アニメ「約束のネバーランド」特集| “マンガは嫁入り道具”と断言する生粋のマンガ好き 元モー娘。飯窪春菜が「約束のネバーランド」を語る

「フィル、恐ろしい子……」

──特に好きなキャラクターはいますか? エマ、ノーマン、レイの中では?

メインの3人に関しては、どうしても「お約束のネバーランド」のイメージが染み付いてきちゃってて……。

──少年ジャンプ+で連載されているスピンオフギャグですね。

「お約束のネバーランド」第1話より。

ノーマンの、エマへの愛がすごい強いんですよね。読んでると、ちょっとノーマンが変態に見えてきちゃって(笑)。あれを読んでなかったらノーマンが好きだったんだけどなあ。3人の中ではエマが一番好きですね。底抜けの明るさと、絶対に絶対にみんなで脱獄するんだ、っていう、諦めないところ。レイはちょっと諦めがちじゃないですか(笑)。

──エマは女の子だけど、前向きで友情に熱いというところはしっかりジャンプ作品の主人公ですよね。

はい。そこで通じてる気がします。あとは、フィルがすごく好きなんです。さっき話したように、彼の目線に気付いてからは、「恐ろしい子……」と思いながら見ていましたね(笑)。脱獄編を過ぎると、エマたちと離れ離れになっちゃうので、その環境がかわいそうだと思ってしまいますね。「約ネバ」の子供たちは本当の家族じゃないけど、本当の家族以上の絆が見られるから、いいなって思います。

──長年モーニング娘。として活動されてきた飯窪さんですが、いろんなメンバーと長い時間を過ごしてきたという意味では、GFハウスの子供たちに関係性が重なるところもありますか。

家族よりも長い時間を一緒に過ごしていましたから、お互いのことはよくわかるようになったりしますね。

アニメ「約束のネバーランド」第7話より。

──原作は最終章に突入しています。

もう悲しくて悲しくて……。ジャンプは長編が多いから、30巻は行くと思っていました。

──アニメの2期があると発表されたばかり(参照:アニメ「約束のネバーランド」第2期決定!2020年に放送)ですが、今後アニメで見るのが楽しみなシーンやキャラクターはいますか?

脱獄した後に出てくる、ムジカとソンジュ。透き通った、きれいな声なんだろうなあと想像してます。あとは秘密基地の作りをアニメで細かく見るのも楽しみですね。広さや部屋数とかも、映像だと細部まで見えると思うので。

自分の中の新たな扉が開いてしまいました

──ここからは飯窪さんのマンガ遍歴についてお聞きできればと思います。日々たくさんの作品を読まれていると思うのですが、自分にとって一番大事な作品を挙げるとすると?

飯窪春菜

うーん……何個かあるんですけど、真柴ひろみ先生の「瞳いっぱいの涙」という作品。両親も好きだったので家にたくさんマンガがあって、これはママが持っていました。高校の先生と、その高校の先生と交際している女子高生が両親に挨拶をしに彼女の家に車で向かっている途中に交通事故を起こしてしまい、彼女のお姉さんを轢いて、歩けない身体にさせてしまうんです。それで彼が責任をとるために、お姉ちゃんのほうと付き合い始めるんですね。

──かなりヘビーなお話ですね……。

そうなんです。真柴先生の作品って全部、結末まで描かれていなくて、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、全部読者に委ねるんですね。それが素敵だなと思っていて。読んだタイミングによって、自分の中のエンディングも変わっていくんですよね。初めて読んだのは小学生の頃でしたけど、高校生くらいのときにまた読んだら「いや、やっぱりこういうエンディングだな」と、見え方が変わりました。

──これまた、何度も読み返せる作品ですね。

そうですね。最近のマンガでは、古屋兎丸先生の「女子高生に殺されたい」が印象深いです。全2巻と思えないくらいの濃い内容で、女子高生に殺されたいがために教師になる男の話なんですけど、ただそれだけじゃなくて緻密な計画があったっていうことがわかったとき、ゾッとするというか、面白すぎて震えましたね。

──なるほど。ブログなどでもこまめにお気に入りの作品を紹介していらっしゃいますが、1カ月にどのくらいの量を購入するんですか?

今は月に10冊行かないくらいですかね。だいたい継続して読んでいる作品の新刊を買うことが多くて、新しく触れる作品は1、2冊くらい。TwitterとかSNSで話題になっているものは、Kindleで買っちゃいます。

──紙の単行本とKindle、何か使い分けはされていますか?

飯窪春菜

単巻で終わるものや、話題になっていてとりあえず読んでおきたいものはKindleで。紙では1巻から集めたい、本棚に収めておきたい作品を買うようにしています。本棚にマンガが収まっているのを見るのも好きなんです。私の宝、嫁入り道具だと思っています。

──お宝は、何冊くらいあるんでしょうか。

そんなに数はないですね。2000冊くらい?

