2021年9月から12月までABEMA限定で配信された「月曜日のたわわ2」と「がんばれ同期ちゃん」。Twitterで人気を博したイラスト群を原作とするWebショートアニメであること、女性キャラクターの魅力にフォーカスした作品であることなど、両作品は多くの共通点を持っている。
コミックナタリーではそんな「月曜日のたわわ2」の小川優樹監督と、「がんばれ同期ちゃん」の古賀一臣監督による対談を実施。お互いの作品を視聴していたという2人にその感想を聞きつつ、女性キャラクターを魅力的に描くための工夫や、こだわりのシーン、さらには販売中のBlu-rayに収録されている未配信エピソードについても語ってもらった。
取材・文 / はるのおと
最終回の結婚式被りには両監督もびっくり
──配信が始まってから、お互いの作品はご覧になっていましたか?
古賀一臣(「がんばれ同期ちゃん」監督) 僕は「たわわ」1期に演出で参加させてもらっていたので、2期が急に始まると聞いて驚きつつ、楽しく観させてもらいました。
小川優樹(「月曜日のたわわ2」監督) 僕も観ていました。以前よむさんの「みるタイツ」をアニメ化させてもらいましたが、そのときから絵が好きだったので、今回も普通に「かわいいなあ」なんて思いながら。でも「たわわ2」がまったく宣伝せずに突然配信するということになっている中で、「同期ちゃん」は配信前からどんどん宣伝していて……。
──やきもきした部分もあったのでしょうか。
小川 少し(笑)。それと1話の配信までファンの反応がまったく見えなかったので、どう受け入れられるか不安もありました。
──どちらの作品もクライマックスが結婚式で、さらに最終回のエンドカードが対照的になっていたので多少は連携されていると思ったのですが……。
古賀 結婚式、きれいに被ってましたねー。まるでコラボしたみたいに。
小川 そうですよね。自分も「同期ちゃん」が最後にどうなるかまったく聞いていなかったので驚きました。
古賀 エンドカードもどんな内容になるか僕は知らなかったので、毎回楽しみにしていました。
小川 自分も同じです。
古賀 どちらもプロデューサーをはじめとした黒幕たちの仕業でしょう。
──今同席している福永佳祐さんは両作品にプロデューサーとして参加していて、内容を把握していたと思います。最終回の内容が被っていることは、おふたりに伝えなかったんでしょうか?
福永 もちろん把握はしていたけど、互いに意識してもし悪い方向にいったらまずいのでそっとしておこうかなと思っていました。
古賀 悪いプロデューサーですね(笑)。
福永 ちなみに私は両作品の最終回が配信される前々日の12月4日、知人の結婚式に出席していました。
一同 (笑)。
──おめでたい話をありがとうございます。
男性向けに振り切った「たわわ」、女性の意見が活かされた「同期ちゃん」
──どちらのアニメもTwiterの1枚絵が原作ですが、そこからどんなふうに物語が作られたか教えてください。
小川 「たわわ2」については、自分が入ったときにはもう「このイラストとこのイラストの話をこういう流れでつなげたい」というある程度の流れを、原作の比村奇石さんとシリーズ構成の鴨志田一さんが考えていました。そこに「1期にないこの話を入れよう」とか「新たにこの話をつなげてみよう」とかエピソードを加えながら、どうしても尺が短いので各話にぎゅっと詰め込んでいきました。
──特に比村先生や鴨志田さんと話し合われた要素はなんですか?
小川 「たわわ」のファンが見たいのは女性キャラクターなので、各キャラクターのパートナーとなる存在をどれだけ省くかです。例えば前髪ちゃんの恋人である先生は口パクだけでしゃべらないですが、あれは「男の声を聞かせるのはどうなんだろう」という話があったからです。もちろん1期でしゃべっていたアイちゃんのお兄さんのようなキャラクターを無言にするわけにはいかないですが、できるだけ女性キャラクターにフォーカスしようというのは考えました。
古賀 「同期ちゃん」も原作で男性キャラクターに目がなかったりするのは男性ファンが自分を投影しやすいような作りにしているんだろうなと考えて、セリフを少なめにするのは意識しました。ただ、「同期ちゃん」は女性ファンも比較的多いので、女性の視点も取り入れようとシリーズ構成として中村能子さんに入ってもらいました。
──その起用がハマった部分はありましたか?
古賀 はい。今回はシナリオからコンテを作ったあと、中村さんに見てもらって意見を出してもらったんです。例えば第1話で同期くんと相部屋になった同期ちゃんが、ホテルでシャワーを浴びて化粧を直すシーンがありますよね。あそこでスムーズに化粧を直していると慣れている感が出るという意見をいただいたので、眉を描くのに失敗する芝居などをあとで足しました。
──確かに納得の指摘ですね。女性のかわいらしさを前面に押し出すアニメという点では同じですが、それにどうアプローチするかは全然違うんですね。
小川 「たわわ」の場合はどうしても魅力というか、露骨に映す対象が胸なので、「女性がもし観たら」といった気持ちは一切なく、「男性が、そして自分が観たいものを作ろう」と思っていました。具体的には露骨に揺らすだけじゃなく、電車の揺れを利用してキャラクターを揺らせないか、皺の動きでうまく揺れを表現できないか……とさまざまなことを利用して胸の魅力を表現しようと考えていました。
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第1話や第2話のヒロインを見直してほしい