コミックナタリー Power Push - 森薫「乙嫁語り」
レッツ乙嫁クッキング! 森薫と作るかんたんおいしい中央アジア料理
最後の3品目はズィフ・カワプです。ズィフは串、カワプは焼肉。トルコ語でシシュ・ケバブといえば、聞き覚えのある人も多いのでは。上海や北京でも露店で焼いているのを見かけますし、ロシアに行けばシャシリクと呼ばれていますから、ほぼユーラシア大陸全域で食べられていると言っても過言ではないでしょう。
カワプの材料
タマネギ1/2個、卵1個、小麦粉大さじ1。羊肉(キジ肉)、ズラン、ラーザ、以上適量
──ズランはもう覚えました。ラーザは聞き慣れないブツですが。
これは中央アジアの唐辛子で、要は一味唐辛子です。ただ日本で買える一味唐辛子は辛味の強いものが多いので、量はほどほどに加減しましょう。
──そして問題のキジ肉です。作中でアミルさんが捌いてしまうという。
ええ、これは現地でもあまりやらないと思うんですが、作品の都合上、キジ肉を串焼きにしてもらうことにしました。
──都合というのは?
ひとつは「乙嫁」の裏テーマとして、毎話新しい動物をひとつは出そうと自分の中で決めているので、この回はキジを描いてみたいと。もうひとつにはおなじみの、アミルさんのワイルドさアピールですね。
──なるほど。今日は作中に出てくる料理を作ってみようという企画ですので、キジ肉も用意しました。正直、いちばん高かったです(笑)。あと家にないのは串くらいですかね。
アウトドアショップに行けば、バーベキュー串としてステンレス製のが各種売っていますので、割とすぐ手に入ると思いますよ。あとは網で焼くか、グリルで焼くかはお好みで。
カワプの作り方
- 1. 羊肉とキジ肉を切ります。ちょっと大振りな焼き鳥くらいのイメージで。
- 2. タマネギをおろし、卵、ズラン、小麦粉を加えて漬け込み液を作ります。
- 3. ジップロックに肉と液を入れ、軽く揉み込んだのち、2時間以上漬けます。しっかり漬け込むことで、焼いても固くならない肉になります。
- 4. 串に刺していきます。欲張って間を詰めて刺すと火の通りが悪くなるので、ほどほどに。
- 5. ズラン、ラーザ、塩を指でつまみ、振りかけながら焼きます。ズランは惜しまず、多めに振りかけるのがおいしく仕上げるコツです。
──猫も寄ってくるほどの、めちゃくちゃいい匂いです。そして3品の中では飛び抜けて簡単でしたね!
煙すごかったですけどね。要は焼肉ですから、作られる方は窓全開かつ換気扇を最強にしておいたほうがいいです。
──火災報知器が鳴る前に(笑)。七輪とかバーベキューグリルがあったら野外で焼くのもいいのではないでしょうか。
そっちのほうが本場っぽいですしね。というわけで、無事に3品できました! 食べましょう、まだ明るいけどビールですビール!
美しい20歳の娘・アミルが嫁いだ相手は、弱冠12歳の少年・カルルク。遊牧民と定住民、8歳の年の差を越えて、ふたりは愛を育む事が出来るのか……(第1部)。エイホン家の居候英国人・スミス。旅を続ける彼が出会ったのは、5人の夫と結婚して、5人とも先立たれた美しく幸薄き"乙嫁"・タラス……(第2部)。悠久の大地・中央アジアの生活文化を圧倒的な筆致で描き上げる、人気絶好調シリーズ。連載は現在"アラル海編"の第3部へ!
森薫(もりかおる)
1978年生まれ。2002年に月刊コミックビーム(エンターブレイン)より「エマ」でデビュー。“メイド好き”として知られており、「エマ」ではメイド喫茶やコスプレなどで見られるアイコンとしてのメイドではなく、1800年代、ビクトリア朝時代のイギリスにおけるメイドを歴史考証に忠実に描いた。好評を博した同作は、2005年にアニメ化。2006年には番外編も展開され、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞するに至った。2008年10月よりFellows!(エンターブレイン)にて待望の新作「乙嫁語り」を連載中。