ファンの声で出来上がった郡司と天空橋
──天空橋くんのデザインは当初の想定からあまり変わってないということですが、先ほどお話に出た巻末マンガによると、天空橋くんの初期のデザインは過去にTwitterで紹介されていたんですね。
「青春×機関銃」を連載してる最中にTwitterにアップしたんですが、反響があったので「こういうビジュアルのキャラって好かれるんだな」と思ったんです。「青春×機関銃」のゆっきーと緑(永将)も人気だったので、Gファンタジーって黒髪のキャラが好かれるんだなと常々感じていたということもありました。私の描くキャラクターって、髪が立ってるか寝てるかで分かれることが多いんですが、みんなどっちが好きなのかなって思ったら、寝てるほうが好きっていう人が多かったですね。
──確かに郡司くんの髪は立っていて、天空橋くんは寝ていますね。郡司のデザインはどういうイメージだったんでしょう。
「青春×機関銃」に出てくる毛利3兄弟のタク(匠真)と社畜チームの油川です。実は髪型が一緒で。人気投票をやっていただいたときに2人ともランクインしていたので、じゃあ郡司くんの髪型は白抜きで描こうかなと思ったんです。……今までの話を振り返ると、私けっこう読者さんや周りの意見に流されてますよね?
──いえいえ、読者の声が反映されて、カッコいいキャラクターが出来上がっているというのは、皆さんうれしいと思います! ちなみに、「青春×機関銃」の絵柄と比較するとかなり線の太さが変わったなと思いました。
そうなんです、気付いてもらえてうれしいです! ずっと太く描きたいって思ってたんですけど、なかなか勇気が出なくて。少年マンガの力強い線が好きだったので、大胆に変えてみました。最初はこの絵柄は大丈夫かな?ってすごく心配でしたが、読者の方からも「前のほうがよかった」とは言われなくて、「今の感じが素敵」とコメントをいただいて。マイナスにはなってないんだなと安心しました。
──郡司くんは連載までに性格の設定も変わったようですが、天空橋くんはどうでしたか?
天空橋は性格も最初から固まっていました。彼のようなちょっと天然な部分があるクールな人とコンビを組ませるとなると、相手は熱血系が多いかと思うんですけど、今回熱血キャラは描かないぞ!と固く決意していたので、除外しました。自分の中で好きな組み合わせは何かなーと思ったら、不幸キャラや巻き込まれ体質の子だと気付いて、郡司くんの性格に反映させてみたんです。
──なるほど。個人的な話なんですが、私はAМO技術開発部のクリスさんが好きで……。
本当ですか!? めっちゃうれしいです! 実は私もクリスさんがすごく好きで。ほかの作品を読んでいてもオネエキャラが登場するととても注目してしまうほどなので、クリスさんは描いていてとても楽しいんです。今思うと、服装を奇抜にし過ぎたなと思いますけど……。
──いえいえ、素敵だと思います! NAOE先生が見る限り、ファンの方に一番人気があるのは誰なんでしょうか。
圧倒的に、雨宮(零士)。本当に人気です……。皆さんそれぞれ、白髪が好きとか眼帯が好きとか、刈り上げがいいとか、好きになっているところが違うんですけど、たくさんの“好き”に刺さったお兄さんですね。
──(笑)。
雨宮を2巻の表紙に描いたのも、ビジュアルにパワーがあるキャラなので早めに持ってきたほうがいいかと思ったのでそうしました。
──表紙と言えば、主人公の郡司くんが3巻でようやく表紙ですね!
「青春×機関銃」だと主人公の立花は8巻で表紙だったので、郡司くんの表紙は私の中ではけっこう早いほうですね。3巻では郡司くんがカッコよく見えるエピソードが多いので、3巻で表紙にするのはちょうどいいなって思いました。
地球人(?)だけど一番宇宙人っぽい時任くん
──SNSを見ていると、「東京エイリアンズ」はファンの方同士の交流も活発ですし、NAOE先生もTwitter上でファンの方とやり取りされていて、非常に盛り上がっているなと感じました。ファンの方からいただいたコメントで印象的だったものを伺いたいです。
「面白いです!」という感想や、雨宮や天空橋が好きっていう意見を言ってくださる方が本当にたくさんいてありがたいです。絵がきれいと褒めていただくことも多いんですが、自分は本当に作画に自信がなくて、もっとどうにかならんかなといつも思っていたので、うれしいなと思います。あとはストーリーを考察してる方も見かけますね。こうなのかな、ああなのかな、と想像してもらえているのを見かけると、こちらも楽しくなります。
──「東京エイリアンズ」はアクションシーンもたくさん描かれていますが、NAOE先生がアクションシーンを描く際に楽しさを感じる瞬間はどういうときなんでしょうか。
構図ももちろんですが、「こう描いたあとに、アップを入れてみよう」という間の取り方など流れを考えるのが楽しいです。やっぱりカッコよく描けたときはすごくうれしいですね。アクションシーンはエネルギーを使うというか、体力を削って描くという印象が強くて、大変なんですがネームを考えているときが好きです。
──なるほど。2巻までのエピソードで一番印象に残っているのはどれですか?
