コミックナタリー Power Push - シタラマサコ「おそ松さん」
松ロスの皆さん、まだまだ6つ子に会えますよ! マンガ版オリジナルのエピソードが満載
最初はトト子が主役だった!? 「おそ松さん」コミカライズ裏話
──では遡って、「おそ松さん」を連載することになった経緯をお聞きしたいのですが。
初めてお話を聞いたのは、放送が始まる前でした。まさかこんなふうなアニメだとは思わなかったですけど(笑)。
──誰も予想できなかったですよね。ここまでヒットすると思われていましたか?
正直そんなに思ってなかったです。私は普段からアニメを観るほうなんですが、声優さんが豪華なので放送前に騒がれてることは知ってたんです。それに原作が「おそ松くん」だし、絶対話題にはなるなとは思ってました。でもここまでとは思わなかったです(笑)。
──連載が始まったのは放映がスタートして「おそ松さん」が社会現象になってからでしたが、コミカライズすることにプレッシャーはありましたか?
日に日に増していく、という感じでしたね。本当に、なんてことを引き受けてしまったんだろうって。すごくいい話なんですけど、「ああー!」って叫びたくなるような。しかも赤塚不二夫という大先生の作品が原作なのに、わたくしごときがやっていいのかという(笑)。
──内容についてはどのように方向性を決めていったのでしょうか?
最初に、オリジナルで、自由にやってくれていいですよという話がありました。あとフジオ・プロさんにお伺いしてお話を聞いたときに、「広い年齢層で楽しめる話がいい」とおっしゃっていたので、そうなるようにがんばろうと。アニメでフィーチャーされないキャラにも焦点が当たるといいかもという話もされてて。実は最初、トト子ちゃんを主人公にしようかなとも思ってたんです。
──えっ! トト子を?
でも第3話の先行上映会を観に行ったときに、ファンの皆さん、推し松がはっきり分かれていて気合いが入っているのを見て。「やっぱり(描くのは)6人ですね。違いましたね(笑)」って担当さんと頷き合いました。
──ファンが求めてるのは6つ子だと、はっきりわかった瞬間だったんですね(笑)。
肌でそれを感じましたね。そういえば最初、6つ子がいくつくらいの設定なのかわからなくて、30代って思い込んでたんですよね……。
──30代でニートで童貞(笑)。
そんな6つ子いたらホラーでしかないですよね。トト子ちゃんかわいそう(笑)。たぶん最初に見た設定画は、今よりもうちょっと年上っぽい印象だったんですよ。だから打ち合わせのときも「(6つ子は)どういう人たちなんだろう」「どうやってやればいいんでしょう」って……。仮に30代だったらホラー感が増して、実松さん(※注1)みたいな怖い感じになってたかもしれません(笑)。
※注1……第13話「連続テレビドラマ 実松さん 第三話」に登場した、冴えない中年サラリーマン。2クール目初回にして普段とはまったく違うテイストのアニメが放映され、ファンに衝撃を与えた。
アニメ製作委員会とコミカライズ版の関係
──描かれた原稿は製作委員会に監修を回しているかと思うんですが、どんなところにチェックが入るものなのでしょうか?
修正はほとんど入らないんですけど、たまに設定に関するところには入ったりしますね。たとえばF6(※注2)と通常のおそ松さんは同時に出さないとか。アニメでもじょし松さんとかF6とかスクール松とか、いろんな世界観があったと思うんですけど、そのキャラクターたちが一緒の世界に出てこないようにしています。あとはキャラクターのディテールとかですね。口の形とか、アホ毛の本数とか。
──そういう指摘は、お会いしたりして直接やり取りされるものなんですか?
いえ、私、実は製作委員会にどういう方がいるのかもわかってなくて、本当に「エヴァ」に出てくる黒い板の人たちみたいなイメージで(笑)。
──ゼーレですか(笑)。藤田陽一監督やシリーズ構成の松原秀さんとはお会いされたことは?
松原さんは、この前のイベント「フェス松さん」でお会いしたんですよ! 同じクリエイターとして「大変ですよね」というねぎらいの言葉をいただきました。
※注2……イケメンアイドル風の姿をした6つ子の総称。リアル頭身で描かれている。
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- 「TVアニメおそ松さんキャラクターズブック1 おそ松」2016年5月25日発売 / 551円 / 集英社
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- 「TVアニメおそ松さんキャラクターズブック2 カラ松」2016年5月25日発売 / 551円 / 集英社
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シタラマサコ
2008年にりぼんスペシャル夏休み大増刊号(集英社)に掲載された、「はらって椿ちゃん」でデビュー。2012年に別冊マーガレット(集英社)にてファミレスを舞台にギャル2人のゆるい掛け合いを描く「ギャルジャポン」をスタートさせる。現在「ギャルジャポン」のほか、月刊YOUで「おそ松さん」のコミカライズ、ミラクルジャンプ(ともに集英社)で「何してんの神様」、プリンセスGOLD(秋田書店)で「美少女戦士だった人。」を連載中。