コミックナタリー PowerPush - Nemuki+

眠れぬ夜の奇妙な話、ネムキ、そしてNemuki+へ「百鬼夜行抄」今市子が自作と雑誌との出会いを語る

雑誌ネムキの連載作を引き継ぐ新雑誌Nemuki+(ネムキプラス)が、4月13日に誕生。創刊号では伊藤潤二「シリーズ魔の断片」や川原由美子+伊咲こゆる「マカロンムーン」といった2大新連載がスタートする。

コミックナタリーでは創刊を祝し、第1号の表紙を飾る「百鬼夜行抄」の今市子へインタビューを敢行。自身のキャリアからネムキとの出会いまでを語ってもらった。またネムキのこれまでを振り返る年表も併せて掲載する。

取材・文/福田里香 編集・撮影/唐木元

これまでの歴史を振り返るネムキ大年表

ネムキは1990年に、朝日ソノラマ発行のハロウィン増刊号「眠れぬ夜の奇妙な話」としてスタート。その後、1996年にネムキと誌名を改めた。コミックナタリーでは今回、Nemuki+として生まれ変わる同誌の23年間を振り返る年表を制作。主要連載作の開始年も併せて掲載した。

  • 1990年10月
    ハロウィン増刊として「眠れぬ夜の奇妙な話」1号目が発売。JET「夢喰」、伊藤潤二「サイレンの村」、高橋葉介「怪奇影男」、篠原烏童「夜を逃れて」、木村直巳「雪鬼村」、せいのこなん「MOONの呪縛」、西澤暁「海駒」、くやまいずみ「エレベーター」の全8作品が収録される。
    「眠れぬ夜の奇妙な話」第1号の表紙
  • 1991年2月
    ハロウィン増刊「眠れぬ夜の奇妙な話」春之巻として、2号目が発売。波津彬子「雨柳堂夢咄」の第1話目にあたる「花椿の恋」が掲載される。
    12月
    ハロウィン増刊「眠れぬ夜の奇妙な話」VOL.11が発売。高橋葉介「夢幻外伝」シリーズが初登場。ネムキ恒例の表紙裏マンガとして、林正之「それ行けりんご君!」がスタートする。
    波津彬子「花椿の恋」扉ページ
  • 1993年10月
    ハロウィン増刊「眠れぬ夜の奇妙な話」VOL.16が発売。今市子が「夏服の少女」で初登場。
  • 1994年8月
    ハロウィン増刊「眠れぬ夜の奇妙な話」VOL.21が発売。今市子「百鬼夜行抄」シリーズの原型になった作品「精進おとしの客」が掲載される。この号よりB5判からA5判になる。
    12月
    ハロウィン増刊「眠れぬ夜の奇妙な話」VOL.23が発売。諸星大二郎「栞と紙魚子」シリーズの連載がスタートする。
    諸星大二郎「栞と紙魚子」シリーズより「生首事件」の扉ページ。
  • 1996年4月
    ネムキ創刊号となる5月号が発売。表紙と巻頭カラーは今市子「百鬼夜行抄」が飾る。伊藤潤二が「死びとの恋わずらい」を執筆。
    10月
    ネムキ11月号発売。TONO「しましまえぶりでぃ」が表紙裏で連載開始。
    ネムキ創刊号の表紙
  • 2002年10月
    ネムキ11月号にて、三原ミツカズ「毒姫」の連載が開始。
    三原ミツカズ「毒姫」扉ページ
  • 2004年10月
    ネムキ11月号にJET「名探偵シャーロック・ホームズ まだらの紐」(コナン・ドイル原作)が掲載される。BSマンガ夜話にて伊藤潤二「富江」が取り上げられる。
  • 2005年2月
    ネムキ3月号にて、篠原烏童「1/4×1/2(R)」シリーズと、かまたきみこ「空中飲茶飯店」の連載が開始。
  • 2007年6月
    ネムキ7月号にて、榎本ナリコ「時間の歩き方」の連載が開始。
    10月
    ネムキ11月号にて、TONO「コーラル―手のひらの海―」の連載が開始。この号から朝日新聞社発行となる。
  • 2008年8月
    ネムキ9月号にて、岩岡ヒサエ「星が原あおまんじゅうの森」の連載が開始。
    岩岡ヒサエ「星が原あおまんじゅうの森」扉ページ
  • 2009年4月
    ネムキ5月号にて、川原由美子「ななめの音楽」の連載が開始。
  • 2012年6月
    リニューアル号となるネムキ7月号が発売。諸星大二郎「瓜子姫とアマンジャク」(ブラックメルヘンシリーズ)や、伊藤潤二「潤色まだら日記」が掲載され、劇団イヌカレー「ポメロメコ」の連載がスタートする。
    12月
    ネムキ最終号となる1月号が発売。
    ネムキ最終号の表紙
  • 2013年2月
    HONKOWA増刊「眠れぬ夜の奇妙な話」として、Nemuki+準備号が発売。この号から、朝日新聞出版発行となる。
    4月
    Nemuki+(ネムキプラス)創刊号が発売。

ネムキ連載作を引き継ぐNemuki+が誕生!

