モブや霊幻の、歩いてきた道のりに対する成長を感じられるような楽曲に
──第5話のエンディングを飾った「目蓋の裏」は渡辺さんが作詞・作曲を担当されています。オンエアではハミングバージョンでしたが、歌詞には「最上編」(アニメでは第4・5話にあたる)への思いを込められたとTwitterでお話されていました。
#モブサイコ100 II
— 渡辺翔 sho watanabe (@watanabesho) 2019年2月4日
5話凄い!
抉られるような話だった。
後半は完全に語彙を失って見てた!
EDはsajou no hana『メモセピア/グレイ』収録
[目蓋の裏]
世界観に溶け込むハミングverが素敵。作詞作曲してます。
そしてCDでは歌詞付きで収録されてます!
今回のお話への思いを詰めまくりです!
渡辺 「最上編」でも描かれていたような、心の中の暗い部分って誰しも持っているものだと思うんです。「目蓋の裏」では精神世界のことを書きたいなと思って、特に誰とは指定せず、誰とでも取れるように歌詞を書き始めました。オープニングは超能力をフィーチャーしたような音で作ってますが、一方でエンディングはどれも人間っぽさを意識した楽曲で。第5話はモブの心の中に入っていくエピソードというのもあり、よりそういった部分を強く出せたらと思って作りましたね。
──CDでは歌詞入りのバージョンを聴けるので、歌詞カードを見ながら聴いてほしいですよね。全体のエンディング曲となった「メモセピア」も渡辺さんが作詞と作曲を務めています。
渡辺 一番多く流れるということだったので、“人とのつながり”や“ぬくもり”を強く意識して書きました。“成長”もイメージしていた要素の1つだったんですけど、成長をテーマにするとなると、「ここから未来への成長」というテーマになることが多いと思うんです。ですが、「メモセピア」では「過去から今への成長」というように、モブにしても霊幻にしても、歩いてきた道のりに対する成長を感じられるような曲にできたらなと思いました。
立川 「メモセピア」はもともと「ぬくもり」っていうタイトルでしたよね?
渡辺 そうなんですよ。仮タイトルが「ぬくもり」だったので、最初の頃はその名前で浸透していましたね。
立川 定型のエンディングに「メモセピア」を選んだのは、第2期はシリアスなエピソードが多かったり、キャラクターの心情に関しても暗い部分を描いたりしたので、エンディングでは人のぬくもりや人との関わり合いを感じられるような、ちょっとほっこりした印象になる楽曲がいいなと思ったからです。
松田 今回は本編の中でエンディング曲が流れる、劇中エンディング演出がどの話数になるかあらかじめ決まっていたので、話数ごとの雰囲気に演出も寄り添えたらいいなと思い、楽曲もそれぞれ発注させてもらいました。
──「モブサイコ100 Ⅱ」に寄り添って作られた楽曲がこんなにたくさん聴けるというのも贅沢な感じがします。
キタニ 「モブサイコ100 Ⅱ」のために描いたとはいえ、作品で起きている人間ドラマからインスピレーションを受けて、僕たちはsajou no hanaの曲を作れたわけで。それがいい曲ばかりできたから、僕たちもありがたく思ってます。
渡辺 キャラクターたちには感謝してるよね。本当に素敵な作品に関わらせてもらったなと。
──ちなみにsanaさんは「99.9」ではMOB CHOIRとしての歌い方を意識したとお話されていましたが、sajou no hanaとしてではまた違ってくるものなんでしょうか。
sana 全然違いますね。エンディングではsajou no hanaとして、というところもあるんですが、ストーリーの流れからしてもやっぱり優しさや温かさみたいなものを表現したいと思ったので、MOB CHOIRではとにかくパワフルだったところを、エンディングではナチュラルに歌い上げられるよう心がけました。
立川 本人としてはパワフルに歌うのと、しっとりした楽曲を歌うのと、どっちが好みとかあるんですか?
