「とりあえず、とんでもないものを描いてほしい」って（ミユキ）

──佐藤さんには、先ほど7月25日発売のザ花とゆめに収録される「なまいきざかり。」番外編のネームをご覧になっていただきましたが、「エロきゅん！」をテーマに描かれたという同作、いかがでしたか？

佐藤　「すげえ、先生攻めたな！」というのが正直な印象です。成瀬とセンパイが、「おおお、ここまで進めてしまっていいの？ ドキドキ」と、ちょっとびっくりしました。

ミユキ　最初編集部からお話をいただいたときは、「ミユキさんにはとりあえず、とんでもないものを描いてほしい」って言われて。

佐藤　えらい無茶振りですね（笑）。

ミユキ　そうなんです。それで一度、自分なりにいろいろと振り切って描いたものをネームで出したら、「まだ足りない！」と言われて。

佐藤　「もっとくれよ」と（笑）。

ミユキ　はい。「ラブシーンの“決定的な瞬間の絵”を、1ページ使ってやるくらいでいい」と。それでできたのがこの袋とじマンガなんです。

──“決定的な瞬間の絵”（笑）。センパイと成瀬のカップルならではのイチャイチャぶりが堪能できて、うれしいファンも多いのではないでしょうか。この袋とじマンガが、成瀬の声のみのバージョンで音声ドラマ化されるということです。今回はなかなかにエッチな場面もありますが、どういうふうに演じられたいですか？

佐藤　収録されるのは成瀬の声だけなんですけど、ドラマの中では常にセンパイと一緒にいるということを忘れずに演じたいですね。センパイの息遣いとか、体温や匂いなどを、お芝居のなかにエッセンスとして入れ込みながらやっていきたいなと思っています。

成瀬の香りつき!?（佐藤）

──ちなみに、今「匂い」や「体温」といったワードが出ましたが、実は7月発売のザ花とゆめで実施される企画のテーマが「五感で感じろ 成瀬翔」ということです。雑誌についたQRコードで佐藤さん演じる成瀬の音声ドラマが聴けるのが「聴覚」、成瀬に抱かれるというコンセプトのバスタオルのプレゼント企画が「触覚」、袋とじマンガが「視覚」、成瀬の香りのついたポストカード付録が「嗅覚」で……。

佐藤　成瀬の香り付き!?

──はい、成瀬のつけている香水をイメージした、さわやかな香りのようです（笑）。さらに、袋とじマンガで登場する、成瀬が食べているアイスが作れるアイスメーカーのプレゼント企画が「味覚」ということで……。

佐藤　成瀬が食ってるアイスが作れるアイスメーカー!?

ミユキ　（笑）。

佐藤　すごい企画……！

──その聴覚担当が、佐藤さんです。

佐藤　（笑）。五感のうちのひとつって、責任重大ですね。

──そうなんです。ちなみに佐藤さんは、普段役を演じるときに、「五感」は意識されていますか？

佐藤　そうですね。五感とは少し違いますが、感覚ということでいうと、例えば横で普通にしゃべっているときの声の感じと、耳元でしゃべっているときの感じって違うので、収録では、相手がダミーヘッドとはいえ、密着感や空気感を表現できたらと思いながらやっています。あと、成瀬は身長が高いので、センパイとの身長差も意識しますね。マンガのキャラクターだけど、「そこにいるであろう成瀬」を感じてもらうために、やっぱり音声の表現だけじゃなくて、実際に身体を使ってお芝居をしている感覚が強いですね。

──常にダミーヘッド、つまり聴いている人との距離感を意識されながら、身振り手振りも入れて演じられているのですね。

佐藤　聴いている人に伝わるようにするには、それが必要だろうなと。

綾野剛さんのCMで萌えをチャージ（ミユキ）

──ミユキ先生は普段、作品の糧になるような「萌え」や「ときめき」を、どうやってチャージされているんですか？

ミユキ　いろんなところからですね。映画もそうだし、アニメとかマンガにドラマ……あと、編集さんともよくご飯を食べに行くんですけど、そういうところで、カッコいい人の話をしたりとか。例えば、「編集部の◯◯さん、ちょっといいよね」とか（笑）。

佐藤　身近にそういう存在がいると、アガりますよね。

ミユキ　いまもこうやって佐藤さんとお話しさせていただいている間に、だいぶチャージされてきています。

佐藤　お役に立てれば（笑）。　

──最近、何か作品や人物など、気持ちが高まったものはありましたか？

ミユキ　最近だと、綾野剛さんが出演している整髪料のコマーシャル。綾野さんが映像の最後にカメラに向かって頭をポンってしているCMです。すっごく一瞬なんですけど……初めて見たとき、2時間くらい死にそうになりました。

佐藤　だいぶお気に入りですね（笑）。

──やっぱり、ギャップが大事なんでしょうか。そんなことをしそうにない人が意外性のある行動をするときにときめくというか……。

ミユキ　頭ポンとか、壁ドンとかもそうなんですけど、「やるぞー！」という感じを出してやるよりも、コマーシャル見た方も見逃しちゃうくらいのさりげないものが、私は好きなんです（笑）。

佐藤　成瀬もそうだもんなー。狙って言ったことは外してますもんね。ドヤ顔でセンパイに言ったことはだいたい拒否られていて、逆に、さりげなく言った何気ない言葉にセンパイは反応してるから。

ミユキ　たぶんそうなんです。読者も、あまりキメキメのセリフよりも、さりげなく、ポンと出るようなかっこいいセリフのほうが反応してくれるな、という実感はありますね。