小説であれば、なんでも読む
梶 それ以外にも、何かオススメはある?
木村 どんな話がいい? サスペンスとか?
梶 えっ!? どうしてサスペンス?
木村 最近自分で買った本を眺めてみると、サスペンスものが多くて(笑)。好きなんだろうね、事件に巻き込まれるお話が。
──小説であればジャンルレスで読まれるんですか? 例えば「純文学しか読まん」みたいな感じではなく。
木村 なんでも読みますね。完全に娯楽として読んでいるので。ただ、子供の頃は海外文学ばっかり読んでいたんです。でも、あるとき川端康成の「伊豆の踊子」を読んでから、日本の小説もたくさん読むようになって。最近また読み返したんですけど……梶くん読んだ?
梶 読んだ……けど、だいぶ昔だったから……。
木村 もし内容をあんまり覚えてなかったら、ぜひ「伊豆の踊子」を。改めて読むと、いいよ。当たり前なんだけど。
──海外文学は、どのへんを読まれていたんですか?
木村 ジェフリー・アーチャーとかアーサー・ヘイリーとかアーロン・エルキンズとか……映画の原作になったり、なりそうだったりする作品が多いですね。特にアーサー・ヘイリーが好きで、彼の作品はどれもそうなんですけど、例えば「ホテル」という小説だったら、現実のホテル経営とかに関しても詳細に取材したうえで書いてるんですよ。だからものすごくリアリティがあって、小説が面白いだけじゃなくて、ホテルの勉強にもなってしまうっていう。
「演じがいのある人間」が描かれている小説が好き
──梶さんは、好きな作家として朝井リョウさんなどに言及されていますよね。
梶 そうですね。朝井リョウさんの小説って、例えばSNSだったり学校だったり、今の若い子たちが直面してる現実がホントに生々しく描かれてるんですよね。その中には女性が主人公のお話もあって……まあ僕も男なので、果たしてそれがリアルな女性像なのかっていうのは正直わからないですけど(笑)、「なんでここまで女の子の気持ちになって書けるのかな?」って不思議に思ったり。あと、これは朝井さんの小説に限らずですけど、そういう生々しさを伴った作品……とりわけ、人間の混沌とした部分が描かれている作品に僕は惹かれるのかもしれないですね。読みながら「この役を演じたいな」とか、そういう気持ちにさせてくれるものが好きで。
木村 なるほどね、演じがいのある人間が描かれている小説かあ……。
梶 うん。特に朝井さんの小説にはそういったキャラクターが必ず1人は出てくる印象があります。
木村 ちなみに、恥ずかしながら僕は朝井リョウさんの作品は未読なんだけど、初めて読む人にオススメはなんですか?
梶 うーん……単純に自分の好みでいったら「何者」かな。Twitterと就活がテーマになってるんだけど、なんか、刺さるんだよね。俺は就活をしたことがないけど、それでも「やっぱり大変なことなんだ」っていうのがリアリティをもって伝わってくるし、就活を中心に人間関係が築けたり、逆にそれが原因で壊れてしまったりする面白さも怖さも感じたし……。
木村 (スマホを取り出し)買いました。
梶 もう!? っていうか今買ってたの?
木村 うん(笑)。でも先に(坂本)真綾さんに薦められた本が届いてるから、それを読み終わったら読もうかな。
やはり本には情念が宿っている
──木村さんは本を読んでて「演じがいがありそう」と思ったりはしないんですか?
木村 まったくしないですね。だから梶くんはそう思うことがあるって聞いて、自分では考えたことがなかったので面白いなと思いました。
梶 逆に言えば、僕の読書は雑念だらけなんですよ。たまに没頭して、自分も小説の中にいるような気分になるときもあるけど、だいたい「俺だったらこのセリフどうやって言うかな?」みたいなことばっかり考えちゃう。
木村 聞きました? これが役者ですよ。
梶 ちょっと、やめてよ(笑)。
木村 だって俺、読んでいるときは何も考えてないもん(笑)。
梶 でもそれってニュートラルな気持ちというか、客観的に読めてるってことでしょ?
木村 そういう言い方もできるかもね。ホントに娯楽として、その物語を俯瞰した視点で眺めてるから、ある小説に関して「好きなキャラクターは?」とか聞かれるとすごく困る。だって、キャラクターあっての物語じゃない? だから1人ひとりに好きも嫌いもない。作品自体の好き嫌いなら答えられるんだけど、登場人物はあくまで作品を構成する1つの要素だと思っているから。
梶 例えば「こいつには共感できるけど、こいつは何を考えてるのかわからない」みたいなこともないの?
