マンガの神様・手塚治虫の生誕90周年を記念して、マイクロマガジン社が、「テヅコミ」を創刊した。同誌では手塚治虫を敬愛するマンガ家たちが、手塚作品にアレンジを加えた新作マンガを発表。またテーマに沿ってセレクトされた手塚作品が再掲載されるほか、インタビューや企画ページも盛りだくさん。手塚ファンはもちろん、手塚治虫に詳しくない読者も楽しめる1冊に仕上げられている。刊行ペースは月に1度。全18号を刊行予定だ。
コミックナタリーでは「テヅコミ」の誕生を記念し、創刊号の特集を展開。ベールを脱いだトリビュート作品の数々を一挙に紹介する。武礼堂、えのきづによる描き下ろしマンガもお見逃しなく。
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「サーチアンドデストロイ」
カネコアツシ×「どろろ」2019年にTVアニメ化&舞台化が決定している「どろろ」を、メリハリの効いたファンキーな画風で知られるカネコアツシが描く。舞台は“クリーチ”と呼ばれるアンドロイドが、人間と共存するようになった世界。汚れ仕事ばかりを請け負うクリーチの男・キックは、食べ物をより美味しく楽しむため、人間から奪った“本物の舌”を持っていた。ある日、食事を貪るキックのもとに、怒りに顔を歪ませた謎の少女が来襲。彼女の四肢は、機械だった。
- カネコアツシ
- 代表作「デスコ」「SOIL」「BAMBi」ほか
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「どろろ」はアイデンティティの物語であり、「怒り」の物語であると思います。奪われ失われた自己を取り戻そうとする「怒り」に、僕は焦点を当てて描こうと思います。
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「新約・リボンの騎士」
武礼堂 [村正みかど・宮本ろば・はまむらとしきり]×「リボンの騎士」男子しか王位を継げない国・シルバーランドを舞台に描かれる、美少女・サファイアの物語。彼女は父である亡き先王の遺言を果たすため、性別を隠し王子のフリを続けていたが、豊満に育った胸はサラシを巻いて隠すにもひと苦労。男らしい騎士道精神を育みながらも、かわいいドレスへの憧れを募らせていた。そんな王子の秘密を暴こうと、王国宰相のレスターが画策。一方、上空では“もう一人のリボンの騎士”の下僕たちが、その様子をうかがっていた。
- 武礼堂 [村正みかど・宮本ろば・はまむらとしきり]
- 代表作「レッする!ジ・アンダーグラウンド」(村正、はまむら)、 「ラストエグザイル-銀翼のファム-」コミカライズ(宮本)ほか
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村正みかど
最高に可愛くてカッコいいサファイアを描くのが楽しみ。あと悪役とかも憎めない感じに描きたいですね。
宮本ろば
今回改めて原作の「リボンの騎士」を通読しましたが、魅力的なキャラクターとストーリーで一気に読み終えてしまいました。オリジナルの魅力に少しでも近づけるよう頑張ります。
はまむらとしきり
原作の「リボンの騎士」は、読者に色んな疑問を問いかける名作です。僕たちなりの答えを新作に込めていければと思います。
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「ハートレス」
ジョー・ケリー
ケン・ニイムラ×「ブラック・ジャック」米国生まれのコミック原作者と日系スペイン人のマンガ家──国際漫画賞で最優秀賞を獲得したこともある名コンビが、「ブラック・ジャック」を題材に再コラボ。創刊号掲載話ではブラック・ジャックが、ある組織のボスより依頼を請けて、心臓病を患う彼の娘のため奔走する。ピノコは自由自在に伸びる手、口内に搭載された機関銃で、手術のサポートからトラックの運転、追手への銃撃までこなすスーパーアシスタントに。
- ジョー・ケリー、ケン・ニイムラ
- 代表作「I KILL GIANTS」ほか
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手塚治虫先生の作品は、いつ読んでも新鮮に感じます。この機会に不朽の様々な作品を皆さんが、どのようにアレンジされるのかが楽しみです!(ニイムラ)
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「亜夜子」
九部玖凛×「奇子」閉鎖的な村に住む地主の一族・天外家を巡る社会派ドラマを、官能的な少女を描くことに定評のある九部玖凛が執筆。カメラマンを名乗る青年・仁は、ある裏仕事を引き請け、数年ぶりに故郷へと帰る。仁の父・剛毅は相変わらずで、長男・一馬の嫁である鈴枝と密通し、7歳になる娘・亜夜子を産ませていた。遺産を狙う一馬はこれを黙認していながら、亜夜子への暴力衝動を抑えきれない。事情を知った仁は「この家は…みんな狂っていやがる…」と苦悶するが……。
