コミックナタリー Power Push -ナタリー×Netflix
海外ドラマ好き、林田球が語るNetflixの楽しみ方
吹き替えよりも字幕派
ベター・コール・ソウル
──「ベター・コール・ソウル」はいかがでしたか?
とりあえず2話まで観ましたが、すごく面白かったです。実は「ブレイキング・バッド」を今年の頭ごろにイッキ観してとてもよかったので、もう1回観直したいなと思ってたところだったんです。
──ああ、「ベター・コール・ソウル」は、「ブレイキング・バッド」の前日譚のような立ち位置ですもんね。
そうそう。だから「ブレイキング・バッド」で死んじゃったキャラが出てきたりして、「わあ、懐かしいな」と思ったり。特に私はソウルとマイクが好きだったので、これからソウルが「ブレイキング・バッド」にも出てくる、事務所を構えるまでの話がいろいろと描かれるんだろうなと思うと楽しみです。馴染みのある脇役も結構出てきたので、期待値も上がってます。
──ちなみに林田さんは海外ドラマをご覧になるときは字幕ですか、それとも吹き替えですか?
特にこだわりはないんですけど、私は字幕のほうが頭に入りやすいですね。字幕で観たほうが、会話が記憶に残るというか。最近のドラマは全部をちゃんと観てないと話がつながらないぐらい、シナリオがよく練り込まれていて、何かしながら観れないようなものが多いですから。
──確かに、最近は“ながら見”できないくらい作りこまれた作品が増えてますね。
「セリフだけ聞いてればいいや」的な作品はあまりないですよね。ちょっとしたシーンや、音のないシーンで重要な場面があったり。うっかりしちゃうと見逃しちゃうので、字幕にして真剣に観てます。
大人向けのアニメをたくさん観たい
ナルコス
──「ナルコス」はどうでしたか?
それこそ、“ながら見”できないドラマですよ。
──麻薬王の一代記のようなお話です。
「ブレイキング・バッド」もそうですけど、大変だな、麻薬売るのって……と思いました(笑)。
──(笑)。
どんな社会でも監視の目が行き届かないという、そのあたりのゴタゴタも描かれていて面白い。あとは実在の人物を描いているからドキュメンタリーチックだし、当時のニュース映像も入っている。最近のアメリカの映画って、たとえばベン・アフレックが監督と主演を務めた「アルゴ」とかもそうですが、その当時を上手に描いてるなと感心することが多いんです。それをこの作品でも感じます。70年代っぽさ、80年代っぽさとか。アメリカに住んでいたわけではないけれど、洋服や髪形とか、上手に表現しているなという印象を受けました。
ボージャック・ホースマン
──Netflixが大人向けに制作したというアニメ「ボージャック・ホースマン」はいかがでしたか? 馬が主人公という不思議な設定ですが。
好きですね。主人公の馬は落ちぶれたテレビスターで、彼の日常を描いているんですが、その中で動物の習性をチラッと見せるところがすごく面白くて。流行っている映画のタイトルとか、実在の人物の名前がギャグの中に出てきて、アメリカらしさもわかってすごく楽しいです。
──日本にはあまりないタイプのアニメですよね。落ちぶれたボージャックのダメ馬っぷりとか、ギャグのシュールさがまさにアメリカっぽい作品といいますか。
そうそう。しかもこういった海外の大人向けアニメって、日本では観られる機会が少ないですよね。字幕付きだと特に。私が今まで観たことがあるのも「サウスパーク」ぐらいな気がします。だから今後Netflixでどんどんやってくれるとうれしいですね。私はネットで情報サイトを見て、海外ドラマの知識を得ることが多いんですが、そもそも大人向けのアニメって情報も集めにくいんですよ。だからNetflixでカテゴリーを作って、まとめて配信してくれたらうれしいです(笑)。
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林田球(ハヤシダキュウ)
1997年、月刊アフタヌーン(講談社)の四季賞で準入賞を獲得した「ソファーちゃん」でデビュー。ダーク&グロテスクな独特の世界観にコミカルなキャラクター表現が熱狂的な支持を得ている。荒々しく躍動感溢れる線による細かい作画が特徴。2000年にIKKIにて「ドロヘドロ」の連載をスタートし、雑誌休刊後はヒバナ(どちらも小学館)に発表の場を移し掲載中。
「ヒバナ」11月号
2015年10月7日発売
650円 / 小学館
「ドロヘドロ」が表紙で登場。また11月号から3カ月連続でB2サイズの「ドロヘドロ」ポスターが付属する。第1弾にはカイマンとニカイドウが描かれた。このほか五十嵐大介「きょうのあにいもうと」と小花オト「翼くんはあかぬけたいのに」の新連載がそれぞれスタート。
林田球「ドロヘドロ(20)」
2015年9月30日発売
999円 / 小学館