──十分多いです(笑)。お友達ともマンガの話で盛り上がったりしますか?

マンガ好きの友達とは、よくオススメしあってます。布教したらハマってくれて「ヨッシャ」って思ったのは、「私の少年」。

──30歳OLの多和田聡子と、12歳の小学生・真修を描く物語ですね。

1巻が出た時点で気になっていたんですけど、本当に真修くんがかわいすぎて。あれを読んで、自分の中の新たな扉が開いてしまって。今やすっかりショタコンなんです。

──(笑)。

目覚めてしまいました……美少年のかわいさに。お友達には、「はるなん、25を過ぎると年下がかわいくなってくるんだよ……」ってしみじみ言われましたね(笑)。「私の少年」を読んでからは、自分の家の本棚にある作品のキャラもちょっと見え方が変わったりして。「乙嫁語り」のカルルクさん、かわいいな、とか。

──あ、わかる気がします。8歳年上のアミルと結婚する、12歳の少年ですね。まだまだ幼かった子が、次第に凛々しく「アミルを守れるようになりたい」と言うようになったり……。

飯窪春菜

わかってくれますか! アミルを守るために弓を習ったり、勇敢になっていく感じとか、成長がかわいくて。「カルルクさんー!」ってなります。

──扉の向こうには広い沼が広がっていそうですね(笑)。飯窪さんにとって、マンガってどんな存在ですか。

もう人生の教科書だと思っています。漢字とか言葉とか、単語のレパートリー、変な雑学とかも、私の知識は全部マンガからなんですよ。物心ついた頃から触れてきているので、切っても切れないなって思います。一生付き合っていくものですね。

中身は全然ポップじゃないから、心して観て

──モーニング娘。を卒業して数カ月が過ぎましたが、現在の心境はいかがですか?

卒業前とはだいぶ違いますね。新鮮で、すごく楽しくやっています。自分の時間ができて、お散歩とかもできる余裕があって。心のゆとりがすごくあります。

──ほかのインタビューで、今後、マンガ原作の作品に出演してみたいということもお話されていましたが、こういう作品に出たい、といった考えは具体的にありますか?

「ジョジョの奇妙な冒険」の山岸由花子ちゃんと、「恋は雨上がりのように」の橘あきらちゃんをやりたかったんですけど、すでに実写化されていて、しかもたまたまどちらも小松菜奈さんが演じられていて(笑)。あとは「殺さない彼と死なない彼女」がすごく好きで、単行本に入っている「きゃぴ子」っていう作品のきゃぴ子っていうキャラクターを演じてみたいなって思っています。きゃぴ子は、全人類から愛されたい、愛に飢えてる女の子。親友の地味子ちゃんは「ただ1人大切な人から愛されたらそれでいいな」って言うんですけど、きゃぴ子ちゃんが「それができないから私はこんな馬鹿みたいなことを言っているんじゃないか 1人に愛してもらえないなら、その他大勢に愛してもらうしかないじゃないか」って返したり。グッとくる言葉がいっぱいあるんです。今一番の推しマンガですね。

──最後に、「約束のネバーランド」の話題に戻りますが、DVDが発売され、2期も控えているので、これからアニメ版を一気に観る人もいらっしゃると思います。改めて見どころを、飯窪さんなりに薦めていただけたら。

「約束のネバーランド」っていうタイトルはポップだと思うんですけど、それで油断して観ると痛い目見るぞ、って(笑)。描かれていることはだいぶ深いというか、キャラクターが深刻な問題に直面したりもするので。見た目はポップだけど中身は全然ポップじゃないから、心して観てほしいって思います。あとは、意外と大人の方がハマるんじゃないかな。私みたいに、いろいろ考察するのが好きな人にはぜひ観てほしいですね。実はすごい偶然なんですけど、一昨日くらいにママから「ねえねえ、『約束のネバーランド』っていうアニメにハマってるんだけど」って連絡が来たんです。

アニメ「約束のネバーランド」第1話より。

──えっ! 今日のこの取材のことを伝えてもないのに、ですか?

まったくの偶然です。それで「明後日、インタビューでその作品のこと話すよ」って伝えたら「なんで? すごくない?」って言われました(笑)。ママ、もともとはアニメとか観る人じゃないんですよ。なのに、まさかの「約ネバ」だったから、さらにうれしくて。もともと、お願いだから読んで!って原作は薦めてたんですけど、結局読んでくれなくて。「だから面白いって言ったじゃん!」って思いましたね(笑)。

──お母様はたまたまテレビを点けていて好きになったんでしょうか。まさに大人世代も楽しめる作品だと感じられる出来事ですね。

ミステリー要素とかは、世代問わず楽しめる部分ですよね。いろんな世代の人に観ていただきたいな、と思います。