実は、この業界をやめようと思っていた時期がある
──今日は夜麻さんから緒方さんに、メッセージをお預かりしてきたんです。
わ、ありがとうございます。うれしいです。……夜麻先生は、ご病気は長かったんですか?
──ご担当の方から、「刻の大地」連載中に3カ月ほど入院されて、連載終了後も5年くらいは医者にかかりきりだったと伺っています。今はだいぶよくなったそうですが、通院されながら執筆を続けていらっしゃるとか。
そうなんですね。5年間も休んで、もう一回筆をとるっていうのは、相当勇気がいりますよね。実は自分も、2000年代の前半の頃に1度だけこの業界をやめようと思っていたことがあるんです。
──えっ、そうだったんですか!
「半年間休業します」とお休みをいただいて、そのままフェードアウトしようと考えていました。結局のところ、いろいろな事情から戻らざるを得なくなり、半年ちょっとだけ休んで復帰したんですけど。半年芝居をしなかったら、全然勘が戻らなくて。何をやっても、「あれ、違うなこれ」と感じてしまうんです。
──満足のいく演技ができなくなってしまったということでしょうか。
心と表現とが、完全に一致する感じっていうのかな。よくバレエダンサーの方とかがおっしゃられるイメージなんですが、1日休むと取り戻すのに3日かかる。3日休むと10日くらい、1カ月休んだらもう1年くらいかかっちゃう。私は声優としての自分の感覚を取り戻すのに結局1年かかってしまいました。そこを先生がどういうふうに克服されていかれたかっていうのは、いずれ伺ってみたいです。
──クラウドファンディングのページで、夜麻先生は「描くことが好きなので、天職だと思ってます」と書かれていました。
その気持ちを今もお持ちでいらっしゃるのは、本当にすごいと思いますよ。転がっているものを転がし続けていくのと違って、一度止めたものをもう一度動かすには、体力も勢いも必要ですから。年月が経ってくると身体能力的な問題もいろいろあるでしょうし、大変だと思いますけど、描き続けるという決断をしてくださって、まずは本当にありがとうございます。これからも楽しんで描いていただけたら。夜麻先生、またお目にかかる機会を楽しみにしています!
「刻の大地」、誰か再アニメ化してくれない?
──緒方さんも声優デビュー25周年という節目を迎えられたばかり。いまの心境をぜひお聞かせいただきたいのですが。
節目という意味では、10月11日にリリースしたアルバム「アニメグ。25th」に、これまでの作品に対する感謝の気持ちを詰め込みました。いろいろな声優さんに参加していただいたり、アレンジャーさんにもご協力いただいたりして、これ以上はできないってくらいの楽曲に仕上がっています。それが自分としてもうれしかったですし、クラウドファンディングを通じてたくさんの人に届けられたのも幸せでした。ここからはマイペースに、やれる範囲のことをやっていきたいなと思います。とはいえ、役者の仕事はオファーがないと続けられないので……。今のところはまだ若干オファーいただけているので、そういうオファーの仕事をしっかりさせていただきつつ。「ヱヴァンゲリヲン」をもう1本録るまでは、“14歳”の部分もキープしていなければなりませんし……いつ録るのかは知りませんけど(笑)。音楽活動は自分で好きにやれるところもあるので、いろんな方に元気だったり勇気だったり、エネルギーをお渡しできるような楽曲やライブを、これからもお届けできたらいいなと思っております。
──30周年、40周年と活躍を期待しています。せっかくなので、「刻の大地」の新作ドラマCDなんかも出たらうれしいですね。
やりたいですね。新作でキャストが変わらなければですけど(笑)、やらせてもらえる可能性があるのであればぜひチャレンジしたいなと思います。そもそも私は、ドラマCDの頃からずっと「テレビアニメ化してほしい」と言い続けているんですよ。「刻の大地」みたいにストレートな王道ファンタジーは、いま読み直しても面白いし、いろんなことを考えさせられますよね。一度はOVAになりましたけど、夜麻先生の絵のタッチも、十六夜、ジェンド、カイの3人の掛け合いも、すごくアニメ映えすると思う。癒やし系王道ファンタジー、誰か再アニメ化してくれー!
「刻の大地」最新話はメディバン マンガで公開中!
連載が中断していた「塔の戦い編」では、異なる思想を持つ魔法使いと僧侶の争いが激化。カイとジェンドは、魔法使いの塔に捕らわれてしまった十六夜たちを助けるため、魔法使いたちが欲する“シオンの手帳”を手に塔へと乗り込む。
- メディバン マンガ
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「刻の大地」をはじめ、300作品以上の人気マンガが基本無料で読めるスマートフォン向けアプリ。「刻の大地」の続編も連載中。
- 夜麻みゆき「刻の大地 愛蔵版①」
- 発売中 / 復刊ドットコム
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1728円
- 緒方恵美(オガタメグミ)
- 東京都出身の声優、歌手。1992年、「幽☆遊☆白書」の蔵馬役に抜擢され声優デビュー。「美少女戦士セーラームーンS」のセーラーウラヌス役、「新世紀エヴァンゲリオン」の碇シンジ役などを演じ、アニメファンならずとも名を知られる人気声優となる。歌手としても精力的に活動を続け、2017年10月には自身の声優活動25周年を記念したアニメソングカバーアルバム「アニメグ。25th」をリリース。12月には同アルバムを引っ提げてのライブツアーを大阪、福島、東京の3都市で開催する。2017年秋のテレビアニメでは「キノの旅」と「このはな綺譚」に出演中。
- M.O.bay-Megumi Ogata & em:óu Official web site|緒方恵美公式サイト
- 緒方恵美オフィシャルブログ
- 緒方恵美 (@Megumi_Ogata) | Twitter
- 緒方恵美の記事まとめ
- 緒方恵美「アニメグ。25th」
- 発売中 / ランティス
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[CD]
3240円 / LACA-15665
- 収録曲
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- プラチナ
- 不完全燃焼
- My Soul, Your Beats!
- 神様のいたずら
- Moon Revenge feat. 勝生真沙子
- Driver's High
- キミの記憶
- 太陽がまた輝くとき feat. 檜山修之
- 絶望性:ヒーロー治療薬
- 桜流し
- Hikari
- バイバイ YESTERDAY 堀部糸成 feat. 寺坂組(木村昴、はらさわ晃綺、下妻由幸、斎藤楓子)
- Komm, susser Tod
- 夜麻みゆき(ヤマミユキ)
- 大阪府出身。代表作は異世界オッツ・キイムを舞台とした一連のファンタジー作品「レヴァリアース」「幻想大陸」「刻の大地」。2017年6月、未完のまま連載終了となっていた「刻の大地」を再開するためのクラウドファンディング「漫画『刻の大地』塔の戦い編完結プロジェクト」を実施し、目標金額を達成。10月より「刻の大地」の続編連載をスタートさせた。