コミックナタリー PowerPush - 聖☆おにいさん
祝・映画化! 中村光、森山未來&星野源が登場! 聖地巡礼マップで立川へ
森山未來&星野源インタビュー
ブッダとイエスは違う業界の人で、というのが監督の考え(星野)
──声優初挑戦ということで、監督から何かアドバイスはありましたか。
星野 今回のキャスティングは僕と未來だけが俳優で、周りは全員声優さんなんです。それはブッダとイエスが天界の人なので、2人だけは違う業界の人で、という監督の考えがあって。監督には「2人は天界の人なので、ふわふわしててほしい」と言われました。
──声をあてることについて、いろいろと苦労もあったかと思います。
星野 今までやってきたお芝居と、こんなにも違うのかという。感情を込めればそこに感情が生まれるかって言ったら、そうじゃないんです。いろんなところで「今回声優ですね」と言っていただきますけど、職種の違いというのは明らかにあって、自分ではおこがましくて声優だなんて思えないです。特にこの作品は、俳優的なお芝居が通用する種類のアニメではないと思うんです。
森山 あと自分がしゃべっているテンポと絵の中で起こってるテンポが違ったりするのも難しかったですね。ボケてツッコむみたいなテンポももちろんそうだし、口は動いてないけどコミュニケーション取ってる間、っていうのをどうイメージしたらいいのか、いろいろ考えましたね。
──やっているうちに、だんだんとコツみたいなものは分かってきましたか?
森山 コツはなかなか掴めなくって、頭から録り直しをお願いしたりもしました。
──それは流れを重視して?
森山 というより、自分で納得いくまでやってみたかったんです。(単行本8巻限定版に付いた)OADをやった後、監督に「(次やるときは)先に声を録ってから絵をあてる方法もありますよ」って言われて、もし今度やる機会があるなら、先に声だけ録るのも面白そうだなと思ったんですよね。
──声を先に録ることで、どういう違いが生まれるんでしょうか。
森山 やっぱりテンポ感とか、丁々発止のやり取りがもっとここ(自分と星野を指し)で作れるようになるっていうイメージがあって。それがどう映るのかは、ちょっとわからないんですけど。
イエスとブッタの聖人的なしゃべり方は、人を傷つけない(森山)
──演じている声を聞いて、お互いにどう思われましたか。
星野 (森山を見て)えーっと……。
森山 最初、僕ちょっとオネエみたいだったんです。
星野 いやいや、声がちょっと枯れてたから、2丁目の人みたいと思った瞬間はあったけど(笑)。でも一瞬だけだよ、ずっとは思ってないよ。
森山 「~じゃない?」とか「私は~」とか、聖人的な言葉の柔らかさがあるので、オネエになり過ぎちゃいけないなと思いながらも、意識してた部分は確かにちょっとあったかも。というのも、そういう人たちのしゃべり方や言葉って、人を傷つけないでしょう?
星野 いや、そんなことないわよ(笑)。
森山 イエスとブッタの聖人的なしゃべり方は、人を傷つけないしゃべり方なのかなと。根本からダメージを与えたりはあんまりしなくて、自虐的なところに落ち着くというか。
星野 そっか(笑)。でも僕もちょっと意識してましたよ。原作読んでるとき、ブッダはもっと男らしい人だと思ってたんだけど、監督に「もっと優しくやってください」って言われて。未來は声をワントーン下げたところでやるって言ってたから、じゃあ僕はどちらかというと高い声でやろうかなと。
森山 そんな感じだったね。
マンガの匂いを嗅ぎたくて仕方なくなる(森山)
──最近ハマっているアニメやマンガを教えてください。
星野 この間までやってた「琴浦さん」のアニメは楽しみに見てました。今は「よんでますよ、アザゼルさん。」の2期が始まったので、それも見てます。あと「進撃の巨人」のアニメももちろん見てます。「進撃」って、独特のユーモア感が好きなんですよね。ここは笑っていいのかどうかっていうところが。
森山 「進撃」、昨日新刊買ったよ。「モテキ」つながりで久保ミツロウさんの「アゲイン!!」もずっと買っていて、楽しく読んでます。あとマンガじゃないんですけど、ブルボン小林さんの「マンガホニャララ」っていう本がすごく面白くて。
──マンガ評論の本ですね。
森山 いろいろなマンガを薦めてるんですけど、その切り口が面白いんです。マンガの手法だとか、歴史だとか、いろんなことを細かくツッコんでて。だから、活字を読んでるのに、ページをめくる度にマンガが読みたくて、マンガの匂いを嗅ぎたくて仕方なくなる本。今もう9割方読んでしまいましたけど、ここまで読む間に、マンガを買いに行くっていうことを3、4回やりました(笑)。
──では最後に、映画の見どころをお願いします。
星野 ああ、これ、映画の取材でしたね(笑)。
森山 (笑)。やっぱりブッダとイエスは、僕らが普通に生活してたら目にも止めないようなところに素直に反応していく。そんな2人のピュアな部分にぜひ触れて、映画を見終わったあと、普段の生活をより楽しんでほしいです。
星野 映画は原作のエッジが効いてた部分がちょっと丸くなって、優しい部分がかなり強調されてます。1年を通した話なので、季節感も感じれると思うし、見てて気持ちいいんじゃないかな。桜のシーンなんか、実際に桜見てる感じがすると思います。今年、桜の時期は寒かったし(笑)。特に大人は余裕がなくなって季節感を感じる機会が少なくなってきてると思うから、ぜひ劇場で見てほしいですね。
- アニメ映画「聖☆おにいさん」 2013年5月10日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国公開
あらすじ
ダジャレやお笑いをこよなく愛し、新しいモノ好きな浪費家イエスと、自分とお金に厳しく、シルクスクリーンでTシャツを作るのが大好きなブッダ。世紀末を無事に終えた2人は、東京・立川のアパートをシェアし、日本の四季を堪能しながら下界でバカンスを過ごしていた。2人はマイペースに日常生活をエンジョイしているが、ついつい神パワーを発揮し、あちこちでセイントな奇跡を起こしてしまう。そんな“最聖”コンビと、大家の松田さんや近所の子供たち、ハッスル通り商店街の面々も交えた、立川デイズ。それはまさに聖人級のミラクルな笑いに満ちていた――!
中村光(なかむらひかる)
1984年4月21日生まれ、女性。2001年「海里の陶」で月刊ガンガンWING(スクウェア・エニックス)にてデビュー。2002年、同誌にてショートギャグ中心の「中村公房」を連載する。続いて2004年、ヤングガンガン(スクウェア・エニックス)で「荒川アンダー ザ ブリッジ」、2006年には「聖☆おにいさん」をモーニング・ツー(講談社)にて連載開始。シュールさとまったり感をうまく調和させたギャグで注目を得ている。