コミックナタリー Power Push -「タイガーマスクW」
気分が安らぐ“腐れ縁”? 対象的な2人がW主人公に挑む
八代拓&梅原裕一郎インタビュー
「タイガーマスク」を通じてみんなが同じ方向を向いている
──アフレコは第3話まで進んでいるとのことですが(取材は9月上旬)、初代「タイガーマスク」にも出演されていた田中亮一さんや柴田秀勝さんなど、ベテランの方々も多い現場かと思います。現場の雰囲気はいかがでしょう?
八代 第1話のときは、ホンットに緊張して。そういう意味ではあんまり覚えてないんです(笑)。周りも全然見えなかったですし、とにかく自分のことで精一杯で。今もそうなんですけど、そのときは自分のことすらもままならないような状態で。現場自体が結構特殊な雰囲気だったんですよ。というのも僕が一番下の世代で、その上に30代の先輩、その上には40代の先輩がいて、その先輩に草尾毅さんがいる。さらにその上には田中亮一さんがいらっしゃって。さらに柴田秀勝さんがいらっしゃるわけじゃないですか。もう、自分のヒエラルキーの位置どこなんだよ!みたいな(笑)。
梅原 ははは(笑)。
八代 ほとんどの方が初対面でしたし、大先輩で。主役として座長であらねばとも思うんですけど、何もできないという。結果、第1話の収録は演技に集中できたんですが、めちゃくちゃ緊張しましたね。でも第2話、第3話と進んでいく中で、オカダ役の森田(成一)さんや、それこそ田中さんや柴田さんが現場の雰囲気を和らげてくださって。本当に助けてくださる先輩ばかりで、第1話から第3話の間にもだいぶ現場の雰囲気は変わりましたね。……というより、正直変えていただいたんです。僕らのような緊張している若手のために。そういう面でも皆さん本当に偉大な先輩方だなと感謝しています。
梅原 僕はいろんな都合もあり、皆さん揃った状態での収録には第2話からの参加だったんです。僕は当日、現場に入ったときにいい雰囲気だなっていうのを感じて。八代くんもそんなに緊張してないんだなと思っていたら、あとから第1話の収録でそうとう緊張していたっていうことを聞いて、「あ、そうだったんだ」と思ったんですけど。
八代 (笑)。
梅原 本当に現場の雰囲気がいいんですよ。それこそ柴田さんや田中さんは初代が放送されていた頃のお話をしてくださったり。ほかの方々もプロレス好きな人が多くて。世代もあるとは思うんですけど、こういう選手がいたよねとか、よくプロレスのお話もしていて。そういった意味では共通の話題が「タイガーマスク」でありプロレスなので、みんなが同じ方向を向いていて、すごくいい現場だなって僕は思います。
八代 そう思うと、やっぱり作品が偉大だよね。最初はプロレスとか「タイガーマスク」の話で始まって、そこから発展して世代の話になったり。「父がリアルタイムで『タイガーマスク』を観てたんです」「お父さんは何歳なの?」とか、そうやって話が広がっていく。交流が深まるきっかけは「タイガーマスク」なんです。
お互いが気を使わない相手
──先日のイベントで八代さんは梅原さんに対して「同じ職業の仲間であり、ライバルとして見ていたところもあった」と話されていました。
八代 梅原さんに限らずですけど、やっぱり同世代の声優って皆さん意識しあうんじゃないかと思います。その中でも僕と梅原さんは仕事でもちょくちょく会うことがあったので、僕の中では結構意識している部分が大きくて。
──では逆に、梅原さんから八代さんに対してはライバル意識みたいなものって……。
梅原 ……ない……。
八代 おーい!(笑) あってよ! 嘘でもあるって言って!
梅原 ははは(笑)。いやいや、なんて言うんだろう。八代くんにだけないわけじゃなくて、僕はほかの人に対してもあまりそういう意識がないんです。確かにちょっと低めの声質とか似ている部分もあるんですけど、八代くんにできるお芝居が僕にできるわけではないので。お互いそれぞれのよさがあると思っているので、あんまりライバルとか、そういうふうに考えたことはなかった気がします。
──その考え方もナオトとタクマのように対照的ですね。これからアニメが始まるわけですが、W主人公を務めるにあたって、おふたりの相性はどうなのかなと気になります。
八代 それは僕も気になります。どう思ってるのか、梅原さんに伺いたかった。
梅原 いやもう、八代さんには頭上がんないっす。
八代 いや、それ相性関係ないから(笑)。
梅原 本当にデビュー当時からお世話になってますし。
八代 いやいや、俺のほうがデビュー遅いのになんで俺がお世話してるんだよ!(笑)
梅原 お世話になってる後輩です。
八代 複雑な関係だな(笑)。
梅原 ふふ(笑)。八代くんとはお芝居以外のところでも気兼ねなく話ができるんですよ。例えばこの現場って、やっぱりマイク前ではすごく集中したり緊張して気も引き締まるんですけど、収録の合間に八代くんと話をすると気分がほぐれたりして。そういった意味で、やっぱり気分転換には……。気分転換?(笑)
八代 ちょっと待って。
梅原 使い方おかしいね(笑)。
八代 なんか違う(笑)。
梅原 言い方が悪かったね(笑)。なんでしょう、本当に気を使わない相手だと思っているので、僕は。なので一緒にいて安心しますね。
八代 結構それは似てるなと思っていて。さっきはライバルとして意識する、みたいなことも言いましたけど、梅原さんとは仕事の話をすることが意外と少なくて。自分の生活の話とかをすることも多いんです。でもそうやって話ができるのって同業者や地元の友達にもそんなに多くはないので。そういう意味では貴重な存在です。
梅原 気分転換?