木村 理屈が通ってるかどうかが1つの基準になるかもしれない。「いや、その理屈はおかしくない?」とか感じることはあるよ。
梶 じゃあ、単純に「この人とは絶対に友達になれないわ」みたいなことを感じることは?
木村 思うこともあるよ。ただ、それは好き嫌いとは別次元の話だから。
梶 なんか、大人だね。
木村 やめてよ(笑)。
梶 いや、俺はさ、本を読み終わったあととか映画を観終わったあとは、結構その作品に引っ張られちゃうから。テンションとか、それこそ口調とかも。例えば岩井俊二さんの映画を観ると、自分も登場人物の1人になったかのような気分になるというか、どこかでカメラが回ってるんじゃないかっていうくらい、なりきっちゃうときがあって。
──「仁義なき戦い」を観た人が、映画館を出るときにみんな菅原文太ばりに肩で風を切って歩いていた的な。
梶 そうそう(笑)。
木村 それもわかるよ。頭の中のト書きが直前に触れた作品に寄ってたりね。それで言ったら、「ニルアド」は書いた人の情念が宿った本をめぐる物語だけど、現実の本にも何かしら念めいたものは込められてるなと思うんです。だからこそ僕らも本に影響されるわけだし、「ニルアド」の設定もスッと入ってくるんだろうね。
梶 うん。本には絶対にそういう力があるし、「ニルアド」をご覧になった方にも、それを感じていただけたらうれしいですね。
- アニメ「ニル・アドミラリの天秤」
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- 放送情報
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- TOKYO MX:
2018年4月1日(日)より毎週日曜22:00~ - サンテレビ:
2018年4月1日(日)より毎週日曜23:30~ - BSフジ:
2018年4月3日(火)より毎週火曜24:00~ - AT-X:
2018年4月10日(火)より毎週火曜22:00~(リピート放送あり)
※初回は放送直前特番をオンエア
- TOKYO MX:
- 配信情報
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- dアニメストア:
2018年4月8日(日)22:00より地上波同時配信
- dアニメストア:
- スタッフ
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原作:「ニル・アドミラリの天秤 帝都幻惑綺譚」オトメイト(アイディアファクトリー)
監督:たかたまさひろ
シリーズ構成:金春智子
キャラクターデザイン・総作画監督:佐光幸恵
音楽:長谷川智樹
音楽制作:ポニーキャニオン
アニメーション制作:ゼロジー - キャスト
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久世ツグミ:木村珠莉
尾崎隼人:梶裕貴
鴻上滉:岡本信彦
星川翡翠:逢坂良太
鵜飼昌吾:木村良平
汀紫鶴:鈴村健一
鷺澤累:櫻井孝宏久世ヒタキ:村瀬歩
朱鷺宮栞:夏樹リオ
鴬地啓三郎:小林範雄
隠由鷹:緑川光
杙椰:宮下栄治
猿子基史:興津和幸
燕野太郎:榎木淳弥
四木沼喬:遠藤大智
四木沼薔子:眞田朱音
柾小瑠璃:高橋未奈美
葦切拓真:利根健太朗
笹乞藤一郎:石井真
雉子谷新:西田雅一
百舌山識郎:荻野晴朗
尾鷲英樹:桜木章人
ナレーション:下野紘
©IF/Nil Admirari PROJECT
- 「ニル・アドミラリの天秤」壱巻
- 2018年6月29日発売 / DMM pictures
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[Blu-ray]
6264円 / DMPXA-015 -
[DVD]
5184円 / DMPBA-029 - 「ニル・アドミラリの天秤」弐巻
- 2018年7月27日発売 / DMM pictures
- 「ニル・アドミラリの天秤」参巻
- 2018年8月31日発売 / DMM pictures
- 「ニル・アドミラリの天秤」肆巻
- 2018年9月28日発売 / DMM pictures
- 梶裕貴(カジユウキ)
- 1985年9月3日生まれ、東京都出身。主な出演作は「進撃の巨人」(エレン・イェーガー役)、「七つの大罪」(メリオダス役)、「僕のヒーローアカデミア」(轟焦凍役)など。
- 木村良平(キムラリョウヘイ)
- 1984年7月30日生まれ。主な出演作は「東のエデン」(滝沢朗役)、「デビルズライン」(李ハンス役)、「イナズマイレブン アレスの天秤」(道成達巳役)など。