TVアニメ「憂国のモリアーティ」畠中祐×STEREO DIVE FOUNDATION(R・O・N)|主題歌を歌う2人が初対談!異なるアプローチでアニメの世界観を表現

丸ごと作り直して作り上げた今のベスト「OMEGA」

──続いてエンディングテーマ「OMEGA」ですが、畠中さんはどう聴かれましたか?

畠中 メロディラインは「ALPHA」と比べて少しパワフルになっていますよね。でも歌詞を読むとすごく切ない。この違う温度感が1曲にまとまっているのが、ドラマチックだし楽しいです。

R・O・N ありがとうございます。

「OMEGA」ジャケット

──「OMEGA」はどんなふうに作られていったのでしょうか?

R・O・N 先ほどスケジュールを見直したら1月5日にリテイクを提出していたんですけど、そこで曲を丸ごと変えていましたね。

畠中 丸ごと?

R・O・N はい。最初に作ったのは今の曲に比べるといわゆるエンディングっぽい、少し温かい安堵感があるようなポップス寄りの曲だったんです。でも「もう少し激しさと切なさが欲しいから、アレンジで加えてほしい」という話があって。「それならいっそ曲ごと変えよう」と思い、激しさと切なさを表現でき、「憂国のモリアーティ」のエンディングというイメージを踏襲するような曲と言ったらこういうことかな、と思って作ったのが今の「OMEGA」です。

──それを年始に作ったと。

R・O・N 最初に提出した曲は、年末で疲れちゃっていたから気分が安らかになるようなものが欲しくて出てきたのかもしれません。それで年が明けて英気を養ったから激しさを手に入れた曲を作れた、みたいな。

畠中 なるほど(笑)。

R・O・N でも少し激しくし過ぎたのでお洒落さを出すことになり、イントロやAメロのアレンジでそれを増しました。

──「ALPHA」はサンプリングで作品の時代の雰囲気を感じられましたが、「OMEGA」では「緋色の糸」や「午前五時」といった歌詞でより直接的にくすぐってくれて、ファンとしてはうれしかったです。

R・O・N

R・O・N 歌において固有名詞ってすごく力を持つと思うんですよ。普遍的なことを歌う中で固有名詞が出てくるとイメージが膨らみやすいので。「緋色の糸」や「午前五時」は作品でフィーチャーされる言葉だし、すごく詩的なので僕もすごく気に入っているフレーズです。

──ちなみに「ALPHA」ではミックスの沼にハマったとか。

R・O・N 本当にすごく細かいところが気になってしまって、自分の中で納得がいかず、仕事の合間に延々といじっていました。たぶん30回くらいミックスし直してるんですけど、最初のものと最後のものを一般リスナーが聴いても差を感じないくらいなんですよ。もう病気にかかっちゃった感じでした(笑)。

畠中 そういうときって自分の中でどう落としどころを作るんですか?

R・O・N そのときにできる自分のベストができていればいいんじゃないでしょうか。そもそも自分が過去に作った曲で、あとで聴き返したときに「これは最高だ」と思えるものはほとんどない。だから現状に納得できないのは仕方のないことだと思います。だったら曲作りとは別に、普段からいろんな音楽を聴いたり理論について勉強したり日々の努力をしておくことで満足できないものを克服していくしかない。そういう気持ちで普段は曲を作っています。

畠中 わかります。上達に終わりはないけど、今の自分を肯定していくのが大切というのは声優業にも通じるところがありますね。

モリアーティとシャーロックの関係性や心境の変化に注目

──では最後に2クール目に期待することを教えてください。

R・O・N やはりモリアーティとシャーロックの関係性や心境の変化を注目して楽しんでほしいです。

畠中祐

畠中 僕、新キャラクターのアイリーンが好きなんですよ。だって……。

──ネタバレはできないですけど、すごくわかります。

畠中 いいですよね! 彼女のシャーロックを手のひらの上でコロコロする感じがたまらないし、モリアーティにも通じるような芯の強さもあるので。

──この作品は芯の強いキャラクターが多いですよね。

畠中 特に2クール目はそのせめぎ合いになってきますもんね。皆さんのお芝居がどんな感じになるかが楽しみですし、アイリーンなんて、日笠陽子大先輩ならもうすごいことになるんじゃないでしょうか!