マイナタリー特集 #5 本郷奏多|「ガンダム」で演じるなら何役? “マンガ原作の申し子”がマンガ・アニメ放談

一番尊敬している声優は……

──コミックナタリーでは12月からマンガに加えてアニメ関連のニュースも配信し始めたんですが、今後声優さんの情報も充実させていきたいなと思っています。本郷さんがアニメ作品でプロの声優さんとたくさん共演をしてきた中で、印象的だった方や憧れている方はいますか?

本郷奏多

一番尊敬している、好きな声優さんは、緒方恵美さん。僕は2014年に舞台「ダンガンロンパ」で主人公の苗木くんをやらせていただいたんですけど、アニメとゲームではその役を緒方さんが演じていたんです。舞台を観に来て「よかったよ」と声を掛けてくださったんですが、去年アニメ「ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園-」が放送されるときに、僕は御手洗という役で出演させていただいて、共演できることになり。「ダンガンロンパ」ってキャラクターが多くて、緒方さんも含めそのすべての声優さんが有名な方々で、声優界のオールスター大集合みたいな作品なんですよ。

──柴田秀勝さん、高山みなみさんといったベテラン勢から、江口拓也さん、花澤香菜さんら若手の人気声優まで、確かに挙げたらキリがないほど、名だたる方ばかりでした。

僕は本業じゃない立場の中お邪魔させてもらっていたので、正直めちゃくちゃ緊張してたんです。今思えば被害妄想ですけど、最初に現場に入ったとき「本業じゃねえ奴が来やがって」っていう空気なのかな……とビビりながら挨拶したら、緒方さんが僕のことを「舞台で苗木をやってくれてた本郷くん」って、皆さんに紹介して回ってくださったんです。マジで涙が出そうになって、すてきな先輩だなって。あれだけベテランの方なのに、誰よりも台本を読み込んで、監督とすごいディスカッションするんですよ。その努力の姿勢や人のよさ、すべて含めて、緒方さんが一番尊敬する声優さんですね。

──今後、声優としてチャレンジしてみたいことはありますか?

「ガンダム」に出たいです! 僕、ガンダムのプラモデルが大好きなので、ガンダムのプラモデルを作って戦う「ガンダムビルドファイターズ」っていう作品には、ちょっとだけ出させてもらったことがあって、すごくうれしかったんですけど。

──ガンプラ、ご自身で本格的に作っていらっしゃいますもんね。

はい。いつか一度は戦争をしっかり描いている「ガンダム」作品に出たいですね。

「観たいのはお前じゃなくてキャラクターなんだよ」

──本郷さんはマンガ・アニメ原作の作品にたくさん出演されていて、2017年だけでも「アカギ」「ラブホの上野さん」「鋼の錬金術師」と枚挙に暇がないですね。実写化は原作ファンにはなかなか受け入れられないことも多い中で、コミックナタリーのニュースで本郷さんの名前が出ると「本郷奏多がやるなら安心だ」といった反響をよく目にします。それはやっぱり本郷さんの原作愛が伝わってるからなのかなと思うのですが、原作ものに出るときに、意識していることはありますか?

本郷奏多

ありがたいことに、もともと好きだった作品に出させてもらうことが多いんですが、僕もアニメやマンガが好きだから、その作品が実写化したらどういうふうにやってほしいかっていうのが、ファンと同じ目線でわかってるんだと思うんです。だからそう感じたままに演じるっていう感じですかね。役者が勝手にオリジナリティを出そうとすると、やっぱり原作を好きな人からしたら「こっちが観たいのはお前じゃなくてキャラクターなんだよ」っていうのが多数派の意見なので。原作のイメージ通りに、なるべく忠実にできるところはやる。あと僕は、もし実写の前にアニメ化されている作品だったら、アニメの声優さんのしゃべり方をけっこう真似します。

──なるほど。公開されたばかりの映画「鋼の錬金術師」ではホムンクルスのエンヴィーを演じていますが、そちらもアニメ版を結構研究されたんですか。

そうですね。小生意気な感じは参考にさせてもらいました。

映画「鋼の錬金術師」より、本郷奏多演じるエンヴィー。©2017 荒川弘/SQUARE ENIX ©2017映画「鋼の錬金術師」製作委員会

──衣装もインパクトがありましたね。

ああ……ずっと「なんだこれは」と思いながら着てました(笑)。映画でのエンヴィーはそこまでバトルで活躍するわけではないし、たぶん強くないキャラなので、小物感を出そうと意識して演じましたね。グラトニーも強いけど、ホムンクルス3人の中では、ラストが絶対的リーダーだと思うんですよ。エンヴィーはそんな中では噛ませ犬的ポジションだと思うので、小憎たらしいガキみたいな感じを意識してやりました。

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#5 本郷奏多
「鋼の錬金術師」
公開中
「鋼の錬金術師」
あらすじ

幼い頃に最愛の母親を亡くした兄エドと弟アル。彼らは母親を生き返らせるため、錬金術における最大の禁忌(タブー)・人体錬成に挑んだ。しかし錬成は失敗に終わり、エドは左脚を、アルは身体のすべてを代価として失ってしまう。瀕死のエドはとっさに再錬成を行い、自分の右腕と引き換えにアルの魂を鎧に定着させることに成功した。それから数年後、鋼鉄の義肢を装着し国家錬金術師となったエドは、奪われたすべてを取り戻すためにアルと旅を続けている。

スタッフ

監督:曽利文彦
原作:荒川弘「鋼の錬金術師」(「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)

キャスト

エド:山田涼介
ウィンリィ:本田翼
マスタング:ディーン・フジオカ
ホークアイ:蓮佛美沙子
エンヴィー:本郷奏多

マルコー:國村隼

コーネロ:石丸謙二郎
グレイシア・ヒューズ:原田夏希
グラトニー:内山信二
ロス:夏菜
タッカー:大泉洋(特別出演)

マース・ヒューズ:佐藤隆太

ハクロ:小日向文世

ラスト:松雪泰子

本郷奏多(ホンゴウカナタ)
1990年11月15日、宮城県生まれ。2002年「リターナー」で俳優デビュー。2005年「HINOKIO」で映画初出演を務める。以後、「NANA2」「GANTZ」「進撃の巨人」などに出演。映画、ドラマ、舞台と幅広く活動し、「BTOOOM!」「ガンダムビルドファイターズ」「ダンガンロンパ3 The End of 希望ヶ峰学園」「いぬやしき」といったアニメ作品で声優にも挑戦。現在はドラマ「アカギ」「ラブホの上野さん season2」で主演を務めており、出演した映画「氷菓」「鋼の錬金術師」は全国で公開されている。2018年には、アニメ版と同じく安堂直行役で実写映画「いぬやしき」に出演。