全部楽しくて印象に残っていますが、1話が一番かもしれないですね。地球人と宇宙人の交流を描きたかったので、「私はこういうお話を描きたかった」というものを実現できたと思います。
──逆に、「ここは苦労した」というシーンはありますか?
天空橋が2巻の最後でピンチになるんですが、あそこを2巻の最後にしようと調整するのが難しかったですね。あそこはだいぶ思い切って描いたと思います。単行本派の読者の方も、Twitterで驚いていました。
──単行本派の方は3巻が待ち遠しかったと思います。いよいよ発売されますが、3巻でアピールしたいことを伺いたいです。また、お話しできる限りで今後の展開についても教えていただけますか?
第1話の冒頭でエピソード0のようなシーンがあるんですが、最初読んだときは意味不明だったんじゃないかなと思います。でも3巻を読むと、なんで天空橋があんな行動に出たかわかるようになっているので、個人的には一番力を入れた部分です。今後の展開としては、担当さんが郡司くんのクラスメイトの時任くんをすごく推しているので、扱いをどうしようかなと考えています(笑)。
──入学早々「俺ら親友だろ?」と距離を詰めてくる時任くんですね。
「私たち親友でしょ?」って言ってくる人、信用ならないじゃないですか(笑)。今のところ地球人っぽいですけど、考えが読めなくて一番宇宙人っぽいですよね。もしかしたら今後扱いが変わってくるかも……?
──楽しみです(笑)。それでは最後に、読者へのメッセージをお願いします。
いつも温かいご声援ありがとうございます! とっても励みになります! 今後は郡司くんと天空橋の距離感に変化があったり、雨宮という人間が少しずつわかってきたりします。戦う雨宮さんも出てきますよ! 兵吾と雨宮の関係性とか、郡司くんのお父さんのこととか、撫子ライカのこととかどんどん描いていきたいです。フレッシュさのない新人作家としてまたがんばっていきますので皆様どうぞよろしくお願いします!
小松未可子が「東京エイリアンズ」を推薦!
NAOE原作によるTVアニメ「青春×機関銃」で主人公・立花蛍を演じたことをきっかけに、NAOEと親交のある小松。すでに「東京エイリアンズ」2巻までを読んでいるという小松に、最新3巻を読んでもらい、熱い感想を語ってもらった。
NAOE先生の最新作! 「東京エイリアンズ」
前作の「青春×機関銃」では「死なない殺し合い」を始めていましたが、今作はVS宇宙人!命の危険がアブナイ!
映画「メン・イン・ブラック」が大好きな私としてはワクワクがとまらないテーマです。ドツボです。
そして何よりNAOE先生の描くキャラクターは、魅力的で魅惑的なんです。
かわいい主人公(晃君)。ミステリアスなヒロイン(天空橋君)、ドSが過ぎる上司(雨宮さん)、頼れるお姉様(クリスさん)。
一見とっても愉快な仲間たちに思える面々ですが……一筋縄ではいきません。
キャラクターに絶望を味わわせる展開は先生の得意分野なのではないかと思っています。
じわじわと侵食される心。絶望の果て。そして救いの手。希望。
というか先生がめちゃくちゃ(愛に溢れた)ドSなんじゃないかと思います。
いやきっとそう。
今回の主人公、かなりの謎に包まれています。
主人公視点で物語は始まりますが、進むにつれて現れる彼自身の謎、父の謎、天空橋君の謎。
色々な角度からストーリーが絡み合い始めた第3巻。
大事な何かが隠されている予感です。今後の展開から目が離せません!