コミックナタリー Power Push - 「帝一の國」

古屋兎丸×木村了(赤場帝一役)×三津谷亮(榊原光明役)鼎談

謀略うずまく学園政権闘争劇、完結!ラスト飾るお祭りを語り合う

最終巻には50年後の話を(古屋)

帝一と光明のカラーカット。

古屋 あとこれはまだ言っていなかったんだけど、単行本の最終巻には本編の続きを描き下ろしで入れる予定です。

三津谷 えー、それは知らなかったです。どんな内容なんですか。

古屋 簡単に言うと……。

木村 言っちゃって大丈夫なんですか(笑)。先生重要な情報サラッと出しちゃうから。

古屋 (笑)原作の完結から50年後のお話になります。

木村 50年後ってことは、帝一は70歳近い。

三津谷 俺の予想だけど、家族に囲まれてて「これが僕の『帝一の國』だ」みたいな感じじゃない?

木村 あー、なるほどね。50年後ってことは時代的には現代の話になるんですかね。

古屋兎丸

古屋 そこら辺の設定はね、フワッと考えてほしいの(笑)。一応劇中では、時代背景は架空の昭和ってことにしていて。もし明確な数字を出しちゃうと、(帝一の父親の)譲介さんが選挙戦を戦ってたのは、戦中? 戦前?とかいろいろ考えなきゃいけない部分が出てくるから。

木村 あんまり史実に当てはめてしまうと、難しくなってしまうんですね。そもそもなんで昭和を舞台にしたんですか。

古屋 学生同士の熱い選挙戦を描きたいと思ったときに、舞台が現代だったら不自然になっちゃうんじゃないかと思って。今なら多分もっと冷めてる感じになっちゃうだろうし、昭和にせざるを得なかったんだよね。昭和だったら学生運動とかもあったし、なんとなくアツい戦いの時代っていうイメージがあるじゃない。あと携帯電話とかも出したくなかったんだよね。

帝一は光明の発明品によって窮地を脱する。

木村 携帯が出てこないというのもそうですし、アナログな感じが面白いっていうのもありますよね。序盤で光明が「生徒会だより」を刷るために作ってきた発明品とか、アナログだからリアリティがあって「なるほどね」って思えますし。

第二章があるって自分だけ知らなかった(三津谷)

──木村さんは「帝一の國」の以前に、「ライチ☆光クラブ」にもゼラ役で出演なさっていますよね。それぞれテイストはまったく異なりますが、2作品ともに主役を演じてみていかがですか。

木村了

木村 どちらもすごくワクワクしましたよ。「ライチ☆光クラブ」は「面白いから」ってマネージャーに原作を渡されて、世界観が異質で惹かれるものがあったので出ようと決めたんです。「帝一の國」は漫画兄弟のノリさん(平沼紀久)から、「こういうマンガがある」っていう話を聞いていて。自分が演じることになるとは思っていなかったんですけど、「これをどう舞台化するのか」っていうことは気になっていましたね。

古屋 3部作でやろうって最初から決まっていたからドキドキしなかった?「第一章でコケたらどうしよう」って。舞台化が決まったときは原作は9巻収録分を描いていたあたりで、何巻で終わるかも見えてなかったし、どうしようって思ってたけど。

三津谷 あはは(笑)。僕はタイミングが悪かったのか、「第二章もやるよ」っていう情報を知らないまま舞台に立ったんです。

木村 そうだそうだ。それで俺達が「第二章もあるよ」って伝えたんだよね。ただ冗談で「第二章はほかの人が光明をやるから」って言って。

2014年に上演された「學蘭歌劇『帝一の國』」のビジュアル。

三津谷 「第一章はその人のスケジュールが合わないから三津谷になったんだよ」って言われて泣いちゃって、なんてひどい人たちなんだろうと思いましたね(笑)。

木村 あのときは本当にごめんね。

古屋 泣いちゃうところも光明っぽくてホントにかわいいんだよね。

──舞台のDVDに収録されている映像特典でも、三津谷さんがいじられていることが多いですね。

三津谷 前はそんな感じだったんですけど、使い捨てられたのか、みんなが僕に飽きているんです。だから最近はみんなの注目を浴びるために、稽古場にグミをたくさん持ってきています。

三津谷亮

──えっ、どういうことですか?

