ピンガ presents 高杉真宙と振り返る 2017年のWebマンガ

さまざまなWebサイトで発表されているマンガの更新情報を、まとめて受け取れるWebマンガ更新チェッカー・ピンガ。2017年12月時点で約3100作品のタイトルが取り揃えられており、テーマ別の作品紹介や、最新のニュースでお気に入りのWebマンガを見つけることができる。

2017年も終わりに差し掛かったこのタイミングで、コミックナタリーでは今年ピンガで多く読まれたタイトルを発表。マンガやアニメに造詣が深く、2016年4月から約1年間にわたりピンガで連載コラム「友だち ほしすぎ まひろ」(参照:マンガソムリエ高杉真宙の「友だち ほしすぎ まひろ」 - 無料で使えるWebマンガ更新チェッカー ピンガ)を担当していた高杉真宙に登場してもらい、上記にラインナップされたタイトルから3作品について語ってもらう。インタビューの最後にはフォトギャラリーも用意されているので、併せて楽しんでほしい。

取材・文 / 西村萌 撮影 / moco.(kilioffice)

つかの間のメンタル無敵モード、僕にもあります

高杉真宙

「友だち ほしすぎ まひろ」の連載時は、お世話になりました。今もピンガさんの公式Twitterをよく見ていて、そこから面白そうなWebマンガを発見してるんですよ。

──わあ、ありがたいです。今回は年末に公開される特集ということで、2017年にピンガで多くの人に読まれたWebマンガを3作読んでいただきました。まず1つ目は、子ども向け教育番組に出演する体操のお兄さん・表田裏道を描くコメディ「うらみちお兄さん」。率直な感想はいかがでした?

いやあ、衝撃が強かったです。書店で大きく取り扱われているのを見てて、ずっと気になってたんですよ。ただ実際に読んでみたら、表紙の印象と違って体操のお兄さんが全然爽やかじゃない(笑)。ダークな内容で、心にグサッときました……。

「うらみちお兄さん」より、子供たちの残酷な答えに、笑顔から一転、絶望の表情を浮かべる裏道。

──(笑)。裏道は「元気で明るい体操のお兄さん」という一般的なイメージとは正反対で、子供の前で大人の闇をぶっちゃけまくるというキャラクターですよね。

一番笑ったのは、裏道が子供たちにクイズを出すシーン。「よいこのみんなにあって、大人にないものはなーんだ?」という質問に、子供が「自由」「心」「希望」って返すじゃないですか。その辛辣な返しを見て、「裏道のブラックな教育がどんどん定着してきてる……!!」って(笑)。

──子供に正解してほしくないですよね(笑)。高杉さんは、裏道に共感するところはありました?

「うらみちお兄さん」より、「つかの間のメンタル無敵モード」になった裏道。絶好調な状態は、番組の本番開始までもたずに終了した。

正直に言っちゃって大丈夫なのかわからないんですけど、拾いきれないほどありました(笑)。つらい状況は何も変わってないのに、心の防衛本能が働いてなぜかハイテンションになっちゃう「つかの間のメンタル無敵モード」とか。朝起きたときに「あ、今日イケる気がする!」って思うんですけど、その調子のよさって3時間くらいしか保たないんですよ。あと後輩の兎原が裏道に「趣味はある?」と話題を振って、イラっとさせたときに言われたセリフ……。

「うらみちお兄さん」より、兎原に無趣味を突っ込まれたときの裏道。

──誰でも少年時代は「大人になったらなんでもできる」と思ってるけど、いざ大人になると、それを叶えるためのバイタリティがなくなってしまうという内容の言葉ですよね。

ギャグだけど、どの言葉も深いんですよね。読み進めていくうちに、この突き抜けたネガティブさが、いっそ清々しくて素敵だなあって思っちゃうくらい(笑)。

──ははは(笑)。ちなみに「うらみちお兄さん」の1巻発売を記念して公開されたPV(参照:【祝!第1巻発売(2017.9.27発売)】うらみちお兄さん(久世 岳:著)【記念PV】 - YouTube)では、神谷浩史さんが表田裏道役を演じてるんですよ。

うわあ! 神谷さんですか!? すごく観たい!!

──(映像を流す)アニメ好きでもある高杉さんから見て、裏道役に神谷さんというキャスティングはいかがですか?