sana 好み……どうだろう……。
立川 「メモセピア」や「グレイ」の歌い方を聴くと、こっちがsanaさんの自然体なのかなと思うこともあったんですよ。
sana 最近はそういう歌い方が多かったので、そっちが自然体になってきた感じがします。
渡辺 sajou no hanaを始めたときもそうだったけど、もともとはパワフルな歌い方のほうが自然で、そっちが強みだったよね。
sana そうですね……。第1期の「99」を歌ったときは高校生だったのもあって、特に深くは考えてなくて、とにかく「よっしゃいくぞ!」っていう気合いを大事に歌ってました。
立川 カラオケに行くときはどういう感じの歌を歌うんですか? よっしゃいくぞ系?
sana はい、パワフルな楽曲は盛り上がるので、AKINOさんなどの女性シンガーの曲を歌ったりします。
キタニ そこにいるオーディエンスのことを考えた選曲を(笑)。
立川 一緒に行ってみたいですね。
sana カラオケ好きなので、ぜひ(笑)。
立川 「モブサイコ100」のキャラクターデザインをやってる亀田(祥倫)くんもカラオケが好きで。歌、上手いんですよ。
渡辺 ぜひ「モブサイコ100」の曲が入ったら行きましょう(笑)。
モブは道徳の先生みたい
──改めてsajou no hanaの皆さんは「モブサイコ100」という作品をどう見ていますか?
渡辺 僕は楽しみながら観ているのにプラスして、特に第2期はキャラクターの心情を描くことが多いので、自分自身の心情ともダブるなと思いながら観ています。大小はあると思うんですけど、モブの感情は誰しもが持っているんじゃないかなと。だから観終わるたびに「ふう……ふう……」みたいな感じになりますね。
立川 ふう、ふう?(笑)
渡辺 (笑)。なんか好きなんですよね。そういうふうに作品に浸ると言うか、作品が体から抜けきらないあの感じが心地よくて。
──第2期は「最上編」とか、胸にずっしりと来るものがありますもんね。
sana ああ……。「最上編」はマンガで一度読んでから、もう読み返せなくなっちゃったんですよ。
立川 つらい話ですからね。
sana アニメはもちろん観たんですが、やっぱりなかなか傷つきました。でも「最上編」の最後のモブくんのセリフが好きで。「人は変われる」っていう、あの言葉がすごく自分の励みになったんです。本当にモブくんって道徳の先生みたいだなって。人との関り方とか、生き方を学ばせてくれる存在というか。私も周りの人に対して、モブくんみたいな気持ちでいたいなって。だから毎回「モブ先生……!」ってなっちゃうんです。
キタニ モブが先生なんだ。
sana パッと見は素朴な少年なのに、ちゃんと少年マンガの主人公じゃないですか。いざというときは、めっちゃカッコいい!
──実際に第5話でイケメンにもなりましたしね(笑)。
キタニ 「モブサイコ100」ってシリアスなシーンで笑わせてくるからなあ(笑)。でも、確かに「モブサイコ100」って人との関わりを描いている作品で。他者を拒否する人がいれば他者とともに歩もうともがく人もいて、他者を羨む人もいて、他人は他人、自分は自分と思う人もいて。拒否するにせよ受け入れるにせよ、他者との関わりについてみんなもがいていて、それって僕たちもみんなそうなんですよね。そういう学びがある作品だから、僕たちもそういう学びがある曲を作りたかったというか。「そっか、そういうことを歌えばいいんだ」っていうヒントも得られたし、実際に「モブ」の曲作りが終わって、全然関係ないところで作る曲にもその影響が残っていたりして。影響力の強い作品だなと思いましたね。
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「最上編」は「やりすぎ」って怒られました
- MOB CHOIR feat. sajou no hana
「99.9」 - 2019年3月6日発売 / ワーナー・ホーム・ビデオ
-
DVD付盤 [CD+DVD]
1944円 / 1000740815 -
通常盤 [CD]
1296円 / 1000740816
- CD収録曲
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- 99.9[作詞・作曲・編曲:キタニタツヤ]
- いきるひとびと[作詞・作曲・編曲:キタニタツヤ]
- 99 –sajou no hana arrange-[作詞・作曲:佐々木淳一 / 編曲:渡辺翔・キタニタツヤ]
- 99.9(Instrumental)
- いきるひとびと(Instrumental)
- DVD付盤DVD収録内容
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- 「99.9」アニメオープニング映像
- sajou no hana「メモセピア / グレイ」
- 2019年3月6日発売 / ワーナー・ホーム・ビデオ
-
DVD付盤 [CD+DVD]
1944円 / 1000740817 -
