第1話や第2話のヒロインを見直してほしい

──ここからはそれぞれの作品についてじっくり伺います。まず古賀さんは「たわわ2」を観てどう感じましたか？

古賀　1期ではアイちゃん以外の回が多くて、そこで力を入れて遊んでいたんですよ。歯医者さんの回はすごくフェティッシュなアングルを作ろうとがんばったり、コンビニ店員さんの回は少し新海（誠）さん的な爽やかな雰囲気にしたり。今回はどういうふうになるのか楽しみにしていましたが、第2話が「たわわ2」から登場する前髪ちゃんの話があって、それがすごくよかったのが印象的でした。

小川　「たわわ2」はヒロインとなるキャラクターが多いので、序盤からずっとアイちゃんの話をやるのもな……と考えて、早い段階で「たわわ2」ではこれまでにいたキャラクター以外のヒロインもいることを提示するよう考えていました。

古賀　しかも第2話は前髪ちゃんの3年間の話と彼女の魅力をきれいにまとめて伝えていて、よかったですよね。

小川　ありがとうございます。第2話はまるまる前髪ちゃんの過去の話で、あの話のために音楽も作ってもらったもので、映像と曲がうまくマッチしたかなと思っています。

──前髪ちゃんは「たわわ2」からの登場ながら、結婚式でラストを飾る重要キャラクターでした。やはり気を配られましたか？

小川　はい。「たわわ2」は前髪ちゃんがメインというわけではないですが、アイちゃんとのWヒロインかというくらい登場します。だから彼女の顔がアップになったら前髪の毛先だけ少し透けるとか、キャラクター用の処理も作ってもらったりしました。

──このインタビューが公開されるころにはBlu-rayがリリースされていますが、ほかに特に見直してほしいこだわりの描写はありますか？（※取材は12月に行われた）

小川　基本的には全部ですが、あえて挙げるならアイちゃんが初めて2期で登場する、第1話の冒頭でしょうか。駅のホームで待っていると桜の花びらが落ちてきて、胸に当たったところでこちらを見てくる。あの辺りは芝居や動き、表情をうまく表現できたかなと思います。

“たわわ市”いいですよね

──素朴な疑問なのですが、あの世界はたわわな女性しか存在しないのでしょうか？ 第3話に登場するCAさんなどもたわわですし。

小川　（笑）。

古賀　そうだと思いますよ。巨乳率が異常に高い“たわわ市”なんでしょう。確か出てくるお店とかも全部「たわわ○○」にするという縛りもあったはずなので。すごくいい街ですよね。

──いいんでしょうか（笑）。

古賀　でも「たわわ」はたわわ縛りがあるので、外見的なところではそれほど変わりようがないですよね。だから性格的なところ……例えば前髪ちゃんだったら割と積極的なところをきちんと表現しなきゃいけない。「たわわ2」はそれができているから、みんなかわいいんだと思います。

小川　そうなんです。だから基本的なキャラクターデザインの段階ではみんな服がパツパツなんですけど、そこから上着を着ている場合はボタンがきつく締め付けてあったり、シャツの場合は皺がすごく伸びていたりというのは話ごとにかなり細かく演出さんと相談しました。

──胸の描写へのこだわりが強い作品ですが、作監修正で「もう少し大きくしてほしい」といった修正もよくされていたんでしょうか。

小川　いえ、意外とアニメーターの皆さんがノリノリで大きく描いてくれたのでそれほどでは。普通の作品は胸を大きく描き過ぎて修正されることが多いですが、この作品の場合は「大きく描いてください」という発注なので、みんな楽しく描いていたようです。

──ちなみに古賀さんは「みんなかわいい」とおっしゃっていましたが、どのキャラクターが一番好きですか？ やはり前髪ちゃんでしょうか？

古賀　僕はすっかりおっさんになってしまったので、若い子たちもいいんですけど、アイちゃんのお母さんですね。声が井上喜久子さんだったので、「相変わらずキャスティングが豪華やな！」と驚きました。

──確かに、それほど登場するわけでもないのに印象的なキャラクターでした。小川監督は2期からの新規キャストの中でどなたが印象に残っていますか？

小川　今回の新規キャラクターは原作の比村さんのイメージを元に音響スタッフがキャスティングしたので、どのキャラクターもイメージ通りでした。ただあえて1人選ぶなら、前髪ちゃん役の高橋李依さんでしょうか。僕は高橋さんの声に張りがある、元気なイメージがあったので、静かな声なんかも出せていてすごいなと思いながら聞いていました。