朝日新聞出版より刊行されるNemuki+は、これまで朝日新聞社より発行されてきたネムキの連載作を引き継ぐ新雑誌。創刊号では伊藤潤二による久々のホラー連載「シリーズ魔の断片」や、川原由美子+伊咲こゆる「マカロンムーン」といった2大新連載がスタートする。また伊藤潤二のロングインタビューが掲載されるほか、付録として三原ミツカズ「毒姫」のポストカードが封入される。

  • 今市子「百鬼夜行抄」
  • 波津彬子「雨柳堂夢咄」
  • 川原由美子+伊咲こゆる「マカロンムーン」
  • 伊藤潤二「シリーズ魔の断片」
  • 榎本ナリコ「時間の歩き方」
  • 諸星大二郎「竹青」
  • 篠原烏童「1/4×1/2(R)」
  • TONO「コーラル―手のひらの海―」
  • TONO「しましまえぶりでぃ」
  • 岩岡ヒサエ「星が原あおまんじゅうの森」
  • かまたきみこ「王の庭」
  • 魚住かおる「当たって砕けろ!! 悪霊退散」
  • 松本英子「謎のあの店」
  • 未知庵「未知庵のきなこ体操」
  • 劇団イヌカレー「ポメロメコ」
  • 原作・花本ロミオ 画・篠原正美「―圏外―」
  • 蒔々「宵闇の空に踊る」

連載陣の文具セットが当たるフェア開催

創刊を記念し、Nemuki+と単行本の連動フェアを3号連続で開催する。応募者の中から各月100名、合計300名に、波津彬子、伊藤潤二、三原ミツカズ、篠原烏童のオリジナル文具4点セットをプレゼント。応募には単行本に付く応募券と、同月発売のNemuki+アンケートハガキが必要となる。

第一弾4月13日
~6月12日

フェア対象単行本

4月5日発売 波津彬子「雨柳堂夢咄」其ノ十四

4月19日発売 伊藤潤二「伊藤潤二傑作集7 首のない彫刻」
伊藤潤二「伊藤潤二傑作集8 うめく排水管」

第二弾6月13日
~8月11日

フェア対象単行本

6月7日発売予定 三原ミツカズ「毒姫」5巻

6月20日発売予定 伊藤潤二「伊藤潤二傑作集9 墓標の町」
伊藤潤二「伊藤潤二傑作集10 フランケンシュタイン」

第三弾8月12日
~10月11日

フェア対象単行本

8月7日発売予定 篠原烏童「1/4×1/2(R)」6巻

8月20日発売予定 伊藤潤二「伊藤潤二傑作集11 潰談」

連載作家の関連イベントも実施

三原ミツカズ「毒姫」イラスト

三原ミツカズ展覧会

「毒姫」最終5巻が6月7日に発売されることを記念し、6月6日より浅草橋パラボリカビスにて展覧会を開催。「毒姫」のほか、これまでの三原ミツカズによる原画を一挙展示する。またお茶会イベントや、サイン本、オリジナルグッズの販売なども行われる予定だ。

日時:2013年6月6日(木)~約1カ月
会場:浅草橋パラボリカビス

「Nemuki+(ネムキプラス)」2013年5月号/ 2013年4月10日発売 / 570円 / 朝日新聞出版
創刊号ラインナップ
  • 今市子「百鬼夜行抄」
  • 波津彬子「雨柳堂夢咄」
  • 川原由美子+伊咲こゆる「マカロンムーン」
  • 伊藤潤二「シリーズ魔の断片」
  • 榎本ナリコ「時間の歩き方」
  • 諸星大二郎「竹青」
  • 篠原烏童「1/4×1/2(R)」
  • TONO「コーラル―手のひらの海―」「しましまえぶりでぃ」
  • 岩岡ヒサエ「星が原あおまんじゅうの森」
  • かまたきみこ「王の庭」
  • 魚住かおる「当たって砕けろ!! 悪霊退散」
  • 松本英子「謎のあの店」
  • 未知庵「未知庵のきなこ体操」
  • 劇団イヌカレー「ポメロメコ」
  • 原作・花本ロミオ 画・篠原正美「―圏外―」
  • 蒔々「宵闇の空に踊る」
今市子(いまいちこ)

4月11日生まれ、富山県氷見市出身。東京女子大学文理学部卒業。森川久美らのアシスタントを経て、1993年にコミック・イマージュVOL.6(白夜書房)にて「マイ・ビューティフル・グリーンパレス」で商業誌デビュー。1995年よりネムキ(朝日ソノラマ)にて「百鬼夜行抄」の連載を開始。妖怪が見える主人公をテーマに、シリアスな話もコミカルかつユーモラスに読ませてしまう巧みな手腕で人気を博している。同作は2006年に第10回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。2002年にはドラマCD化、2003年と2006年には舞台化、2007年にはTVドラマ化されている。ボーイズラブ作品も多く、花音(芳文社)にて「あしながおじさん達の行方」や「楽園まであともうちょっと」などを連載した。また10羽以上の文鳥や十姉妹と暮らす愛鳥家であり、ペットの文鳥を描いたエッセイマンガ「文鳥様と私」も執筆している。