小学校高学年が頭を使わずとも楽しめるアニメが少ない現状
──現在の子供向けアニメや、ゲームアニメについて、どう考えられますか?
平松 いわゆる子供向けという意味で言うと、「ドラゴンボール」や「ONE PIECE」「プリキュア」などほかにもさまざまな長期シリーズの作品はありますけど、新しく出てきた作品でヒットしたものがまだ少ないですよね。2010年代で新しく大ヒットしたのは「妖怪ウォッチ」などのゲームからの展開作品の印象が強いですね。
上町 週刊少年ジャンプ(集英社)に掲載されているマンガも、対象年齢が少し上がってきている印象があります。先ほど例に出した「HUNTER×HUNTER」も連載を重ねるうちに頭脳戦主体の話になっているし、今秋からアニメが放送される「約束のネバーランド」も頭を使って戦う話ですよね。もちろんそれらも面白いんですけど、小学校高学年くらいの子たちが頭を使わなくてもしっかりと楽しめる作品もあっていいと思っています。
──キッズ向けのアニメまたはゲーム作品で印象的なものはありますか?
平松 「ポケットモンスター」はゲームとしてもアニメとしてもよくできていますよね。ゲーム版は友達と対戦するだけでなく、協力してモンスターを集めたり交換したりといった遊び方を作られましたし。そしてアニメ版では、そのゲームで集めていたモンスターたちが登場して主人公たちと友情を育む。そういった仕組みでモンスターやキャラクターたちに感情移入しやすいようになっていますよね。
上町 僕は近年だと「ダンボール戦機」が印象に残っています。「“ダンボール”がテーマなのか、そりゃ子供はテンション上がるよな」と、その着眼点に驚きました。
平松 ダンボールなど何か使ってものを作るとか、子供は大好きですもんね。
上町 ダンボールとか古タイヤとか、テンションが上がりますよね。そういう多くの子供のテンションが上がるものって、探せば絶対にまだまだあると思いますよ。
──その「ダンボール戦機」における小型ロボット・LBXの戦闘シーンや、「プリキュア」シリーズのエンディングなど、CGクオリティが飛び抜けて高い作品もありますよね。子供向けアニメは予算がたくさんあるなど、何か事情があるのでしょうか?
平松 いろんな事情があると思いますが……。
上町 キッズ向けのアニメは長く続くものが多いですよね。そういった場合はイチから作画するよりCG化して動かしたほうが結果的にコストが安くなるという事情があるのかもしれません。
平松 デジタル技術やソフトがどれだけ進化してもそれを使うのはあくまで人間なので、より面白い表現を探し出す、作るというマインドが必要だとは感じます。
「第2のかめはめ波を生み出せていない」危機感
──素朴な疑問なのですが、現代の子供をどういう存在だと考えられていますか?
平松 近所の小学校なんですけど、信じられないくらい大きな遊具があって、子供たちがキャーキャー言いながら遊んでいるんですよ。うちの子供が行っている保育園でも同じで、そういった身体を使うことは昔と変わらず好きなようですね。もちろんスマホで遊ぶこともあるんですけど。だから今回の企画でも、子供たちを外に出して遊ばせるようなものができたら面白いなと思っています。
上町 少し驚くのは、今の子供も「ドラゴンボール」ごっこをするじゃないですか。
平松 そうですね、保育園に行くと必ずかめはめ波を撃たれます(笑)。
上町 「ドラゴンボール」ってマンガの連載開始から30年以上経ってるんですよ。それなのに子供はまだかめはめ波を撃っている。もちろん「ドラゴンボール」はとても偉大な作品ですけど、我々が「第2のかめはめ波を生み出せていない」ということに少し悔しさもあるので、ぜひ今回の企画でそういった作品を生み出したいですね。
平松 「ドラゴンボール」は親子で楽しめるのもすごいですよね。親がそれを観て育った土壌があるのもそうですが、子供騙しではなく、みんなが夢中になれるものが多く詰まっていることが長く愛され続けている秘訣だと思います。子供は単純に楽しめる、大人も何かを感じ取れる作品ですね。
上町 子供騙しのものは、子供にも通用しませんよね。もちろん難しい内容にすればいいというわけではないですが、あえて子供の視点に立つ必要性はないと思っています。例えば「かいけつゾロリ」の劇場版なんてめちゃくちゃ泣かせにくるし、「未来少年コナン」も大人でも楽しめるSFですし。
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子供を子供だからとナメないように
第3弾「キッズ・ゲームアニメ部門」募集要項
- テーマ
- ①15歳以下の少年少女が主人公のオリジナル作品
- ②RPG/アドベンチャー/TCG等のゲーム展開に適したオリジナル作品
- ①もしくは②のどちらかを満たす作品であれば、世界観やジャンルは不問。
- 募集期間
- 2018年8月1日(水)~11月15日(木)
- 賞金
- 「小説・脚本選考」「マンガ選考」「企画書選考」それぞれで金賞・銀賞を決定。金賞は賞金15万円、銀賞は賞金5万円を贈呈。さらに最終選考にてアニメ化作品として選ばれた作品には賞金100万円を贈呈。
※アニメ化作品は各選考の金賞・銀賞以外から選ばれる場合もある。
- 募集形式
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- 小説形式
- 800字程度のあらすじ、300字以上の登場人物紹介に加え、1万字以上の小説本編(未完結でも可)、もしくは3000文字以上のプロット(完結必須)。
- 脚本形式
- 800字程度のあらすじ、300字以上の登場人物紹介に加え、1万字以上の第1話の脚本。
- マンガ形式
- 800字程度のあらすじ、300字以上の登場人物紹介に加え、連載作品としての冒頭1話分以上(20ページ前後)の完成原稿、もしくは同程度のページ数のネームおよび作画見本。
※商業誌での掲載がないオリジナルの同人作品についても上記要件を満たしていれば応募可能。 - 企画書形式
- 800字程度のあらすじ、300字以上の登場人物紹介に加え、作品の世界観やプロットのわかる企画書。
- 世界観(時代背景や社会情勢など)の説明
- 各話のあらすじ、及びストーリーの大まかな流れ(物語の起承転結)
- 主人公・敵勢力の目的、もしくはゴール
- 審査員
- DeNA、創通、文化放送、MBS、動画工房
- 結果発表
- 各選考中間発表:2019年1月
各選考入選発表:2019年2月
大賞発表:2019年3月