「プラネット・ウィズ」阿部敦×原田彩楓×井澤詩織インタビュー|水上悟志がキャストからの質問に回答!作品コンセプトは“惑星のさみだれ2”

アニメ「プラネット・ウィズ」は、水上悟志が描き下ろした1074ページのネームをもとに制作されたオリジナルアニメーション。過去の記憶を失いながらも、地球で平穏に暮らしていた高校生・黒井宗矢が、謎の巨大兵器“ネビュラウェポン”の出現をきっかけに戦いに巻き込まれていく。Blu-ray BOXは全2巻で、1巻は11月22日に発売される。

コミックナタリーではBlu-ray BOXの発売を目前に、主人公・黒井宗矢役の阿部敦、宗矢のクラスメイト・高天原のぞみ役の原田彩楓、宗矢と一緒に暮らすゴスロリ服の少女・黒井銀子役の井澤詩織にインタビューを実施。全12話を振り返っての思いや、Blu-ray BOXの特典となるドラマCDの内容について話を聞いた。インタビューの後半では、水上も取材に飛び入り参加。キャストからの質問に答える形で、「プラネット・ウィズ」の着想のきっかけや、タイトルに込めた意味を明かしてくれた。

取材・文 / 鈴木俊介 撮影 / 星野耕作

アニメファンはこういう作品を待っていた

──アニメ「プラネット・ウィズ」のBlu-ray BOX特装限定版1巻が、11月22日に発売されます。そこで今日は皆さんに、作品を振り返っての思いなどをお聞きしたいなと考えています。

阿部敦

阿部敦 本当に、四の五の言わずに観てほしいアニメです! 僕らキャスト陣もがんばってお芝居させていただきましたが、水上悟志先生の構成力が光るストーリーや、メカデザインや音楽など、すべてにおいて見応えのある、本当に素晴らしい作品に仕上がっていると思います。Blu-rayが出たら、「とりあえず1話を観て!」って友達に勧めて回りたいくらい(笑)。

井澤詩織 私、アニメファンは本来、こういうのが観たくてアニメ観てるはずなんだよ!って思います。

阿部 ああ、超わかる。

井澤 これ好きじゃなかったらお前モグリだぞ?みたいな(笑)。それは冗談にしても、それくらい「いい物語を観た!」って充実感に溢れた作品だと伝えたいです。話には複雑なところもあるし、“王道”って言葉だけじゃ語れない魅力がある。空気感の懐かしさ、観終わったあとの爽快感……そういう要素がアニメファンには絶対刺さるはずだし、刺さってほしいと思います。

原田彩楓

原田彩楓 私、「プラネット・ウィズ」は“熱い気持ちを取り戻せる作品”だと思うんです。いつの間にか失くしてしまっていた、人間として大事なものを取り戻せたような気がする。だから皆さんも、それを取り戻すチャンスだと思って。

阿部 取り戻すチャンス(笑)。でも、言いたいことはわかるよ。あの手に汗握る感じ。

井澤 うん。観てない方にはぜひ観てほしいし、観た方は「よかったよ」って積極的に広めたり、長く大事にしたりしてほしいな。

──全12話とは思えない濃密なストーリーですよね。皆さん、ストーリーはどのタイミングで知られたんですか?

阿部 第6話までのネームは、始めの頃に配られたよね? 俺は第1話だけ読んで、あとは読まないようにしてたけど……。

井澤詩織

井澤 私はちょこちょこ読んでました。原作をネームでいただくことってまずないから、すごく新鮮で。なんていうか、先生の筆の勢いがダイレクトに感じられるんですよ。それに普通のマンガだと、絵コンテになったときはカットの角度とかが変わると思うんですけど、「プラネット・ウィズ」はそれがネームと同じところも多かったから、アフレコのたびに「同じだ!」と思ってました(笑)。

原田 私も阿部さんと同じで、第1話はネームを読んでからアフレコに臨んだんですけど、そのあとは台本だけでアフレコに臨みました。

──あえて読まなかった理由は?

