コミックナタリー Power Push - 月刊サンデーGX
10周年も攻めに攻める仮面編集長イチオシ新連載
「マンガ通の眼鏡に適う、新たな月刊誌を小学館から」という志のもと創刊された、月刊サンデーGXが今年10周年を迎えた。浅野いにおや宮下裕樹など次世代を担う新人を輩出し、コミックマーケットでの同人誌販売など挑戦的な姿勢で多くの読者を獲得してきたGX。その勢いは創刊10周年を迎え、なおヒートアップしている。
コミックナタリーでは名物編集長の「仮面編集長」こと、小室ときえ氏へのインタビューからGX10周年の歴史を紐解き、その魅力の源泉を探る。さらに豪華ゲスト山盛りのGX10周年特別企画を紹介するとともに、同誌イチオシの新連載「WESTWOOD VIBRATO」の魅力にも迫っていきたい。
取材・文/淵上龍一 編集・撮影/唐木元
広江礼威「ブラック・ラグーン」、高橋慶太郎「ヨルムンガンド」、出渕裕・百瀬武昭「ラーゼフォン」、いけだたかし「FADE OUT」など、多数の名作を世に送り出してきた月刊サンデーGX。その歴史を代表する2作品として島本和彦「吼えろペン」シリーズと、浅野いにお「素晴らしい世界」の10周年記念単行本が刊行された。
「SUNDAY GX 10YEAR’S CHRONICLE 吼えろペン」は、「新吼えろペン」連載時に諸事情でお蔵入りとなった「幻の最終回」を収録した完全版。一方「初期オリジナル作品集完全版 素晴らしい世界」は、単行本収録時に大幅改稿がなされた「桜の季節」雑誌掲載時のオリジナルバージョンや、コミケ限定小冊子に掲載されたスピンオフなどを収録している。どちらも再編集版と侮るなかれ、入手困難な作品を集めた貴重な1冊だ。
いけだたかし、松沢まり、北河トウタ、青山剛昌、加瀬大輝、倉田三ノ路……他。過去にGX誌上を彩った作家から初登場の巨匠まで、10周年を記念して豪華作家による読み切り・新連載が続々と登場する。8月19日発売9月号からは、高橋しんによる前後編読み切りがスタート。
壊れた楽器に込められた大切な思い。南アフリカを舞台に、音楽を通した心の旅路が描かれる。
「新暗行御史」の尹仁完原作、新鋭・金宣希作画によるGX10周年記念大型新連載「WESTWOOD VIBRATO」。早くも単行本第1集が、8月19日に発売。
あらすじ
南アフリカ共和国最南端の街・ケープタウン。そこには一人の天才的な技術を持つ楽器修理の専門家が住んでいます。彼女の名前はコーネリア・ボボ・ウォッシャー。彼女の手にかかれば、どんな楽器でもその音色を取り戻すことができると言われています。今日もまた世界各地からやっかいな楽器の修理依頼が飛び込んでくるのですが……。
彼女が直すのは楽器ばかりではありません。時には依頼者の心をも癒やすことがあります。依頼者の心に秘めた思いが、時を越え、国を越え、さまざまな障害を越えて、届けたい人の元に届くように……。 彼女の手にかかると、そんな小さな奇蹟が起きることがあったりするのです。さて、今回の依頼とは?
金宣希(キム・ソニ)
1973年ソウル生まれ。出版社でバイト中に「自分ならもっとうまく描けるかも」と思い立ち、25歳の時にマンガ賞に応募し受賞。応募作「アキ・タイプ」でデビュー。
尹仁完(ユン・インワン)
1976年ソウル生まれ。韓国にて梁慶一氏と組んで『デ・ジャヴ』で原作者デビュー。代表作に「新暗行御史」や週刊少年少年サンデー(小学館)に連載中の「ディフェンス・デビル」などがある。趣味はネットサーフィンとゲーム。
掲載作品
高橋しん「ヒミツキチ」/やまむらはじめ「神様ドォルズ」/宮下裕樹「正義警官モンジュ」/犬上すくね「あいカギ」/佐藤まさき「釣りチチ・渚」/高橋慶太郎「ヨルムンガンド」/榎本ナリコ「聖モエスの方舟」/尹仁完+金宣希「WESTWOOD VIBRATO」/真島悦也「コイネコ」/若狭たけし「仮面ボウラー」/花見沢Q太郎「REC」/松山せいじ「鉄娘な3姉妹」/金月龍之介+KOJINO「ぷりぞな6」/陽気婢「ドクター&ドーター」/楠桂「八百万討神伝神GAKARI」/イダタツヒコ「星屑番外地」