011年10月13日発売 / 440円(税込) / 講談社

あらすじ

となりの席の吉田くんは入学初日の流血事件以来、一度も学校に来ない…。自分の成績にしか興味のなかった水谷雫はたまたまプリントを届けたため、その吉田春に勝手に友達認定されてしまう。しかも、春の純粋さを知って優しく接すると今度は告白までされちゃって…!?

冷血女子×超問題児=笑いと胸キュンたっぷりの新感覚青春ラブストーリー♡

タアモ / 「たいようのいえ(4)」/ 2011年10月13日発売 / 440円(税込) / 講談社

あらすじ

子供の頃、むかいの基(ひろ)の家に入りびたっていた真魚(まお)。その家に行くと必ず元気になれたから。数年後…父の再婚で家に居場所のなくなった真魚は、両親を亡くして以来独りで家を守る基の家に住まわせてもらうことになったけど…!?

年の差幼なじみ2人の明るく切ない同居ラブストーリー♡

ろびこ

プロフィール写真

2005年にTHEデザート5月号にて掲載の「デメキンイック。」でデビュー。代表作はデザート(ともに講談社)で連載中の「となりの怪物くん」。鹿児島県出身。10月8日生まれ。A型。

タアモ

プロフィール写真

2001年にデラックス別冊少女コミック10月号(小学館)にて掲載の「てのひらをかさねて」でデビュー。代表作はデザート(講談社)で連載中の「たいようのいえ」。大阪府出身。1月26日生まれ。B型。