- 九部玖凛
- 代表作「かんなの水魚」「そして恋をする。」ほか
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はじめまして九部です。このたび大変光栄な機会をいただきました。こんな機会は滅多にないと思いますので、先生の胸を借りるつもりで描いていきます。よろしくお願いいたします。
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「懊悩! マモルくん」
しりあがり寿×「マグマ大使」マグマ大使たちが宇宙人・ゴアを撃退し、平和が戻った世界。だがマグマ大使とともに悪と戦った少年・マモルは、ある悩みを抱え苦しんでいた。彼の悩みの種は、マグマの妻・モル。マモルは彼女のことを考えると、悶々とした気持ちを抑えきれなくなってしまう。「どうしてもモルに会いたい!!」マモルは彼女を呼び出すため、マグマにもらった笛を吹くが……。鬼才・しりあがり寿が繰り出す、“きわめてユニークなプロローグ”に期待。
- しりあがり寿
- 代表作「地球防衛家のヒトビト」「真夜中の弥次さん喜多さん」ほか
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魂を熱く揺さぶる、マグマ大使一家とマモルくんの愛と懊悩の物語です。これを描きながらパロディーに燃えていた若き日とあの頃のムラムラを思い出しました。ああ、こんなチャンスをくださった手塚プロと手塚先生に感謝であります!
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「治虫の国のアリス」
上野顕太郎木漏れ日の差す穏やかな午後、手塚マニアの姉を持つ少女・アリスは、姉にマンガを読んでもらっていた。すると、手塚マンガを彷彿とさせる外見のうさぎがアリスの横を通り過ぎる。そのうさぎを追って穴に飛び込むと……。第21回文化庁メディア芸術祭で優秀賞を受賞したことも記憶に新しい上野顕太郎が、得意とするメタフィクション的演出を交えながら、不思議あふれる“治虫の国”をご案内。
- 上野顕太郎
- 代表作「夜は千の眼を持つ」「帽子男は眠れない」ほか
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これまで様々な作品のパロディーに挑戦してきましたが、今回はその集大成ともいうべき、広大なる手塚作品全般への挑戦となります、ご期待ください!
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「チョコっとドラキュラ」
えのきづ×「ドン・ドラキュラ」由緒ある吸血鬼の一族に生まれた少女・チョコラが、成長して“チョコっと”大人に。「普通の人間として暮らしていきたい」と願う彼女の日常を、「琴浦さん」のえのきづが4コマ形式で描く。第1話では深夜のハンバーガーショップでアルバイトを始めたチョコラに、心配性のドラキュラ伯爵が猛反対。「陽の光に当たったらどうする!」「胸にクイを打たれるかもしれんぞ!」と娘を引き留めるが、彼女はバイトをやめようとしてくれず……。
- えのきづ
- 代表作「琴浦さん」「銭湯の女神さま」ほか
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子供の頃から好きだった「ドン・ドラキュラ」のマンガが描けて幸せです。少しでも作品の魅力が伝わるよう頑張りたいと思います。
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「グルグルギューン」
史群アル仙手塚作品に親しんで育った史群アル仙が、相棒・ウッウーとともにマンガの世界を巡る“手塚マンガぶらり旅”。第1回のテーマは「ブラック・ジャック」のエピソード「笑い上戸」。子供の頃は“ムズカシイ所はわからず ただ楽しく読んでいた”アル仙だが、大人の心で改めて作品を読み直したとき、「笑い上戸」の奥深さを再発見する。なお創刊号には、再録マンガとして「笑い上戸」が収録されているので、本作と合わせて楽しめるのもポイント。
- 史群アル仙
- 代表作「今日の漫画」「臆病の穴」ほか
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幼いころ「グルグルギューン」のストーリーのように手塚先生の作品に入る空想をして楽しんでました。その頃の初心の気持ちで作品に向き合い執筆しています。
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「とらわれのエデン プライム・ローズ」