もう、最高です……。神谷さんって幅広いキャラクターを演じられているイメージなので、うらみちお兄さんの裏と表の演じ分けもやっぱりすごくお上手だなあって思います。PVだけでなくテレビアニメとして観たいですね。

高杉真宙

視てもいいけど白紙かも……恥ずかしい心の中

──続いては「うらみちお兄さん」と打って変わって、一筋縄にはいかない恋がもどかしいラブコメ。他人の心の声が視えてしまうテレパス女子高生・中野さんと、彼女にベタ惚れのポーカーフェイス男子・戸田くんを描く「妄想テレパシー」です。実は今年発表された「第3回 次にくるマンガ大賞」のWebマンガ部門では、先ほどの「うらみちお兄さん」が1位。次いで2位を獲得したのが「妄想テレパシー」なんですよ。

へえ! そうなんですか。ラブコメは大好きなので楽しく読めました。何より、戸田くんのキャラクターがすごく魅力的ですよね。スマートな態度をとりながら、頭の中は中野さんにまつわるエロいことばっかりという(笑)。

──うなじがきれいな浴衣姿とか、ちょっと小さめの水着姿とか……。

高杉真宙

かと言って現実では中野さんへの好意をひた隠しにするわけじゃなくて、いきすぎない程度で素直に行動してるのが素敵だと思います。実際にいたら、ナチュラルにカッコいい男子だなあって。あと僕、東まなみのキャラクターも大好きなんです。最初は戸田くんが好意を寄せる中野さんに敵意むき出しでしたけど、今やすごく仲のいい友達同士で。割とさっぱりした性格なのに、中野さんへの愛情が垣間見えるのが微笑ましいです。

「妄想テレパシー」より、戸田くんが頭の中で繰り広げる中野さんの妄想。

──なるほど。ちなみに本作では妄想がカラー、現実で起こっていることはモノクロで描かれています。

そのワザも面白いなと思って読んでました! 色使いを意識せずに読んでて、「あ、これ妄想だったんだ」って後から思ったり、逆にモノクロだから妄想じゃないって気付かされたり。実は僕、超能力の中で一番欲しいなって思ってたのがテレパスだったんです。人の考えていることがわかればいいなって、きっと誰もが一度は思うじゃないですか。相手の先回りをして行動できるから羨ましいなと思ってたんですけど、気持ちを知ってしまったからこそ思惑を巡らせて動けなくなっている中野さんを見て、テレパスなりの苦労を知りました。

──なるほど。では心の声を視る側の中野さんと、視られる側の戸田くんだったら、高杉さんはどちらを選びますか?

高杉真宙

うーん、とは言っても戸田くん側も大変そうですね。

──心の中を覗かれたらマズいことがある……?

いや、基本的に僕、何も考えてないんです。本当にいつもボーッとしてるので、視られてもいいんですけど「こいつ、何も考えてないんだな」ってバレるのが恥ずかしい(笑)。

──まったく視えない、と(笑)。

はい、白紙かもしれない(笑)。

無料で使えるWebマンガ更新チェッカー
ピンガ

いろいろなWebサイトのマンガを読んだり、好きな作品の更新情報をチェックしたりすることができるWebサービス。2017年12月時点で、179サイトから計3100作品以上が取り揃えられている。編集部でテーマ別にピックアップした作品の紹介や、最新のWebマンガニュースも用意されているので、お気に入りのWebマンガを見つけてみては。

高杉真宙(タカスギマヒロ)
1996年7月4日生まれ、福岡県出身。2009年上演の「エブリ リトル シング'09」で俳優デビュー。2012年公開の「カルテット!」で映画初主演を飾り、その後テレビドラマ「35歳の高校生」「仮面ライダー鎧武/ガイム」などで注目を集める。2014年公開の主演作「ぼんとリンちゃん」で第36回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を、2017年には第9回TAMA映画賞にて最優秀新進男優賞を受賞。2018年にはテレビドラマ「賭ケグルイ」、映画「プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~」「世界でいちばん長い写真」「虹色デイズ」の公開も控えている。
  • ヘアメイク:堤紗也香
  • スタイリスト:石橋修一
  • 衣装協力
    カーディガン:¥48,000
    ヘンリーネック:¥9,400
    オーバーオール:¥28,000
    ブーツ:¥55,000
    安全ピン:¥1,800
    (すべてキャリー/スチュワーズレーン トウキョウ)
  • 問い合わせ先
    スチュワーズレーン トウキョウ
    住所:東京都渋谷区神宮前6-13-8 小花ビル1F
    電話番号:03-6434-1278

2019年5月16日更新