三津谷 稽古場に各々の机があるんですけど、そこにグミを置いておくと、みんな貪りにくるんです。普通なら自分の魅力で人を集めればいいんですけど、物を使わないと集まらないので(笑)。ただたまにトイレとかに行って帰ってくると、俺がいないのにみんなが机の周りに集まっていて、「やっぱりグミが目当てなんだな」って思っちゃう。

古屋 あはは(笑)。

古屋兎丸「帝一の國」 / 発売中 / 集英社
1巻 / 473円
13巻 / 514円

時は昭和──。数多くの政治家や官僚を生み出す超名門校・海帝高校で、赤場帝一はその頂点である生徒会長を目指していた。奮励の甲斐あり、次期生徒会長候補者の1人に選ばれた帝一は、虚偽を交えて生徒を先導するライバル・東郷菊馬の陣営に対し腹心の榊原光明を潜入させるも、捕えられ逆に洗脳されてしまう。光明の変わり果てた姿に責任を感じ、死すら覚悟した帝一は一大決心をする。そして運命の生徒会長選挙当日を迎え……。ジャンプスクエア連載の学園政権闘争劇、最終巻の14巻は5月2日発売。

第1話の試し読みはこちら

舞台「【最終章】學蘭歌劇『帝一の國』-血戦のラストダンス-」2016年3月17日(木)~27日(日)AiiA 2.5 Theater Tokyo
「【最終章】學蘭歌劇『帝一の國』-血戦のラストダンス-」
キャスト

木村了、入江甚儀、三津谷亮、吉川純広、谷戸亮太、細貝圭、冨森ジャスティン、市川知宏、佐藤永典、佐藤流司、原嶋元久、瀬戸祐介、大河元気(映像出演)、井上小百合(乃木坂46)、樋口日奈(乃木坂46)、平沼紀久、今奈良孝行、竹内寿、中谷竜、ぎたろー、大堀こういち

古屋兎丸(フルヤウサマル)
古屋兎丸

1994年にガロ(青林堂)より「Palepoli」でデビュー。以後、精力的に作品の発表を続け、緻密な画力と卓越した発想力、多彩な画風で、ヒット作をコンスタントに発表する。主な著書に舞台化、映画化を果たした「ライチ☆光クラブ」をはじめ、「インノサン少年十字軍」「幻覚ピカソ」「人間失格」など。現在ジャンプSQ.(集英社)にて「帝一の國」、ゴーゴーバンチ(新潮社)にて「女子高生に殺されたい」をそれぞれ連載中。「帝一の國」は3度にわたり舞台化されたほか、実写映画化されることも決定している。

木村了(キムラリョウ)
木村了

1988年9月23日生まれ、東京都出身。2002年、ジュノンスーパーボーイコンテスト特別賞の受賞をきっかけにデビューを果たす。これまでの出演作にドラマ「ウォーターボーイズ2」「のだめカンタービレ」や、映画「ヒートアイランド」、舞台「ライチ光クラブ」「學蘭歌劇『帝一の國』」シリーズなど。

三津谷亮(ミツヤリョウ)
三津谷亮

1988年2月11日生まれ、青森県出身。俳優集団D-BOYSメンバー。ミュージカル「テニスの王子様」2ndシーズン・不二役で人気を博し、以降、多数の舞台で活躍。近年の出演作品に、「SHOW BY ROCK!! MUSICAL」「幽悲伝」、てがみ座第11回公演「地を渡る舟」など。2016年5月から6月にかけて、キャラメルボックス2016公演「また逢おうと竜馬は言った」で主演を務める。特技の一輪車では2000年、2004年の世界大会で優勝した。