コミックナタリー Power Push - 「タブー・タトゥー」

LOVE無駄口!吹き出し外の書き文字が熱い 王道少年マンガに込められたB級のこだわり

真じろう「タブー・タトゥー」がテレビアニメ化され、この7月からテレビ東京ほか各局にて放送が開始された。アニメは「ゼロの使い魔」「とある科学の超電磁砲」などで知られるJ.C.STAFFが制作を手がけており、バトルシーンを見どころのひとつとする本作との相性はバッチリだ。

アニメ化を記念してコミックナタリーでは、作者の真じろうと月刊コミックアライブ(KADOKAWA)の編集長・土方隆氏による対談を実施。もともとはマンガ家志望ではなかったという真じろうの変わった経歴や、健康的な美少女作品が誌面を席巻するアライブで流血上等の本格バトルアクションを描く心意気を聞いた。

取材・文 / 小林聖

What's“TABOO TATTO”?

「タブー・タトゥー」

主人公の中学生・赤塚正義(通称セーギ)は不良に絡まれている男性を助け、お礼として謎の石を受け取る。しかし石に触れた瞬間セーギの手のひらには、謎の呪紋(タトゥー)が出現。そのタトゥーの正体は、常識を覆すさまざまな超常現象を発現させられる超化学兵器だった。

呪紋を宿した印者(シールド)を探す謎の少女・イジーと接触したことから、崩れ落ちていくセーギの日常。軍隊も動く国家間の争い、世界の危機、善悪の定義……自らの手にした力に、少年・セーギはなにを見出すのか。呪紋(タトゥー)が世界を変える力(タブー)となる……スタイリッシュ異能力アクション!

赤塚正義(あかつかジャスティス / 通称:セーギ)
赤塚正義(あかつかジャスティス / 通称:セーギ)
謎の男性を助けたことがきっかけで、手のひらに不思議な呪紋(タトゥー)が刻まれてしまった少年。正義感が強く、赤塚流柔術の使い手で、剛健な祖父に日々鍛えられている。
ブルージィ=フルージィ(通称:イジー)
ブルージィ=フルージィ(通称:イジー)
米軍が派遣した呪紋回収チームのエージェント。呪紋を宿したセーギを監視対象として扱い、任務の手伝いをさせる形で仲間へと引きこむ。少女のような外見だが、これは呪紋の副作用により成長がストップしたせい。実年齢は……?
一ノ瀬桃子(いちのせとうこ / 通称:トーコ)
(いちのせとうこ / 通称:トーコ)
セーギの幼なじみ。晩ご飯の支度など身の回りを世話していることから、周囲からは嫁扱いされている。照れ隠しに否定こそするが、本人もまんざらではない様子。イジーをはじめ、セーギの周囲に集まる女子にはライバル意識を燃やしている。
トム=シュレッドフィールド(通称:トム)
トム=シュレッドフィールド(通称:トム)
イジーと行動を共にする米軍のエージェント。 “単独戦闘は全然ダメだけど、サポート役をさせたら世界一”とイジーは語る。重度のオタクで、日本のアニメ・マンガ文化には目がない。普段は温和だが、セーギが緊急時に能力でトムのフィギュアを家ごと消し去った際には、強烈な怒りを露わにした。
アリヤバータ(通称:アリヤ)
アリヤバータ(通称:アリヤ)
アメリカと呪紋をめぐって争う、セリニスタン王国の王女。容姿端麗かつ品格の高さを感じるが、無類のゲーム好き。女子を相手にした時には好色ぶりを発揮し、ゲームで負けたトーコの身体をセーギの前で隅から隅まで弄ぶ場面も。
イルトゥトゥミシュ(通称:イル)
イルトゥトゥミシュ(通称:イル)
狂信的なまでにアリヤへの忠誠を誓う少女。裏の世界では、迷い猫(シュレディンガー・キャット)の異名で恐れられる凄腕の刺客。普段は無表情で感情も表に出ないが、姫と一緒の時はデレた姿を見せる。

真じろう×月刊コミックアライブ編集長対談

ラブコメ色の強いアライブに生まれた、内臓も飛び散る異能バトル

──改めて「タブー・タトゥー」アニメ化、おめでとうございます。今日は現在の担当編集でもある土方編集長と一緒に作品についてお伺いしていこうと思います。真じろう先生は元々マンガ家志望ではなかったそうですね。

真じろう はい。大学に入った頃は研究者志望だったんです。理系学部で生物学を専攻してました。ただ、中学、高校時代から絵を描くのは趣味で。その延長で、大学時代にデッサン教室に入って本格的にハマったんです。それで、イラスト関係を目指すことに。

