「ダーリンは71歳・高須帝国より愛をこめて」|2人の愛を綴ったエッセイマンガは…「俺物語!!」のパクリ?描かれ放題のダーリン・高須院長が西原理恵子に反論

僕のことをマンガに描くときは事前に許可を取るって約束だった(高須)

──そんな毒が効いた作品を発表してきた西原さんも、いまやバカップルを描くようになりました。

左から高須克弥、西原理恵子。

西原 そうですね。今は幸せだし、「俺物語!!」でいいんだと気付いて、幸せを売ってみようかなという感じで描いてるのが「ダーリン」ですかね。

高須 でも「ダーリン」はね、話の途中まですごく素敵な展開をしてても、最後のページに何が起こるかがすごく怖いんですよ。ジェットコースターみたい。ずっと上がって「おお、いい景色だな」って思ってるとドカッと落とすから。

──高須さんも、掲載誌であるビッグコミックスペリオールを読むまで何を描かれるかは知らないわけですね。

高須 そう。だからスペリオールを買うのが怖いもん。で、読んでみて「これはみんなに見せちゃいけないな」って思ってたら、高須クリニックにも送り届けられてるの。

西原 従業員さんがマンガを読んじゃうのが一番の悩みらしいです。「みんなが僕を見てクスクス笑ってる」って。「俺物語!!」には出てこない場面がいっぱい出てくるからね、尿漏れしてたりとか。アシスタントの愛ちゃんからは「もう、やわらかちんぽの話多すぎですよ」って言われるぐらいだし。

高須 そう、多すぎるよ。そもそも本当は、僕のことをマンガに描くときは必ず連絡くれるって約束だったんですよ。最初に僕から「ファンです」ってメールしたときは、彼女から「お金も美貌もいらないので、マンガのネタにさせてください」「描くときは事前に許可取りますから」って返事が来たんだから。

──それが全然守られてない。

高須 初めて会ったときなんか、「西原理恵子と申します、よろしくお願いいたします」って上品な感じで言ってたのになあ……。

西原 だって初めて会った人だもん(笑)。でも「事前に許可を得る」って言ってはみたものの、私はいつも締め切りギリギリなんですよね。だから彼のことを描くときも、ネームをFAXで送って、1分後にペン入れしますから。まあ一応送ったし許可取ったかなって(笑)。

──「こういうの描くよ」と送ってはいるからと(笑)。

西原 いろんなことをずっとバラされてるから、最初はすごくくじけたみたいですけどね。

高須 傷つくよなあ……。

「ダーリンは71歳」より、絶倫をアピールする高須。

西原 こうやって下向いて(笑)。でも私の作品が好きだから「描くな」とは言えないしね。しかも自分からネタ振ってくるんですよ? 最近も薬局で「凄十」っていう男性用のサプリメントを見ながら「こういうのを買ってみようかね」とか言ってくるし。

高須 何かのときのために買っておこうかなと……。

西原 そういうものに頼らないといけないのに、人前では「俺は絶倫だ」とか涙ぐましい嘘つきますからね(笑)。私には「絶倫って描いておいてくれ」って言うし。

──でも西原さんは「絶倫って描いておいてね」って言われたことまでマンガにしますもんね。

西原 そうそう(笑)。

普通、ケンカした相手とは二度と商売しませんよね(西原)

高須 …………。話を戻すと、「ダーリン」をスペリオールで読んでて、最後のページを開けるのがすごく怖いって言ったじゃないですか。あの作品は巻末に載ってますから、最後のページの次に高須クリニックの広告が載ってるんですよ。

ビッグコミックスペリオールの最後のページに掲載されている、高須クリニックの広告。

──高須さんの上半身裸の写真が毎回載ってますよね。

高須 あれは読者からしたら、なんとも言えぬ「高須、バカじゃないの」っていう結論に達するような感じがしてますね。

──マンガのオチが高須さん絡みだったとき、オチの破壊力が増しますよね(笑)。

担当編集 あそこのワクの広告、高須クリニックさんが1年間買ってくれたんですよ。

西原 彼のインタビュー本の1冊目が絶版になった後にね。経営者って、普通絶版にさせられてケンカしたら「もうあいつとは二度と商売せん!」ってなるじゃないですか。でも彼はそこで「広告を買いましょう」って言うんですよ。相手の弱らせ方がうまいなって(笑)。「そうか、お金が足りなかったのか」みたいな。

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熟年バカップル恋愛を赤裸々に描いた「ダーリンは71歳」のスピンオフ本です。「尿漏れ」「ツイ廃老人」「やわらかメンマ」などなど、描かれたい放題だった高須院長が、思いっきり反論に転じたロングインタビュー本なんです。彼女・西原理恵子さんの描き下ろしマンガも多数収録。感涙名作シリーズとなった「りえくまちゃんとぼく」の新作も!

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高須克弥(タカスカツヤ)
1945年1月22日愛知県一色町生まれ。昭和大学医学部卒業。同大学院の医学研究科博士課程を修了し、1973年には医学博士を取得した。1976年に愛知県名古屋市にて高須クリニックを開設。同院は「YES、高須クリニック」のキャッチコピーでも知られる。1978年からは「11PM」などのテレビ番組にレギュラー出演し、一般的に美容整形を認知させた。また国際美容外科学会会長、日本美容外科学会会長にも就任している。
西原理恵子(サイバラリエコ)
1964年11月1日高知県高知市生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。大学在学中よりアダルト雑誌でイラストを描きはじめ、1988年ヤングサンデー(小学館)にて「ちくろ幼稚園」でデビュー。破天荒な人生を叙情的に描くストーリーマンガの旗手としても知られ、「ぼくんち」で1997年第43回文藝春秋漫画賞を受賞。同作は2003年に観月ありさ主演で映画化もされた。2005年には「毎日かあさん(カニ母編)」で第8回文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞、「毎日かあさん」「上京ものがたり」で第9回手塚治虫文化賞短編賞を受賞した。