TVアニメ「憂国のモリアーティ」|ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ役 斉藤壮馬×シャーロック・ホームズ役 古川慎 “天才VS天才”を演じた2人が満を持して対談 お互いを「うらやましい」と語るその理由は?

アイリーンもウィリアムとは違った意味でシャーロックを振り回してくる(古川)

──2クール目からはボンド、ヘルダー、ジャック、パターソン、ミルヴァートンと、個性的な新キャラクターがたくさん登場します。特に印象深いキャラクターはいますか?

「憂国のモリアーティ」より、ヘルダー。

斉藤 僕はヘルダーです(笑)。

──斉藤さんは最初のインタビューのときから、一貫してヘルダーがお好きとおっしゃられてますね(笑)。

斉藤 そこはもう初志貫徹で。しかもヘルダー役の鳥海(浩輔)さん、完璧すぎます。最高です。残念ながらヘルダーとは一緒に録ったことがないので、素直にオンエアを楽しみにしてますが、もっと言えばスピンオフでヘルダー回をやってほしい(笑)。

古川 それ、ずっと言ってるよね(笑)。

斉藤 はい、ここでもその言葉を記しておきたいなと思います(笑)。

「憂国のモリアーティ」より、アイリーン。

古川 シャーロックとして印象深いのはやっぱりアイリーンですかね。この人にもまあ振り回されました(笑)。ウィリアムと向き合おうとしたらアイリーンがやってきて、アイリーンもウィリアムとは違った意味でシャーロックを振り回してくるから大変ですよ。あ、日笠(陽子)さんに対してじゃないですよ。シャーロックのアイリーンに対する心情として、です(笑)。

斉藤 (笑)。

古川 あと好き嫌いは別として、やっぱりミルヴァートンのインパクトは強いですね。スーパーキャラ過ぎて……悪い意味で(笑)。あのキャラクターを演じる野島健児さん、強すぎるだろうと。

「憂国のモリアーティ」より、ミルヴァートン。

斉藤 確かに……。でもああいう「本当にこいつ嫌な奴だな」っていうキャラクターって演じてみたくなりますね。同じ悪でも、ウィリアムとミルヴァートンって悪の質が違いますし、役者としてはミルヴァートンのような強烈な悪役はやりがいを感じるだろうなと、台本を読んでいても思いますし。

古川 確かに、役者としてはそうかもしれないなあ。僕は誰でもいいのでウィリアム陣営に入ってみたいです。小間使いでもいいので(笑)。

彼らの生き様を最後まで見届けていただけたら(斉藤)

──現在、20話までアフレコが進んでいると伺っています。ここまで演じてきてキャラクターに対する考え方や、演じるうえでの意識が変わった部分はありましたか?

古川 シャーロックに関しては、印象が大きく変わることはないですね。彼は徹頭徹尾、自分の解きたい謎、自分が成し遂げたい理想があって、それに対して彼なりの姿勢で取り組んだり立ち向かったり、ときには眺めてみたりってことをしてきたわけです。モリアーティと関わってこれまで感じたことのない壁にぶつかり、もがきながらも、シャーロック自身の考えやスタンスは変わっていないと思うので。

斉藤 ウィリアムも今のところあまり変わらないですね。ただ原作の最新のエピソードでは、これまで描かれてこなかったウィリアムの心情がかなり見えてくる描かれ方がされているので、もしかしたらアニメも21話以降でかなり印象が変わるかもしれないなという気はしています。ここまでのウィリアムは、国を憂いて、国のために行動しようと考えていたと思うんですが、もしかしたらそれとは違う彼の本音が隠れている気もしていて。ここから先、彼が本当は何を求めて行動してきたのかを言葉にすることがあれば、印象は変わるかもしれないなと。

古川 ウィリアムがシャーロックに求めるものが見えてきたとき、そんなウィリアムに対してシャーロックがどう向き合うのか、という部分は最終回に向けての大きな見どころだと思います。ただ、ウィリアムが何を考えているかという部分について、それがもし自分自身のためだったのだとするならば、ウィリアムはこの上なく人間臭い人間だったことになるんですよね。

斉藤 そうそう。むしろそうあって欲しくもある。

古川 もしかすると株を下げる可能性もあるかもしれないけれど、僕としてはそうあってくれたほうがウィリアムを好きになるなと。

斉藤 わかります。ある種、死に場所を探しているというか……。これは僕の勝手な予想ですが、ウィリアムをどこかで救ってくれる存在がシャーロックなんじゃないかな、と推理をしています。ウィリアムも、自分のシナリオ通りに動いてもらう主人公役だと思っていたシャーロックが、だんだん想定外の動きをしたり予期せぬところまで踏み込んでくることに救われていたと思うんですよ。ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ、ではなく、1人の人間ウィリアムとしての救いをもたらしてくれるのはシャーロックなんじゃないかと。でもまだ誰も結末を教えてくれないので(笑)、この記事が出た後に、皆さんと一緒にそれを確かめられたらいいなと思います。

──ではここまで視聴してくれたファンへ、メッセージをお願いします。

古川 「憂国のモリアーティ」という作品で、シャーロック・ホームズという著名な名探偵を演じさせていただいたことは、本当に光栄だと思っています。シャーロックが一歩ずつ道を踏みしめながら自分の理想や謎を追っていく姿が、僕は大好きです。これから物語はクライマックスを迎えますが、どんな最後が待っているのか、僕自身も非常に楽しみですし、まだアフレコには至っていませんが、そのときには自分の心血を注いで全力投球しているはずですので、放送を楽しみにしていただけるとありがたいです。

斉藤 これまでアニメ、原作ともども「憂国のモリアーティ」を応援していただき、ありがとうございます。自分自身、次の話はどうなっていくんだろうと楽しみながらアフレコを進めることができましたし、とても心に残る大好きな作品になりました。この物語がどんな結末を迎えるのかまだ分かりませんが、国を憂いて行動を起こしたウィリアムたちの行き着く先がどこなのか、それに対するシャーロックたちがどう感じて行動していくのか、ファンの皆さんと一緒にオンエアを観て、噛み締めたいと思います。ぜひ彼らの生き様を最後まで見届けていただけたら幸いです。