コミックナタリー Power Push - となりの801ちゃん Love&Peace
腐女子×オタ男子の日常劇が再びドラマ化! 出演者と本人“2人のチベくん”が魅力を解説
チベくん役・近江陽一郎 インタビュー
何の話をしてるのかわからない場面だらけで
──原作はもともとご存知でした?
知らなかったので、ドラマのお話をいただいてから読ませてもらいました。本当にゼロからのスタートでしたね。まず「腐女子」って何?「やおい」ってどういう意味? って、そこからだったんです。
──腐女子の世界を覗いてみて、いかがでしたか。
最初は「濃いなぁ~」って感想ですね。でも演じてるうちにだんだん、アリなのかなって。好きなものに対してまっすぐな801ちゃんを見ているうちに、そう思えてきました。
──最初は何の話をしてるのかわからない場面も多かったんじゃないですか。
もう、めちゃくちゃありましたよ。てか全部!(笑) 分からないことだらけだったので、台本の注意書きを読んで、インターネットで調べて。あとはスタッフさんが持ってきてくれた資料を見て、ひとつひとつ自分の中で消化してやっていきました。
──資料ということは、18禁のBL(ボーイズラブ)も。
読みましたよ。ドラマで801ちゃんが友達と議論になってた「ケツ毛あり」と「なしバージョン」も……。
──801ちゃんが「尻の毛のリアルさが大事」と熱くなる場面ですよね。ちなみに近江さんは読むならどっち派でしょう。
えっ、僕はない派ですかね……きれいなほうでお願いします(笑)。現場でBLを見た衝撃は、これまで生きてきた中でもデカいインパクトでした……。
──おかげでBLへの理解も深まったり?
いや、チベくんがBLの良さを解さず801ちゃんに責められるシーンがあるので、あまり理解していないほうがいいのかなって。それを好きだと言っている801ちゃんをかわいいなって微笑ましく見ている役どころなので、実物を見るってことは、あんまり、ね(笑)。
801ちゃんはある意味、すごい純粋な子
──頻出するオタクネタへの理解もさることながら、物静かなチベくんの演技は難しそうです。
チベくんは感情をダイレクトに出して伝えるタイプではないので、小さな仕草、表情で感じているものを観ている人に伝えなきゃいけないのが難しかったですね。プライベートの近江陽一郎と全然違いますし、すごい苦戦しました。僕、ずっと体育会系で育ってきたんですよ。
──正反対の世界ですね。
でも監督の寺内さんに「余計なことを考えずに、801ちゃんを演じる(広澤)草ちゃんが発信したものを受け止めれていれば、観ている人に絶対伝わるから」と言ってもらえたので、しっかり全部受け止めようと思ってやりました。
──その801ちゃんはどんな人物だと感じましたか。
ある意味、すごい純粋な子なのかなって感じました。世間一般から外れたものを好きって言うのは、恥ずかしいというか、あんまり公言できることじゃないと思うんですよ。でも、それを包み隠さず出していて、その真っ直ぐな姿勢っていうイメージがあって。そこから801ちゃんをどんどん好きになっていきました。
──そんな801ちゃんのテンションに、チベくんは戸惑うシーンが多いですよね。
パワーがすごいんですよね。ぽかーんとする表情とか唖然とする表情が多いんですけど、そこは割と素でできました。
チベくんは「弱い」んじゃなく「優しい」人
──役作りはどのように行いましたか。
撮影が始まる前に小島先生と801ちゃんご本人にお会いする機会があったんです。そこでアドバイスをもらいたいなって色々事前に考えていたんですけど、実際お会いしたら会話の9割が801ちゃんのマシンガントークで、小島先生が残り1割で話すっていうやりとりを見まして(笑)。直接的なアドバイスはもらっていませんが、そうした2人の関係を見て、チベくんを作るヒントをもらった気がしました。
──ご本人を見ることが勉強になったと。
小島先生はなかなか目を合わせてくれなかったんですけど、チラチラ僕の方を見てくれているのは分かったし、801ちゃんご本人も先生を優しくフォローしていて、すごく微笑ましいんですよ。それがすごくいい関係だなと思いました。801ちゃんがガーって喋って、先生がたまに「それは違うでしょ」って優しくふわっと返して。そのふたりのやりとりがめちゃめちゃ素敵なんです。
──お会いして印象が変化した部分もありました?
はじめ、僕はチベくんに「弱い」って印象を持っていたんです。でもお会いしてみるとそうではなく「優しい」んだなって気づきました。チベくんがあれだけ優しくて受け止められる人だから、あのふたりは成立するんだと思います。自分を持っていないわけじゃないんですよ。違うと思ったことには毅然と意見できる人。でもまた、801ちゃんにガーっと言い返されるんですけどね(笑)。
──最後にこのDVDに観ていただく方にメッセージをお願いします。
この映画を通じて、こういうカップルもアリなんじゃないかな、いいんじゃないかなって、微笑ましく見守ってくれたらと思います。
──原作を既に読まれている方には、どのあたりを見てほしいですか。
801ちゃんとチベくんの信頼しあっている関係性ですね。そこは特に一生懸命演じた部分ですし、表現できていると思うので、信頼しあっている彼らだから出せる空気感を見てもらえればと思います。
作品情報
原作はシリーズ累計60万部突破のマンガ「となりの801ちゃん」。2代目チベくんにはD-BOYSの弟分にあたる俳優集団・D2の近江陽一郎を抜擢し、実写ドラマ第2弾がDVDでリリース。801ちゃん役は前作から継続し、実力派女優・広澤草が務める。監督には、BL作品では異例のヒット作「BOYS LOVE」、その後「痴漢男」「少林老女」という話題作も手がけた寺内康太郎。まだ普通の女の子だった妹・ひなが腐女子になっていくさま、進化した腐女子会議など、パワーアップしたショートドラマが多数収録されている。
作品情報
日本一の腐女子801ちゃんの進化はまだまだ止まらない! ディアッカ、テニミュ、電王……801ちゃんが次にはまったのは、AKB48!? ますます広がる腐海に津波注意報!? 現実の荒波に負けず、801ちゃんと一緒に801ウェーブを乗りこなそう!!
近江陽一郎(おうみよういちろう)
1989年4月5日生まれ、22歳。埼玉県出身。A型。第6回D-BOYSオーディションにて審査員特別賞を受賞。若手俳優集団・D2に所属し、多方面で活躍する。ミュージカル「テニスの王子様」や映画「ポールダンシングボーイ☆ず」に出演。D2の初冠番組となるグルメバラエティ「D2のメシとも!」のDVD-BOXが目下発売中。
小島アジコ(こじまあじこ)
漫画家。2001年、個人Webサイト「orangestar comics」で独特の漫画を公開、人気を得る。2006年に自身のブログで公開した4コママンガ「となりの801ちゃん」が反響を呼び、宙出版より書籍化された。「となりの801ちゃん」は「腐女子」ブームを巻き起こし、2008年には瀬戸康史・広澤草の主演で実写ドラマ化。2011年にはDVD第2弾実写化により、2代目チベ君役にはD2の近江陽一郎が抜擢された。最新刊「となりの801ちゃん6」は2011年12月12日に発売。