蒼一郎×「プライム・ローズ」片腕の女戦士・エミヤの活躍を描くヒロイックファンタジー。グロマン国の支配下にあるククリット国の人々は、グロマン人から奴隷同然の扱いを受け、苦しい生活を強いられていた。物語はそんなククリット国で違法賭博を行う、ある闘技場から始まる。闘士の1人である少女・エミヤは、腕が1本しかないにもかかわらず、大男さえも圧倒してきた傑物。ある日彼女は、闘技場に乱入してきたグロマン人と、観客の命をかけて勝負することになる。
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「和田ラヂヲの火の鳥」
和田ラヂヲ×「火の鳥」手塚治虫が人間の生と死をテーマに描いた作品「火の鳥」に、シュールなタッチで独自の世界観を作り出す、稀代のギャグマンガ家・和田ラヂヲが挑む。第1話「訪問編」では会社員の田中が、結婚して都内に一戸建てを購入した同期・鈴木の家を訪問する。田中が手土産に選んだ物は? 神出鬼没・アンノウン的存在の火の鳥を、和田ラヂヲの独特な感性がより謎なものに変える、「テヅコミ」イチの変化球作品。
- 和田ラヂヲ
- 代表作「スカの群れ」「猫も、オンダケ」ほか
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栄えある創刊号へ寄稿できる喜びを胸に秘めて描いた所 このような作品になりました。よろしくお願いいたします。※火の鳥はみんなの心の中にいるはず。
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「プリンセスナイト」
マウリシオ・デ・ソウザ×「リボンの騎士」手塚治虫の大ファンで、氏と深い親交を持っていたブラジルマンガの巨匠が、「リボンの騎士」×「ローマの休日」という異色のコラボ作品を執筆。D国の王女・アンがローマに滞在中だというニュースを観た魔女の娘・ヘケートは、アン王女がサファイアに瓜ふたつなことを知り、サファイアを恨む母のため下界へと降り立つ。一方の王女は、過密なスケジュールと窮屈な生活にお疲れ気味。彼女は部屋に突然現れた猫の誘いに乗って、ホテルを抜け出してしまう。
- マウリシオ・デ・ソウザ
- 代表作「モニカ&フレンズ」「オラーシオ」ほか
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「手塚治虫のキャラクターを使った作品をいつか」と親友の彼と交わした古い約束を果たせ、本当に幸せです。
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「テヅコミ」では毎号テーマに沿った手塚マンガをセレクトして掲載。創刊号では「はじめての手塚治虫」をテーマに、「火の鳥 鳳凰編」の第1話、「アトム今昔物語」の「天馬博士」、「ブラック・ジャック」の「笑い上戸」といった3編を収録している。
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執筆陣へのインタビューや原作となった作品の解説、アンケート調査、手塚るみ子がマンガにゆかりのある人々と対談する「ラララのお茶の間」、堀江貴文のコラム「マンガの神様が教えてくれたこと。」など、読みものページも盛りだくさん。古瀬風と高梨りんごが小説で綴る、新たな「リボンの騎士」奇譚も楽しめる。
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小説「青いリボンと銀の髪」
古瀬風(イラスト:高梨りんご)×「リボンの騎士」- 古瀬風
- 代表作「Tokyo 7th Sisters-episode.Le☆S☆Ca-」シリーズほか
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手塚治虫先生の作品に、漫画家ではなく小説家としてかかわるということ。それはとても難しいことではありますが、精一杯がんばりたいと思います。
- 高梨りんご
- 代表作「ニーナさんの魔法生活」シリーズほか
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マンガ描きの部類にいる自分が挿絵を担当させてもらえ、うれしさとほんの少しの場違い感を感じてます。神様の一端に触れる思いで物語に華を添えていきたい所存です。
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「テヅコミ」では通常版に加え、特製キャラクターメダルが同梱された限定版を用意。メダルは手塚作品の名シーンを立体刻印で再現したデザインで、プレミア感を高めるシリアルナンバー入り。第1号には「ブラック・ジャック」のメダルが付属。限定版は全18号に用意されるので、コンプリートを目指してみては。
※掲載の画像はイメージ。質感、色味などは実物と異なる場合がある。
- 武礼堂
[村正みかど・宮本ろば・はまむらとしきり]
- えのきづ
ナレーション:笠間淳
ナレーション:竹尾歩美
2018年10月5日更新