「タブー・タトゥー」第1話の扉ページ。

──堅い分野から思い切った路線変更ですね。

真じろう 母に話したときはちょっと泣かれましたね(笑)。大学4年のときには卒業後、美大を受けて入り直すか、フリーターになってイラストレーターを目指すか、ゲーム会社を受けようかなんて考えてました。そんな頃にネットにアップしていた絵を見て、マッグガーデンの編集者さんが声をかけてくれて、新人賞向けのマンガを描くことになったんですよね。それで投稿した作品がコミックブレイド(マッグガーデン)の編集長に気に入られてデビューに至りました。

──「タブー・タトゥー」を連載しているコミックアライブとの縁はどこから?

真じろう マッグガーデンでの連載が終わる頃に、アライブの編集さんから声をかけてもらいまして。

編集長 初代の担当者が連載終了の時期を狙ってね。真じろう先生はデビュー当時からすごくきちんとした絵を描く人でしたから、早く声をかけなくちゃほかに取られてしまうと(笑)。

──そして「タブー・タトゥー」がスタートしたわけですね。肉弾戦が多めのSF系バトルマンガというのがコンセプトだったそうですが。

真じろう はい。異能力を発動するタトゥーという設定をまず思いついて、そこから話を積み上げていった感じです。僕は最初に理路整然と話を組み上げてしまうタイプでなく、描きながら話を作っていくタイプなので、徐々にできあがっていった部分も多いですね。

「タブー・タトゥー」が連載開始した月刊コミックアライブ2010年1月号。

──掲載誌のコミックアライブはライトノベルのコミカライズ作品など、ラブコメ中心とはいかずとも美少女をキーにした作品が多いですよね。そこでこういったバトルものをやろうと思ったのはなぜでしょう?

真じろう そこはそれほど意識していませんでした。ジャンルとしてはよくあるものですし、あまり掲載誌のことは考えずに自然に作っていきましたね。

編集長 雑誌としても創刊3年目くらいの時期で、コミカライズが多くてオリジナルの作品が少なかった。なので、こういうガツンと骨太な作品を入れてみようという感じでした。イジ―をはじめ女子キャラも魅力的だし、躊躇したりはなかったです。ただ、こんなに人が死ぬマンガだったとは(笑)。

真じろう バトルで内臓が出る描写を初めて描いたときは、担当さんに止められました(笑)。

腹を切られ内臓が飛び出すセーギ。激しい戦いの中で負う痛みを読者がリアルに想像させられる。

編集長 NGではないんですよ。描いたっていい。でも、アライブという雑誌はやっぱり少年誌で、若い読者が多い。特にほかの作品はラブコメ色の強いものばかりですから、そういう描写で読者が最初に拒否反応を示してしまう可能性がある。作品としてすごく魅力的なのに、そこに辿り着く前に拒絶されてしまったらもったいないじゃないですか。そういう部分でいろいろ言ったりはしましたね。

真じろう そうなんですか?

編集長 担当者には割と言ってたんですけどね……。ただ、あえて真じろう先生には伝えず、自由に描いてもらったっぽいですね。ほとんど先生に伝えなかったんじゃないかな。

真じろう あまり内容についてあれこれ言われたことはないですね。

編集長 だと思った(笑)。でも、主人公が中学生っていうあたりはこちらから言ったのが影響したんじゃない?

真じろう それは意識しました。アライブの読者層に馴染みやすい年齢ですから。

テレビアニメ「タブー・タトゥー」
「タブー・タトゥー」
赤塚正義(ジャスティス)、通称セーギの掌にはタトゥーがある。ただのタトゥーではない。時空を歪め、「無」を創り出すことで周囲に壊滅的なダメージをもたらす特別な兵器──「呪紋」。セーギはエージェントの少女・イジーの任務である呪紋の回収を手伝うことになるのだが──!? セーギが巻き込まれる国家間の陰謀と、呪紋に秘められた大きな謎を描くアクション巨編!
放送情報
  • テレビ東京:毎週月曜26:05~放送中
  • BSジャパン:毎週土曜24:00~放送中
  • AT-X:毎週水曜24:30~放送中
  • 原作:真じろう(月刊コミックアライブ連載)
  • 監督:渡部高志
  • アニメーション制作:J.C.STAFF
真じろう(シンジロウ)
真じろう

月刊コミックアライブにて「タブー・タトゥー」を、ヤングエース(ともにKADOKAWA)にて「Fate/Zero」を連載中。そのほか「ゾディアックゲーム」全4巻がマッグガーデンより刊行されている。