通常盤 [CD]
1296円 / 1000740818
- CD収録曲
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- メモセピア[作詞・作曲:渡辺翔 / 編曲:キタニタツヤ]
- グレイ[作詞・作曲・編曲:キタニタツヤ]
- 目蓋の裏[作詞・作曲:渡辺翔 / 編曲:キタニタツヤ]
- メモセピア(Instrumental)
- グレイ(Instrumental)
- 目蓋の裏(Instrumental)
- DVD付盤DVD収録内容
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- 「メモセピア」アニメノンクレジットエンディング映像収録
- 「モブサイコ100 Ⅱ vol.001」
- 2019年4月3日発売
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント -
初回仕様版 [Blu-ray2枚組]
9396円 / 1000741621 -
初回仕様版 [DVD2枚組]
9396円 / 1000741628
- 初回仕様版特典
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- イベントチケット先行購入抽選申込券(昼の部)
- 亀田祥倫描き下ろしアウターケース
- デジパック仕様
- ライナーノーツ
- 特典CD「塩中放送部」新規録り下ろし
- 商品仕様
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- 音声特典:オーディオコメンタリー(伊藤節生、櫻井孝宏、立川譲)
- 映像特典:未定
ライブ情報
- sajou no hana 1st ONE MAN LIVE
「沙上の夜 act1」 -
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2019年5月4日(土)
東京・新宿Marble
START 18:00
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2019年5月4日(土)
東京・新宿Marble
イベント情報
- 「モブサイコ100 Ⅱ」サイコヘルメット教の集い・スペシャルイベント2019夏(仮)
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2019年7月7日(日)
埼玉・春日部市民文化会館 大ホール
昼の部 START 14:30(予定)
夜の部 START 18:00(予定) <出演者> 伊藤節生、櫻井孝宏、sajou no hanaほか
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2019年7月7日(日)
埼玉・春日部市民文化会館 大ホール
- sajou no hana(サジョウノハナ)
- 数々のアニメヒットソングを手がけてきた渡辺翔、多数のアーティストへ楽曲提供しシンガーソングライターとしても活動するキタニタツヤ、2014年にスマイルカンパニー主催のアニメ限定オーディションに合格し、TVアニメ「モブサイコ100」のオープニングテーマを歌唱した経歴を持つボーカリストsanaからなる3人組バンド。2017年11月に始動し、2018年8月にTVアニメ「天狼 Sirius the Jaeger」のエンディングテーマ「星絵」を表題曲とした1stシングルをリリースした。10月に東京・新宿MARZで初ライブを経験し、12月に配信限定シングル「あめにながす」を発表。2019年1月よりTVアニメ「モブサイコ100 Ⅱ」のオープニングテーマとエンディングテーマを担当し、3月にMOB CHOIR feat. sajou no hana名義のシングル「99.9」と、sajou no hana名義の両A面シングル「メモセピア / グレイ」をリリースする。
- 立川譲(タチカワユズル)
- アニメ監督、演出家。「BLEACH」「キルラキル」「進撃の巨人」などのアニメ作品の絵コンテや演出を担当。2013年には自身が原作、脚本、監督を手がけたアニメ「デス・ビリヤード」が全国の映画館などで公開された。2015年1月には自身が原作、監督、シリーズ構成を担当したアニメ「デス・パレード」がオンエア。2018年には劇場版「名探偵コナン ゼロの執行人」で監督を務め、同作は興行収入が91億を超える大ヒットを飛ばした。現在は第1期から引き続きアニメ「モブサイコ100 Ⅱ」の監督を担当している。
- 松田章男(マツダアキオ)
- アニメプロデューサー。「モブサイコ100」のほか、主な作品に「ハヤテのごとく!」シリーズ、「神のみぞ知るセカイ」シリーズ、「赤髪の白雪姫」シリーズ、「ひそねとまそたん」「劇場版 はいからさんが通る」前・後編などがある。
©ONE・小学館/「モブサイコ100 Ⅱ」製作委員会