コミックナタリー PowerPush - よりぬきサザエさん
国民的マンガのベスト版が復刊! 長谷川町子の自由すぎる装丁をデザイナー大島依提亜と100%ORANGEが語る
長谷川町子による国民的マンガ「サザエさん」のベスト版、「よりぬきサザエさん」全13巻が復刻された。2012年末より刊行がスタートし、3月7日には10巻から最終13巻までの4冊が発売となる。また全巻購入した人に贈呈される特典、「町子手帖」の応募締め切りが2月28日に迫っている。
コミックナタリーでは刊行を記念し、復刻版の装丁を手がけたデザイナー大島依提亜と、友人で「サザエさん」ファンを自認するイラストレーター100%ORANGE(及川賢治・竹内繭子)による座談会を敢行。長谷川町子自身が手がけた自由すぎる装丁を大島がいかにして再現したか、また「サザエさん」の意外と知られていない魅力についても、たっぷりと語ってもらった。
取材・文/坂本恵 編集/唐木元
幻の「よりぬきサザエさん」がついに復刊!
「サザエさん」は、夕刊フクニチおよび朝日新聞で連載されていた4コママンガ。その全68巻で刊行された単行本の中から、長谷川自身が面白いと思う作品を選り抜いた“ベスト・オブ・サザエさん”が「よりぬきサザエさん」だ。1963年から1981年にかけて、長谷川自身による出版社・姉妹社より全13巻で発行されたが、長らく絶版となっていた。
復刻版はココが特徴
幼い頃手にしたファンも感涙!色味や紙質を完全再現
オリジナル版と表紙デザインを変えることなく、本文用紙も完全に同じものを使用して徹底再現。オリジナル版の発売から30年が経った今、幼い頃に手にしたあの質感がよみがえる。
巻末特典は「サザエさん」をより深く知る記事ページ
13巻すべての巻末には、特典として新たに記事ページを追加。「サザエさん」の制作過程や長谷川町子のことが、詳細に解説されている。また連載媒体が変わるごとの初回・最終回を集めた記事や、朝日新聞で展開された特集記事、長谷川が若かりしころのスケッチブックなど、貴重な資料が収められた。
巻末収録記事
- 1巻
- 様々な「はじまり」と「おわり」
- 2巻
- サザエさんと朝日新聞・特集記事
- 3巻
- サザエさん、記事を書く
- 4巻
- サザエさん、休載への大反響
- 5巻
- サザエさん、休載からの復帰
- 6巻
- サザエさんの14歳
- 7巻
- サザエさんの16歳
- 8巻
- 「サザエさんうちあけ話」の時期
- 9巻
- 「サザエさん旅あるき」の時期
- 10巻
- サザエさん、ヨーロッパかけめぐり
- 11巻
- サザエさん、アメリカの旅
- 12巻
- サザエさん、エルサレム巡礼の旅
- 13巻
- サザエさんの人生
締め切り間近!豪華「町子手帖」は全巻予約した人だけの特典
2013年2月28日までに全13巻を予約した人には、オールカラー全64ページの「町子手帖」をプレゼント。「サザエさん」未収録作品、手描きのアイデアスケッチ、電電公社の新聞広告や旭電化のカレンダーなど、昭和の趣き漂う資料が収められている。
また長谷川町子が“ベスト・オブ・サザエさん”の選定にあたり、1話1話の評価を記した新発見のよりぬき採点表も本邦初公開。◎/◯/無印の3段階で自身の過去作を採点した模様が、手書きで記されている。装丁は高級感あふれるハードカバー、A5判の豪華仕様。この機会にしか手に入らない貴重な特典だ。
国民的マンガ「サザエさん」の底力
「サザエさん」は言わずと知れた国民的タイトルだが、アニメの「サザエさん」を見たことはあっても、マンガ版は知らないという人もいるかもしれない。ここでは大島依提亜と100%ORANGEの及川賢治のコメントとともに、マンガ版「サザエさん」の魅力をお届けする。
アニメ版「サザエさん」よりも、毒がある?
- 大島
- アニメ版よりマンガの「サザエさん」のほうが、毒っぽさがあるんですよね。
- 及川
- 表情もアニメよりキツいですよ。
- 大島
- そうそう。あとワカメちゃんのキャラがいちばん違う。アニメでは優等生キャラなのに、マンガだとカツオと一緒にイタズラしちゃってるんです。
同じ作品でも発表媒体に合わせて描き足し
- 及川
- 「サザエさん」って、新聞連載、単行本、「よりぬき」と、発表媒体によってわざわざ画面を描き足したりしてるんだよ。例えば姉妹社から出ている単行本のものはコマが横長になるから、左右を描き足してる。
- 大島
- 切り貼りして再構成したりしてるんですね。横長になるとグラフィカルな印象です。
- 及川
- 詰まった感じより、なんとなくデザイン的でいいですよね。この左右の余白、すごく好きだな。
- 大島
- あと不思議と、コマの運びがゆったりするので、時間軸がゆっくりになる感じがします。
----
----
----
長谷川町子(はせがわまちこ)
1920年佐賀県生まれ。14歳で田河水泡氏に弟子入りし、1935年、15歳でマンガ家デビュー。以降、西日本新聞社の編集局絵画課などを経て、1946年、夕刊フクニチに「サザエさん」の連載をはじめる。1951年から74年、途中休載を挟みつつ朝日新聞朝刊に「サザエさん」を長期連載。国民的人気マンガ家となる。1991年、第20回日本漫画家協会賞の文部大臣賞を受賞。1992年、心不全のため死去。直後に国民栄誉賞を受賞。その他の著書に「いじわるばあさん」「エプロンおばさん」「サザエさんうちあけ話」など多数。
----