コミックナタリー Power Push -ナタリー×Netflix

海外ドラマ好き、林田球が語るNetflixの楽しみ方

自分の一部になるくらい、何度も繰り返し観る

──林田さんは海外ドラマなどの作品を観て、ご自身の創作活動に影響を受けることはあるんでしょうか?

林田球

ありますね。もともと「Xファイル」とか「ツイン・ピークス」が好きで、DVDを買って繰り返し観ていたんですが、何回も何回も観たので作品の雰囲気やイメージみたいなものは自然と影響を受けてるというか。もう自分の一部になっていると言ってもいいかも。昔の作品だと、「名探偵ポワロ」「ジェシカおばさんの事件簿」とかも何回も観ました。「LAW&ORDER」とか、1話完結の事件ものも好きですし、最近だと「Dr.HOUSE」とかも好き。連載もののマンガは映画よりもドラマに近いところがあると思うんです。話のつながり方とか、話の引き方、伏線の置き方……。そういうところは観ていて勉強になります。

──やっぱり職業柄、気になるところも多いんですね。

そうですね。私は背景をコラージュに近い感覚で描いているところがあって。例えば海外ドラマを観ていて「ここの建物がきれいだな」「記憶に留めておきたいな」って思ったら、メモ代わりに写真を撮って残しておいたりするんです。実際にそれを見てそのまま描くわけではないですが、パースはこの写真、窓はこの写真、道はこの写真を参考に、といった感じで背景を描くことはあります。

ドラマの中で「好きだな」と思うポイントは、自分の作品でも大事にしている部分

──お話を伺っていると、林田さんが幅広く海外ドラマをご覧になっているのがわかります。

最近観た作品の中だと「FARGO/ファーゴ」が好きです。サスペンスの要素が入ったブラックコメディなんですが、全体の雰囲気がとても気に入りました。

──そういえば、「ベター・コール・ソウル」の主人公、ソウルを演じたボブ・オデンカークは「FARGO/ファーゴ」にも出演していますね。

あ、保安官の役ですよね。同じ役者でもその2作品を比べると、まったくキャラクターの性格も風貌も違いますね。

──ご自分で描かれる作品と、観たいと思う海外ドラマのチョイスには何か通じるものがあるんでしょうか?

林田球

そうですね、あると思います。たとえばドラマを観ていて「あ、ここ好きだな」と思うポイントは、キャラの態度とか喋り方とか、ほかにもいろいろあるんですけど、そう感じたところは自分がマンガを描くときに大事にしている部分とも重なります。もちろん、ドラマとマンガでは表現の仕方も変わってくるんですけど。

──アメコミを映像化した作品をご覧になるときに、ご自身の作品がもし海外で映像化されたら……なんて考えたりしませんか?

いや、それはもう夢のまた夢というか。海外の方に作っていただけるなら、そんなにうれしいことはないって思いますけど、私の作品はそんなに大金をかけて映像化するものじゃないですよ(笑)。そもそも映像として動かすということを前提に描いてはいないし、マンガはマンガという表現方法で完結しているので。これをこのまま映像化していいものになるかというと……私はならないんじゃないかと思っています。するならばアプローチの仕方を変えて、という感じにはなるのかなと。今のところ実現するとは思ってないですね。

“オススメ”表示を参考にどんどん掘り下げて観ていきたい

──今回お話を伺って、林田さんの海外ドラマ愛がすごく伝わってきました。きっと今後もNetflixを利用されるかと思うのですが、これからどんなふうに使っていきたいですか?

今後も「面白そうだな」と気になった作品はどんどん観ていきたいです。視聴してると「これを観た人はこの作品がオススメ」みたいな誘導リンクが出てくるじゃないですか。

──Netflixだと、「ユーザーさんにイチオシ!」とか、「○○をご覧になったあなたへ」というコンテンツが表示されます。

自分で拾ってきた情報から観ることも多いですが、割と普段からそういうものを参考にして観てるんです。なのでそこからどんどん掘り下げて観ていきたいかな。

──今後もNetflixにいろいろと作品が追加されると、観る時間が足りなくなりますね。

どんどん観なくてはならない作品がたまっていきますね。でもうれしいです、今あるラインナップもどれもすごく面白そうですし。そうそう、ドキュメンタリーというカテゴリーもあるんですよ、ちょっと試しに観てみたいですね。

Netflixとは

世界最大級のオンラインストリーミングサービス。50カ国以上で6500万人を超える会員を抱え、オリジナルシリーズを含めたドラマや映画、ドキュメンタリーを数多く配信している。日本でも2015年9月にサービスが開始された。

林田球(ハヤシダキュウ)
林田球

1997年、月刊アフタヌーン(講談社)の四季賞で準入賞を獲得した「ソファーちゃん」でデビュー。ダーク&グロテスクな独特の世界観にコミカルなキャラクター表現が熱狂的な支持を得ている。荒々しく躍動感溢れる線による細かい作画が特徴。2000年にIKKIにて「ドロヘドロ」の連載をスタートし、雑誌休刊後はヒバナ(どちらも小学館)に発表の場を移し掲載中。

「ヒバナ」11月号

「ヒバナ」11月号
2015年10月7日発売
650円 / 小学館

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「ドロヘドロ」が表紙で登場。また11月号から3カ月連続でB2サイズの「ドロヘドロ」ポスターが付属する。第1弾にはカイマンとニカイドウが描かれた。このほか五十嵐大介「きょうのあにいもうと」と小花オト「翼くんはあかぬけたいのに」の新連載がそれぞれスタート。

「ドロヘドロ(20)」

林田球「ドロヘドロ(20)」
2015年9月30日発売
999円 / 小学館

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