原田 新鮮な気持ちでアフレコに臨みたかった、というのが大きいです。いただいていたのも前半部分だけだったので、後半の物語はわからなかったし、それだったら物語のワクワク感を大事にしたいなと思って。

阿部 僕個人的には、ネームを読んじゃうと一息ついちゃう感じがしたからでしょうか。客観的な視点になっちゃうというか、作品に対して読者側の立ち位置になっちゃうからかな。だから、あくまで台本と映像から得た情報を、毎回自分の中で構築しながらやっていくっていう作業でしたね。ネームは収録が終わってから、その日の分を読み返したりして楽しんでいました。

俺がやってるのに泣けるなあ

──ここからは少し内容に踏み込んだお話を伺います。全12話を振り返って、印象的なシーンを挙げるとしたらどこですか?

阿部 僕は第8話で、宗矢が泣きながら「戦いたくない」と訴えるシーンですね。宗矢は第1話から「お前ら全員ぶっ倒してやる!」って戦っていたけど、彼がどうして戦うのか、何を考えているのかとかは、これまで描かれなかったんですよ。第8話で初めて、宗矢が戦っていた理由とか、どんな気持ちでいるのかが明かされて。僕自身も宗矢のことをよく理解できたし、宗矢にとっても素の自分をさらけ出せた瞬間なのかなって思って。

原田 私もそのシーンは印象深いです。のぞみは「戦いたくない」と言った宗矢くんを、「戦わなくていいよ」とかばうんですよね。私の中で、のぞみは控えめな子という印象だったので、「黒井くんを守ります!」と強い意志を示した姿に心動かされました。台本を読んだときは、どう演じようか悩んだりもしたんですけど、結果的に気持ちがちゃんと入って、納得のいくお芝居ができたように思います。

阿部 のぞさんの「ありがとう」って一言もいいよね。胸に刺さりました。

井澤 私は第6話に登場する、宗矢くんの「正義なんか下駄ほど役には立たねえよ!」っていうセリフ。あのセリフ超カッコよくないですか?

阿部 アフレコのときも言ってたよね(笑)。このアニメ、鉄下駄がこんなに活躍するとは思わなかった。

井澤 思わなかった!(笑) あと銀子としては、どこかひょうひょうとしている日常モードと、第7話以降に登場する姫モードとの使い分けに悩んで。姫として、つまり星の代表者としてしゃべるときは、銀子個人としてしゃべるときと話し方を変えてるんです。声色を変えるとかじゃなく、気持ち的に。でも普段、姫としてしゃべることなんかないじゃないですか(笑)。

阿部 僕は悩んだシーンって言うと、第2話のあんまんのところかな。絵もいきなり劇画タッチだし、「あんまんかよ!」の言い方の正解がわからなくて。水上先生の作品らしい、シリアスな雰囲気の中に登場するお笑いシーンなので、最初は「なんだよおい!」とツッコむような感じでやったんですけど、(音響監督の)岩浪さんに「いやちょっと違うなあ」って言われて。これは本気でやったほうがいいだろうと、全力で叫ばせてもらいました。

井澤 必殺技の「ハンマー」も言いづらかったんだよね?

阿部 そうですね。叫ばなきゃいけないんだけど、“ハ”で空気が全部抜けるんで、“マー”がかなりきつい。

井澤 なのに岩浪さんが「“マー”をもっと伸ばして」って(笑)。

阿部 ね。逆に「ブレイド」は言いやすかったですね。第1話のアフレコのとき、見学にいらした水上先生から「(この作品は)すごい叫ぶと思うので、喉壊さないように気をつけてくださいね」って声をかけていただいたんです。それで多少覚悟はして臨んでいたんですが、振り返ると叫ぶシーンはものすごく多かったですね。我々は声優だし、次の日の仕事もあれば、収録後に別の仕事が入っている日もあるんですけど、宗矢に関しては次の仕事を考えてセーブしちゃいけない役だなと思っていて。毎回を思い切り叫ばせていただきました。そのおかげかわからないですけど、オンエアのときに一視聴者として観ても、いいなって思える叫びが多かった。

井澤 「グッジョブ俺!」って?