八代 違う、違う(笑)。
──おふたりの仲のよさも伺えたところで、最後に放送に向けて意気込みをいただければ。
八代 初代「タイガーマスク」と同じく、今の時代に多くは描かれない男らしさや男臭さ、そういった古き良きヒーロー像が「タイガーマスクW」では描かれています。これでもかっていうくらい悪そうなやつらがいっぱい出てきて、それをカッコいいプロレスラーが倒すというのも単純に爽快な気持ちになれると思います。もちろんプロレスを好きになってほしい、「タイガーマスクW」を好きになってほしいという気持ちもありますが、この作品は純粋に気持ちよく楽しめる作品だと思いますので、ぜひ老若男女問わず、たくさんの世代の方に観ていただきたいです。
梅原 「タイガーマスク“W”」ということで、W主人公でやらせていただく作品なんですが、タクマとナオト、それぞれに同時進行で何かが起こっていて、タクマ視点、ナオト視点でシーンが切り替わったり、あるときはクロスしたりもします。そういったストーリー展開も楽しんで観ていただけたら。もちろんお話もなんですが、試合のシーンはきっと絵もすごく迫力のあるものになっていると思います。そして僕らも負けないように声を当てていますので、ぜひプロレスファンの皆さんも、これからプロレスを知るという方もぜひ楽しんでいただけたらうれしいです。
テレビアニメ「タイガーマスクW」
放送情報
放送日:2016年10月1日(土)より毎週土曜26:45~
放送局:テレビ朝日
あらすじ
現代のタイガーマスクは2人いる──!? 主人公は「東ナオト」「藤井タクマ」、2人の若きプロレスラー。彼らは小さなプロレス団体「ジパングプロレス」の練習生だったが、「ジパングプロレス」は悪質プロレス団体「GWM(グローバルレスリングモノポリー)」に潰されてしまった。 報復のためナオトは富士の裾野で訓練を受け「新タイガーマスク」となり、一方タクマは「GWM」を裏で操る組織「虎の穴」にあえて入り「タイガー・ザ・ダーク」となる。「光のタイガー」「闇のタイガー」2人を待ち受ける戦いと友情の行方は──!? リング上では敵だが、目的は同じ。「虎の穴を潰せ!」
スタッフ
- シリーズディレクター:小村敏明
- シリーズ構成:千葉克彦
- キャラクターデザイン:香川久
- アクション作画監督:羽山淳一
- 美術デザイン:渡辺佳人
- 音楽:高梨康治(Team-MAX)、刃-yaiba-
キャスト
- タイガーマスク/東ナオト:八代拓
- タイガー・ザ・ダーク/藤井タクマ:梅原裕一郎
- 高岡春奈:三森すずこ
- オカダ・カズチカ:森田成一
- 棚橋弘至:鈴村健一
- 藤井大助:草尾毅
- 山科ルリコ:千葉千恵巳
- 高岡拳太郎:田中亮一
- 来間ヒカリ:橘田いずみ
- 若松龍:岸尾だいすけ
- 永田裕志:てらそままさき
- ミスターX:柴田秀勝
- ミスX:小林ゆう
- イエローデビル:島田敏
- ケビン・アンダーソン:福山潤
- マイク:ロドリゲス:内匠靖明
- オーディン:竹本英史
- 真壁刀義:真壁刀義
八代拓(ヤシロタク)
岩手県出身、1月6日生まれ。主な出演作は「アイカツスターズ!」(結城すばる役)、「KING OF PRISM by PrettyRhythm」(十王院カケル役)、「アイドルマスター SideM」(柏木翼役)など。
梅原裕一郎(ウメハラユウイチロウ)
静岡県出身、3月8日生まれ。主な出演作は「ヤングブラック・ジャック」(間黒男役)、「美男高校地球防衛部LOVE!」(由布院煙役)、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」(ユージン・セブンスターク役)など。