コミックナタリー Power Push - 「となりの怪物くん」ろびこ&「たいようのいえ」タアモ

もっとも旬な少女マンガ家ふたりが ガチ本音で共鳴するスペシャル対談!

デザート(講談社)で連載中の人気作、ろびこ「となりの怪物くん」とタアモ「たいようのいえ」は、ともに10月13日に最新刊をリリースしたばかり。コミックナタリーではこの機に乗じて、気鋭の少女マンガ家ふたりが赤裸々に本音をぶつけ合う対談を敢行した。

話題はお互いのマンガ原体験から高校時代、マンガ家デビューと転がり出し、当初はシンパシーを温めあっていたふたりだが、次第に差異が際立っていく。違いは互いへの興味を呼び込んで、本音トークは夜更けまで続くのだった。

2人のマンガ原体験~ドラクエの箱を横に置いて、模写ばっかしてました

──今日はよろしくお願いします。

2人 初めまして。どうぞよろしくお願いします。

──ろびこさんとタアモさんは、おふたりともデザートで連載中で、ともに初の長期連載で、担当編集が同じ方、さらに今回単行本の発売日まで重なったということで、もうこれは対談をしていただくしかないな、とお声掛けしました。おふたりはこれが初対面ですか?

ろびこ いえ、今日が2度目です。

タアモ もう1年以上前? 講談社漫画賞のパーティに、デザートの連載作家さんは締め切りが重なってしまいほとんど出られなかったんです。それを気の毒に思った担当さんが、パーティに出られなかった担当作家を集めたミニパーティを企画してくれたんです。

ろびこ なのに私たちふたりは、さらに原稿が遅れたとかで参加できず(笑)。

タアモ それでその企画のさらに2日後、別に機会を作ってもらってろびこさんと会ったのが初対面です。ただあのとき私たち、ほとんど話してないですよね(笑)。

ろびこ 初対面の緊張があったのか、グイグイ飲んですぐに酔ってしまったのだけ、覚えてます(笑)。

タアモ ふたりとも、打ち解ける前にベロベロにでき上がってしまって(笑)。

──では今日はお酒控え目で、仲良しになって帰っていただければと。

ろびこ

タアモ え、そういう意図なんですか?

──はい。お互いのルーツ打ち明けあったりして。

ろびこ いいですよー。でも普通だと思いますよ。

タアモ 私も普通ですよ。最初はりぼん買ってて、たまたま友達に「他にマンガ何買ったらいいかな?」って聞いたんです。ただそれが男子だったんで「ジャンプだろ」って言われて、それで中学校までずっとジャンプ読んで過ごしてました。

ろびこ 私も上に兄と姉がいるので、気がついたらりぼんとジャンプ読んでました。でも途中でドラクエが好きになって、ドラクエ4コマ劇場やってる流れでガンガンも好きになった。ハーメルン(のバイオリン弾き)とか(魔法陣)グルグルとか。あの頃ガンガンはガチでファンタジーな少年マンガって感じで。ドラクエの箱を横に置いて、模写ばっかしてました。

タアモ ドラクエ模写! 私もしてました! とにかく「ドラゴンボール」が好きだったから、鳥山明先生の模写ばっかりしてる小学生でした。いまも残ってますよ当時描いた酷いマンガが。オリジナル作なのにルーラとかしてました(笑)。

ろびこ ルーラ! ははははは。私もアホみたいに描いては友達と見せ合ったりしてました。あれは幸せだったなあ。いま思い返しても幸せな時間でした。

ジブリはオッケーだろうと思って残したのに

タアモ でも高校入ったときに「ヤバい、あたしこのままだとオタクになる!」と思って、マンガから少し遠ざかったんです。普通の女の子にならなきゃ、みたいな。

ろびこ うわー、わかります。 私は中学生くらいのとき、ほら自分を客観視しちゃう時期が来るじゃないですか。恋心が芽生えたり、周りに彼氏ができたりってときに。そのときオタクの女の子は誰もが、岐路に立たされる。

タアモ うんうんうん。

ろびこ オタクっ気のある子とそうじゃない子と、中1くらいまでは混在してるんです。でも、私的には中2のときに決定的な岐路があって、それまで一緒にいたオタク友達の子とけんか別れしてしまったんです。で、そのうち外に出ることが楽しくなっちゃって、部屋でマンガ模写し続けてるのとか自然に減った。別にマンガ嫌いになったとかじゃないんですけど、接触時間がただ圧倒的に少なくなるんですよ。

タアモ 私はガチオタクなことを隠してました。友達とか部屋に来るじゃないですか。並んでる本がヤバかったらまずいと思ってマンガはぜんぶ屋根裏に隠して(笑)。でもジブリの画集があったんです。これはジブリだしオッケーだろうと思って残しといたら、友達が見て「何これ、オタク?」って。まあ冗談ぽくではあったんですけど。「え、これもあかんねや」みたいな。

タアモ

ろびこ ああー。私も自分がどんだけオタクかってのはわかってたから、まあバレたらよくないよなーってのは当時思ってました(笑)。兄ちゃんも姉ちゃんも普通にマンガを嗜む人たちだったのに、同じものを読んでたのに、なぜ私だけオタクになった!

タアモ 私も! いまだに妹に真の本棚見せてないです。妹は妹で「姉ちゃんのいちばん楽しい部分やから、深く触れんとってあげてんねんで」とか言って優しさを見せてくれてるんですが(笑)。

ろびこ それは妹さん、真の優しさですよ!!(笑)

(この後、しばらく脱線して盛り上がる2人……)

ろびこ / 「となりの怪物くん(8)」 /  2011年10月13日発売 / 440円(税込) / 講談社

あらすじ

となりの席の吉田くんは入学初日の流血事件以来、一度も学校に来ない…。自分の成績にしか興味のなかった水谷雫はたまたまプリントを届けたため、その吉田春に勝手に友達認定されてしまう。しかも、春の純粋さを知って優しく接すると今度は告白までされちゃって…!?

冷血女子×超問題児=笑いと胸キュンたっぷりの新感覚青春ラブストーリー♡

タアモ / 「たいようのいえ(4)」/ 2011年10月13日発売 / 440円(税込) / 講談社

あらすじ

子供の頃、むかいの基(ひろ)の家に入りびたっていた真魚(まお)。その家に行くと必ず元気になれたから。数年後…父の再婚で家に居場所のなくなった真魚は、両親を亡くして以来独りで家を守る基の家に住まわせてもらうことになったけど…!?

年の差幼なじみ2人の明るく切ない同居ラブストーリー♡

ろびこ

プロフィール写真

2005年にTHEデザート5月号にて掲載の「デメキンイック。」でデビュー。代表作はデザート(ともに講談社)で連載中の「となりの怪物くん」。鹿児島県出身。10月8日生まれ。A型。

タアモ

プロフィール写真

2001年にデラックス別冊少女コミック10月号(小学館)にて掲載の「てのひらをかさねて」でデビュー。代表作はデザート(講談社)で連載中の「たいようのいえ」。大阪府出身。1月26日生まれ。B型。