阿部 そうそう(笑)。「俺がやってるのに泣けるなあ」って思ってた。

「プラネット・ウィズ Blu-ray BOX特装限定版①」
2018年11月22日発売 / バンダイナムコアーツ
プラネット・ウィズ「Blu-ray BOX特装限定版①」

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「おれは、おれが味方したい人達の味方だ。そんだけだ!」
過去の記憶を失いながらも、平穏に暮らしていた高校生・黒井宗矢。だがある日、世界は謎の巨大兵器「ネビュラウェポン」に突如襲われる。
猫のような姿をした「先生」とゴスロリ姿の銀子と共に、宗矢は戦いに巻き込まれることになったが……なんと相手は人類を護る7人のヒーローの方だった!
宗矢の記憶に隠された戦う理由とは?
気鋭のマンガ家・水上悟志が贈るオリジナルアニメーション、ここに開幕!

スタッフ

原作:水上悟志・BNARTS・JC

監督:鈴木洋平

シリーズ構成・ネーム(脚本原案)・キャラクター原案・ネビュラウェポンデザイン:水上悟志

アニメーションキャラクターデザイン:岩倉和憲

キャラクターデザイン:古木舞

ネビュラメインマシンデザイン:いづなよしつね

念動装光デザイン:上津康義

プロップデザイン:磯本つよし

美術監督:奥村泰浩(ムーンフラワー)

色彩設計:石田美由紀

撮影監督:大河内喜夫

CG監督:平岡正浩(萌)

編集:近藤勇二(REAL-T)

音響監督:岩浪美和

音楽:田中公平

音楽制作:ランティス

アニメーション制作:J.C.STAFF

キャスト

黒井宗矢:阿部敦

高天原のぞみ:原田彩楓

黒井銀子:井澤詩織

先生:小山力也

竜造寺隆:乃村健次

白石こがね:後藤沙緒里

虎居英雄:梅原裕一郎

因幡美羽:大和田仁美

熊代晴海:渕上舞

根津屋正義:菅原慎介

鷹取紅華:石上静香

羊谷葉介:興津和幸

竜造寺岳蔵:清川元夢

閣下:若本規夫

水上悟志「プラネット・ウィズ①」
発売中 / 少年画報社
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黒井宗矢少年はある事故から記憶を失い、不思議な家族と奇妙な生活を送っていたが、ある日突然サイキックとロボの戦いに巻き込まれることに!? 水上悟志初のオリジナルTVアニメ作品のコミカライズ! 興奮&感動必至のサイキックロボットアクション!

阿部敦(アベアツシ)
栃木県生まれ。主な出演作は「アイドリッシュセブン」の逢坂壮五役、「だがしかし」の鹿田ココノツ役、「バクマン。」の真城最高役ほか。この秋は「火ノ丸相撲」「とある魔術の禁書目録III」などに出演する。
原田彩楓(ハラダサヤカ)
千葉県生まれ。主な出演作は「アイドルマスター シンデレラガールズ劇場」の三船美優役、「UQ HOLDER! ~魔法先生ネギま!2~」の結城忍役、「ゆらぎ荘の幽奈さん」の仲居ちとせ役ほか。この秋は「うちのメイドがウザすぎる!」などに出演する。
井澤詩織(イザワシオリ)
埼玉県生まれ。主な出演作は「ヘボット!」のヘボット役、「メイドインアビス」のナナチ役、「citrus」の水沢まつり役ほか。この秋は「うちのメイドがウザすぎる!」などに出演する。