コミックナタリー Power Push - シタラマサコ「おそ松さん」
松ロスの皆さん、まだまだ6つ子に会えますよ! マンガ版オリジナルのエピソードが満載
2015年10月から2016年3月まで放送され、社会現象とも言えるほどに大ヒットを記録したアニメ「おそ松さん」。月刊YOU(集英社)では、「ギャルジャポン」で知られるシタラマサコがコミカライズ版を連載中だ。
コミックナタリーではコミカライズ版「おそ松さん」1巻の発売を記念し、シタラにインタビューを実施。シタラによる6つ子のキャラクター分析や、彼らの関係性、またコミカライズの裏話をたっぷりと聞いた。
取材・文 / 坂本恵
第23話「灯油」
ある真冬の日。相変わらず茶の間でグータラしていた6つ子たちだったが、ストーブの灯油が切れてしまう。果たして誰が寒い外へと灯油を買いに行くことになるのか……。6つ子の壮絶な戦いが始まる。
それぞれの役割というか、キャラクターの持ち味がはっきり出てて、しかも和気あいあいと楽しそうで、とてもいいなあと思ったお話です。ごまかし方も、一松は二番煎じでも寝たふりを無理やりしていたり、トド松はお茶を淹れて計画的にその場をしのごうと腹黒なところが出ていたり(笑)。こういう話を私も描きたいと思ったお手本です。
第14話「チョロ松先生」
チョロ松教頭先生が、トド松先生に文化祭について些細なことでダメ出し。思い込みの激しいチョロ松先生は、AV機器という単語を発端に、フランクフルト、マンゴージュースという言葉に大暴走してしまう。
やり取りのテンポが最高に面白くて! テンションが素晴らしかったなと思います。あとはチョロ松役の神谷浩史さんとトド松役の入野自由さんの、イントネーションの付け方が面白いですよね(笑)。
おそ松
CV:櫻井孝宏
松野家の長男。小学校6年生のメンタルのまま成長してしまった奇跡のバカ。パチンコと競馬が生きがい。
クズの大黒柱! すべてにおいての基本で、6つ子のスタンダードタイプ。おそ松が揺るがない限り、6つ子は揺るがないと思います。
チョロ松
CV:神谷浩史
松野家の三男。6つ子の中では唯一の常識人? 女の子が絡むとおそろしくポンコツ化。
もう「面倒くさい」という一言に尽きる! でもそこがいいんですよね。あと不憫なところもいい。守りたくなっちゃうのかな(笑)。私はけっこう「めんどくせえ!」って思っちゃいますけど。
十四松
CV:小野大輔
松野家の五男。異常に明るく、異常にバカ。なんかよくわからない。
狂気の塊(笑)。計り知れないです、本当に。自分で描くときも、いつもと違う引き出しから連れて来て、むちゃくちゃなことをやってもらうって感じですね。ネジを2、3個外してやること考えてます。
カラ松
CV:中村悠一
松野家の次男。太い眉が特徴。常に自分の世界に浸り、カッコつけている。
自己愛の塊ですね。でもお人好し。かわいいですね。たぶん、一番血が通ってる(笑)。
一松
CV:福山潤
松野家の四男。マイペースでボソボソと喋るアブナイ奴。ネコが友達。
実はけっこうまともな人だなって思います。言うほどひどいことをしないし、考えも偏ってはいるけど、病みキャラも「本当にそうなの?」とちょっと疑問形なところがあります。「半分作り入ってるんじゃないの?」っていうトド松のツッコミもありましたけど(笑)。
トド松
CV:入野自由
松野家の末っ子。かわいさを利用するあざとい奴。急にドライな一面も。愛称はトッティ。
すごくちゃっかりしてるんだけど、詰めが甘くて、末っ子だなって思います。実は私もけっこうこのタイプ(笑)。一番理解できる感じがします。
シタラマサコから見た6つ子の関係性
──6つ子紹介を終えたところで、シタラさんから見た6人の関係性についてお聞きしていきたいと思います。
マンガ版第11話の「十四松のハッスルキッチン」で、十四松と5人をそれぞれ組み合わせることによっていろいろとわかってきました。例えば、おそ松と十四松がくっつくと、一緒に「キャー!」って騒いじゃって、収まりがつかないとか(笑)。
──この2人だと、ボケっぱなしになっちゃうんですね。
そうそう。やっぱりそれぞれのペアでボケとツッコミの役割が変わってきたりするんですよね。その辺はリアルな人間関係でもそうだと思うんですけど、人によって役割とか自分の居場所とか、着地点が変わるというか。描いてみてから「あ、こうなるんだ」って自分なりにわかったりして、描いてて面白かったですね。
──描いてみないとわからないものなんでしょうか。
頭の中だけでは追いつかなかったりするんですよね。例えばトド松と十四松だと、意外にトド松が世話を焼きたがるというか。結果的には、十四松にわけわからないことをされて、ただただ戸惑って終わるけど(笑)。
──ははは(笑)。ほかのペアについてもお聞きしたいのですが、カラ松だったらどうでしょうか?
カラ松と十四松だったら、さすがの十四松もツッコミになる。これもやってみないとわからなかったですね。アニメでも十四松はカラ松を冷たくあしらったりしてましたけど。とにかくアニメが基本にあるので、その設定からズレないようにというのは常に心がけてるんですが、実は十四松がツッコミになるっていうのはアニメにはなかったんです。なのでネームを製作委員会に見せたときは不安だったんですけど、オーケーを頂いたので、「間違ってなかったんだな」って思いました。自分の中から生まれてしまったものだけど、キャラクターはブレてなかったんだと思います。
──なるほど。どのコンビが描いてて楽しいですか?
十四松と一松ですかね。第10話の2人が宇宙人にさらわれる回は、描いててとても楽しかったです! 宇宙人に殺されそうになるんですけど、一松がお兄ちゃんっぽく十四松を連れて逃げたりしてがんばるんですよ。でも最後、十四松が空気を読まずに一松を驚かせたりして、一松が漏らしちゃう(笑)。こういう、アニメではやってないけどやりそうなことを思いついたときはすごくうれしくて「よしっ!」ってなりますね。
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- 原作:赤塚不二夫 漫画:シタラマサコ 監修:おそ松さん製作委員会「おそ松さん(1)」 / 2016年5月25日発売 / 454円 / 集英社
- 原作:赤塚不二夫 漫画:シタラマサコ 監修:おそ松さん製作委員会「おそ松さん(1)」
- 「TVアニメおそ松さんキャラクターズブック1 おそ松」2016年5月25日発売 / 551円 / 集英社
- 「TVアニメおそ松さんキャラクターズブック1 おそ松」
- 「TVアニメおそ松さんキャラクターズブック2 カラ松」2016年5月25日発売 / 551円 / 集英社
- 「TVアニメおそ松さんキャラクターズブック2 カラ松」
シタラマサコ
2008年にりぼんスペシャル夏休み大増刊号(集英社)に掲載された、「はらって椿ちゃん」でデビュー。2012年に別冊マーガレット(集英社)にてファミレスを舞台にギャル2人のゆるい掛け合いを描く「ギャルジャポン」をスタートさせる。現在「ギャルジャポン」のほか、月刊YOUで「おそ松さん」のコミカライズ、ミラクルジャンプ(ともに集英社)で「何してんの神様」、プリンセスGOLD(秋田書店)で「美少女戦士だった人。」を連載中。