「ReLIFE」の最初と最後を飾った主題歌「ボタン」

──ここからは完結編の内容に深く踏み込んだ話をさせてください。エンディングで言えば16話の「LA・LA・LA LOVE SONG」のハマりかたがすごかったですよね。失礼ながら少し笑っちゃうくらいでした。

小坂　観られた方々は大体同じ反応です（笑）。海崎と日代がようやくくっついたところで、あのイントロが流れ始めて。

夜宵　アフレコ時にも流したんですよね。

小坂　はい、小野さんたちも「やばい」とずっと言っていました。2人がハッピーエンドを迎えそうな雰囲気のエンディングですけど、歌詞に合わせて映像でも土砂降りの雨が降り始める。そこは「ReLIFE」らしくというか、2人のラブストーリーはそう簡単にはいかないぞというのを演出できました。

──そしてオープニング主題歌にして、テレビ放送最終話の13話、完結編最終話の17話という重要な回のエンディングでも使われたPENGUIN RESEARCHの「ボタン」にも触れざるを得ません。音楽ナタリーでのPENGUIN RESEARCHインタビュー（参照：PENGUIN RESEARCH「ボタン」堀江晶太＆生田鷹司インタビュー）によると、この曲は「ReLIFE」のために書き下ろしたのではなく、元々存在していたものだそうですね。

夜宵　昔から大事にしていた曲らしいのですが、まるで「ReLIFE」のために作っていただいたかのような曲だな、と。「この曲を世に出すなら『ReLIFE』がいい」とまで言って提供してくださったのでうれしかったです。

小坂　本当にいい曲ですね。でも実は「ボタン」とは別に「ReLIFE」のために作ってくださった歌がもう1曲あって……。そちらは明るい感じだったんですけど、少し切ないところのある「ボタン」を選ばせてもらいました。御本人たちは「合わせて作った方は選ばれないんだよね、俺たち」みたいなことを言っていたので悪い気もしますが、「ボタン」で大正解だったと思います（笑）。

──しかも17話では、エンディングで新バージョンのバラード調「ボタン」が効果的に流れます。あれには涙腺を刺激されました。

小坂　17話のためだけに作っていただきました。劇伴を新しく作るか、PENGUIN RESEARCHさんにお願いするかどちらかで考えていたんですけど、PENGUINさんからOKをいただけて。絵コンテを見せながら「ラストシーンのために『全部消えても ただそれだけは ほつれない』の部分だけ別録りお願いします」とお願いしたら「全然いいですよ」なんて気前よくやってくださって……本当にありがたかったです。

キーアイテムの携帯ストラップは、いつの間にやら時代遅れのアイテムに

──大人になった2人が再会し、リライフ中に買っていたお揃いのストラップで記憶を取り戻すという流れはどのように考えられたのでしょうか？

夜宵　どういう形で再会させるかは試行錯誤しました。例えば実写映画版では海崎が教師になって再会しましたし。ただ、やっぱり2人がリライフ研究所の職員になるのが一番しっくりくるかなと思い、原作ではそうしました。記憶を取り戻すアイテムは構想段階から絶対にストラップにしようと決めていて、当時はまだそんなにスマホが普及しておらずわりとみんな携帯にストラップを付けていたんですけど、いざ終盤を描く頃になると世間的にあまり見かけなくなってしまって。

小坂　言われてみれば。

夜宵　だから担当編集さんと結構話し合いました。「スマホケースにするか」「でも演出としてどうよ」とか（笑）。ただ10年前に戻って高校生活を送るという物語だから、あえてストラップでもいいかなと思いそのままにしました。

小坂　2人の大事な思い出になる部分だから、アニメも絶対に原作のデザインに合わせたいと思っていたので、ストラップはどんな形か随分前から聞いていましたね。

夜宵　こちらは全然そんな細かいことを考えている段階ではなかったのに（笑）。

──あのデザインは作中のキャラクター・バツネコの“×”がモチーフですよね。日代がリライフ中に狩生たちからもらう髪留めとも共通します。

夜宵　あの世界では有名なキャラクターなんですよ、バツネコは（笑）。

小坂　だからアニメ1話の冒頭でもテレビでバツネコが一瞬だけ映るんですよ。

──なるほど。終盤はエピソードの内容こそ同じながら、原作とアニメで順番が異なりました。原作では日代との再会後、最終話で海崎がリライフのサポート係として活動し始めますが、アニメでは逆です。この意図は？

小坂　理由はいろいろあるんですけど、まず、17話のAパートでリライフを終えて記憶をなくした2人が、すぐに再会しちゃったという印象になるのを避けたくて、再会を後ろに持ってきたというのが1つ。もう1つの理由としては、完結編の4話分は恋愛要素がかなり強いので、海崎の成長以上に日代との恋愛をクライマックスに持ってきたかったというのもあります。