コミックナタリー PowerPush - 日当貼「オデットODETTE」
猫頭キャラ誕生秘話を著者が語る “リアル猫ヘッド”を使っての書店デート再現も
「一緒にいて楽しくバカになっているカップル」を見ている感じ
──「オデットODETTE」の基本的な登場人物は、猫氏と多恵の2人だけですよね。猫氏が喋らないことで、ストーリー運びも難しくなるのではないかと感じたのですが。
確かに猫氏が喋らないので、最初の頃は単調にならないようにと、多恵をドジなキャラクターとして少し大げさに描いていました。気がつけばいつも遅刻していたり(笑)。さすがにそこまでドジではないはずなんですが、極端に描きすぎてしまったなという気はしています。ただカップルでも、友達同士でもそうですけど、人って誰か好きな人と遊んだり一緒にいる時はそもそも、ちょっぴりバカになってるじゃないですか。些細なことでも笑っちゃったり、くだらないことに一緒に夢中になったり。
──笑いの沸点みたいなものも、一緒にいることで変化するような?
「オデットODETTE」という作品は、そういう2人の状況を傍から見ている感じだと思っていて。最近は最終的にあの2人が楽しそうであれば、多少デフォルメされていても、それでいいかなという気持ちで描いています。「2人がどんなところに行ったら楽しそうか」「どんなことをしたら幸せそうか」というようなことを考えながらお話を作っているので、読者の皆さんに伝わっているとうれしいです。
──確かに2人のやりとりは読んでいて微笑ましいものばかりです。
あと多恵に関して言うと第3話の公園デートの話で、細く描きすぎてしまって担当さんからリテイクが入りました。「ダイエットしなきゃと言っているわりに細すぎませんか」と(笑)。
──ダイエットする必要がないじゃないかと。
「もう少しぽっちゃりさせてください」と言われて。そのときは「誰得!?」と思ったんですけど、言われてみるとスッキリしているのは確かに違和感があったんです。猫氏の方は元から、首から下がどうなってるのかわからないように描いているんですが、最近は多恵も微妙にその影響を受け始めていますね(笑)。
猫氏の夏ファッションに注目
──現在劇中では冬のエピソードが続いていますが、これが春や夏になってくると猫氏が体を完全防備し続けるのも難しくなってくるのではないでしょうか。
確かにそこは困りどころです(笑)。なんなら寒い時期の話をずっと続けようかと思ったんですけどそれも難しい。
──長袖を着せて全身を隠すというのは、やはり譲れない部分だと。
そうですね。猫氏の手が、猫の形なのか人の形なのかがわかってしまうと、猫と人との中間というイメージを壊してしまう気がしているので。喋る喋らないという部分もそうですが、ファンタジーな部分はそのまま残していきたいなと思っています。
──海など夏ならではのスポットもありますよね。
あの2人は海に行っても、入って遊びはしないんじゃないかな? 夏に自然に長袖を着せるには富士登山とかをさせるしかないのかもしれない(笑)。ただ猫氏と多恵の2人には一緒に季節の移り変わりを楽しんでもらいたいと思っているので、劇中の季節自体は変化していく予定です。なので猫氏のファッションも含めて、今後の展開も楽しみにしていてください。
あらすじ
猫で彼氏──?
ドジだけど明るく素直な彼女と、彼女思いのやさしい彼(猫……?)。ほんわか癒やしカップルの、ゆったり「おデート」物語。あったかでモフモフな、幸せいっぱいラブコメディ。
日当貼(ヒアテハル)
10月9日生まれ。広島県出身。友人の飼い猫を世話するため、とある猫屋敷を訪れた青年を描く読み切り「逃げてるボクとネコの三毛谷さん」で2012年にデビュー。2014年2月には、瀬戸内海のとあるみかん農家で暮らす猫たちの日常を切り取った「ねこもふ。」を発表する。同年7月よりCOMICポラリスにて初連載作「オデットODETTE」を連載中。